マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

5年経ったパラレルマーケターのスナップショット


本日、2022年5月1日は、Still Day One合同会社の登記日、ということで昨日でまる5年、今日から6期目となりました。

基本は常時6~8社前後の方々と、様々な形でパラレルな関係をもたせていただいていますが、どのようなビジネスと関係しているか、なかなか報告できる機会がないので、この節目のタイミングで、まる5年たったパラレルマーケターの状況をログしてみようと思います。

さて、5年たったパラレルマーケターのシゴトのポートフォリオは。。。。

 

パラレルマーケターの3つのポジション:「代走」「伴走」「コーチ」

パラレルキャリア的なお話をするときに必ず聞かれるのが、どうやって時間配分をしているのか?という点です。質問はもっともで、パラレルに仕事をしても、時間は1日24日間というグランドルールは変わりません。よりスケールして複数のビジネスやプロジェクトと関わるには、自分の実働時間と、プロジェクトやビジネスを動かす人的な実働時間を「切り離す」ことが必要です。

そこで、図にあるように、「代走」「伴走」「コーチ」という3つのレイヤーを定義しして、自分の時間がボトルネックにならないようなポートフォリオを意識しています。

全部「代走」してしまうと、あっという間に時間は無くなりますし、パラレルでやるよりも、1つのビジネス専属でやった方が効率もパフォーマンスもあがるハズ、です。

BigBeat Live 2018 の講演資料より抜粋

この方法で、この5年間で累計30近いビジネスやプロジェクトとのかかわりを持つことができていいます。それでは、この働き方をはじめて5年経った今、どのようなポートフォリオでパラレルマーケターとして活動しているか、下記に整理してみましょう。

「代走」的ポジション

ますは「代走」的なポジションのご紹介、ということでStripeですね。

FinTech界の雄・ユニコーンを超えて、デカコーンとも称されるStripeの日本チームで、エバンジェリストを務めています。ここは、他のように「伴走」というよりは、「代走」に近いポジションで関与しています。

立ち上げたユーザーコミュニティ: JP_Stripes もStill Day Oneよりも一足先に6年目を迎えて、3月には周年Weekイベントも実施。
元々コミュニティメンバーだった 岡本さんが、昨年末にDeveloper Advocate としてStripeのナカのヒトになったのも心強い体制強化です。コロナ禍では、コミュニティ活動も色々変化を強いられていますが、新しいフォーマットもだいぶカタチになってきたので、2022年はニューノーマルでの飛躍の年とするべく諸々推進中です。

 

「伴走」の一形態(?)である社外取締役のポジション

現在NulabprimeNumberの2社で社外取締役を務めています。 Nulabは2017年から、そしてprimeNumber はこの1年ほどちょっとのマーケティング支援の関係を経て、2021年末から 社外取締役に就任というカタチですね。

マーケティングの実務支援とは違ったカタチの「伴走」ですが、より多くのステークホルダーを意識しての活動は視座が上がるので、私としても成長させてもらえるところが多いポジションだと感じてます。

※とはいえ、社外取締役は制限事項もいろいろ多いので、このポジションを増やすつもりは、今のところはありませんが。。。

そして、 Nulab 橋本さん、primeNumber 田邊さんという二人の経営者が自分にとって魅力的であることが、このポジションをお受けした一番の要因ですね。

橋本さんが最近出したコチラの本も、彼の人となりが出ていて面白いです。一件楽な働き方を勧めているようにみえますが、如何に会社や組織にベクトルを与える必要があるか、それに沿った採用がなぜ重要かが書かれているので、経営者の方は「自分だったらどういうやり方ができるか?」を考えながら読むと良いでしょう。

www.amazon.co.jp



「伴走」型のマーケティング支援ポジション

パラレルマーケターとしては、ここのポジションが一番のボリュームゾーンになります。現在は、LINE(Clova)AvePointサイボウズ、そしてネクストモードとの関係がここに当たりますね。

LINE CLOVA:LINE社の中でも、B2B&AI事業を中心とするCLOVA事業を、2020年から足掛け2年サポートしています。
ここは私がAWS時代に、マイクロソフト側でAzureの啓蒙活動の最前線にいた砂金さんがカンパニーCEOを務めているという関係性から、(ガンダム史観的に)旧ジオン軍連邦軍将兵が同じ艦に乗っている的な状況を楽しんでます。

dic.pixiv.net


このチームは戦力増強のため、マーケメンバーを絶賛採用中なので、「ニュータイプ」を自認する方のエントリーをお待ちしています!

 

サイボウズ & AvePoint Japan : サイボウズは昨年から継続、そしてAvePointは今年から新たにマーケティングの支援をしています。
国産SaaSの雄であるサイボウズさん、そしてマイクロソフト系のエコシステムにいるAvePointさんは、自分の「土地勘」からすると、少し遠いかなと思っていたのですが、マーケティングで自分が大事にしているフレームワークである、OWWH(Objective / Who / What / How)が、この国産ISV・外資ISVの両社でもきちんとワークして、最近では2社の社内資料にまでOWWHが浸透してきているのは嬉しい限りです。

OWWHの相関図

尚、OWWHについては、下記に記入フォーマットと記入のポイントを公開していますので、マーケティングの施策を見直したい方は、ぜひ自分が担当するビジネスや商材で書いてみてください。Howにいく前のObjectiveや、Who、Whatが思いのほか書けない、、、という状況に気が付くかと思います。

docs.google.com

docs.google.com

 

ネクストモード:これも自分的には初の領域ですが、製品やサービスを作っているベンダーではなく、それらを組み合わせて提供するインテグレーター的な立ち位置でのマーケティング支援です。ある種「何を売っても良い」立ち位置であるがゆえに、「誰に(Who)、何を(What)、どうやって(How)提供するのか? そして、その先のゴール、なりたい会社象(Objective)は何か」を規定しないと、販促施策もカタチだけトレースすることになりがちです。

むしろ、こうしたインテグレーターにこそ、OWWHのような、マーケティング思考が求められる時代になってきたのかなと思います。

 

「コーチ」的ポジション

カヤック(まちのコイン):面白法人カヤックさんの コミュニティ通貨 プラットフォームである「まちのコイン」のマーケティングやコミュニティ形成支援を昨年から「伴走」的なポジションで支援していましたが、ある程度自走できてきたというところでこの春から「コーチ」的なポジションに移行して、支援を継続しています。

カヤックの代表・柳澤さんが提唱する「地域資本主義」を加速させるサービスとして提供されているまちのコインは、いわゆるITビジネスとは違う領域のサービスで、私自身もキャッチアップさせていただくことが多いです。

news.mynavi.jp


ここでもOWWHのフレームワークが機能している感じますね! 

やはり、マーケティングや事業計画は、基本部分は市場や業態を超えても共通していると確信し始めています。

 

DEEPCORE:元ソフトバンクグループで、Nulabでもご一緒している仁木さんが率いるAI特化型のインキュベーターベンチャーキャピタルであるDEEPCOREに、 コミュニティマーケティング 分野を中心にアドバイザーとして本日(5/1)より参画することになりました。【NEW!!】

ABEJAやLINE CLOVA でそれなりにAI市場については理解があるつもりなので、コミュニティやマーケティングだけでなく、AIビジネスに関する知見もスタートアップな皆さまに提供できれば、と思っています。

 

その他、1ショットで依頼される講師も、考え方的にはこの「コーチ」的なかかわり方の気持ちで取り組んでいます。なので、毎回、イベント主催者と時間をとって、オーディエンスの期待値やテーマとの整合性などで資料作成やQ&A設計は時間をかけています。外から見ると、講師作業というのは楽そうに見えるのでないかと思いまsが、実は結構時間がかかっています。しかしながら、イベントでのフィードバックや、資料作成で得られる新たな視点というのが、次のアウトプットの血肉となることが多いので、ここは条件さえ合えば、極力お受けするようにしています。

ライフワーク? コミュニティ運営

最後に、「代走」「伴走」「コーチ」とは、少しポジションの異なるコミュニティ活動について。

CMC_Meetup & CLS高知:どちらも、自分が発起人として活動しているコミュニティになります。CMC_Meetup (=コミュニティマーケティングを考えるコミュニティ)は2016年から、CLS高知(コミュニティリーダーズサミット in は高知)は2018年から継続して活動しており、CMC_Meetup  は現在Facebookグループに3,000名を超えるメンバーが参加、CLS高知はコロナ禍も含め、毎年2回(初鰹と戻り鰹の時期)の開催を継続し、今月には9回目の高知でのイベントを準備中と、ともに継続して発展中の活動です。

eventregist.com

どちらもコロナ禍を経て、コミュニティ活動やフォーマットが「進化&深化」した感があるので、ピンチをチャンス的にとらえる運営メンバーの皆さんに感謝ですね!

コミュニティ活動は、ビジネスとどういう関係があるの? なにそれ美味しいの? 的な質問もよくいただいたりするのですが、ビジネスとプライベートの領域がどんどんあいまいになっている今は、あまり分けて考えなくても、自分が信じていること、賛同者を増やしたいと思っていること、新たにムーブメントにしたいと思っていることであれば、ビジネスとの関係はあまり考えずに、コミュニティに参加したり、リードしたりするのがいいと思います。

このあたりの「公私混同のススメ」的な考え方は、以前ブログにまとめているので、そちらを見ていただければと。

 

stilldayone.hatenablog.jp

 

 

5年たってもStill Day One!!

元々知見のあった、クラウドSaaS外資B2Bという要素から、コミュニティマーケティングを軸にこの5年で少しづつお声がけをいただく領域が広がっているのは有難い限りです。

こうしたお声がけは、知り合いからのご紹介ももちろんあるのですが、書籍を読んだ方からの直接の連絡もコンスタントにあり、アウトプットの重要性を日々感じます。

www.amazon.co.jp

この4月からは(今話題の)早稲田大学の社会人向け講座マーケティングを再び学んでおります。ここもインプットだけで消化不良にならないよう、アウトプットにつながる学びにしていく所存です。

というわけで、6期目もアウトプットファーストな姿勢で進むパラレルマーケターとStill Day One合同会社をどうぞよろしくお願いします!

twitter.com

 

ブログの集合知で紐解く、コミュニティマーケティングの躓きポイント「レイヤー構造の落とし穴」

コミュニティマーケティング界隈の方は、アウトプットファーストなマインドの方が多いので、ブログの流通量はもともとあるのですが、特に12月はアドベントカレンダー時期ということもあり、いつも以上に、様々な視点で皆さんが知見をブログにしてくれる、まさに「ボーナスタイム」。

今回はそんなボーナスタイムな皆さんのブログの内容を借用しつつ、コミュニティマーケティングを実践する際におこりがちな(結構大きめな)躓きポイントの一つ、レイヤー構造にまつわる混乱や課題について、書いてみようと思います。

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尚、ここでお話するコミュニティとは、企業において、最終的にそのビジネスの成長に寄与するコミュニティのお話としてお読みいただければと。

趣味のコミュニティや、意図的にクローズドで運営するコミュニティもあり、その場合はステークホルダーや、成功・失敗の基準が大きく異なる(共通項ももちろん多いですが)ので、ここでは対象にしていません。

コミュニティマーケティングの光と影

JAWS-UGをはじめとして、ビジネスコミュニティの成功例は増えてきています。JAWS-UGはこのコロナ禍でもオンラインへのリフト&シフトをうまくやっていますね。このグラフ一つ見てもすごいな、と思います。

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JAWS-UG 勉強会開催数と申込人数の推移

note.com

そして、ビジネスサイドにその価値を理解され、2022年もどんどんコミュニティ施策をやっていく宣言をしているSmartHRさんのように、勢いのあるビジネスが、コミュニティをうまく活用している事例も増えてきています。

2022年は、さらにセメます。

これまでは、イベント活動を中心にコミュニティの成長を進めてきましたが、オンラインコミュニティも立ち上げ予定です。

note.com

更に、IT業界やB2B企業以外でも、カインズさんが高家社長自ら自社ビジネスにおけるコミュニティの重要性をセミナーでお話されたり、コミュニティ施策を対外的に発表したりと、広がりを見せています。

毎日を明るく楽しいものにすることを目指す「DIYer100 万人プロジェクト」では、店舗とオンラインを融合させた、カインズならではの DIY コミュニティ「Cainz DIY Square」を通じてDIY仲間同士の交流を促進し、DIY で得られる新しい体験や価値観をさらに豊かなものとするべくサービスを提供しています。

www.cainz.co.jp

一方で、こうした成功例や勢いを横目にしつつスタートしたビジネスコミュニティが、なかなか「成功」に結びつかないケースも見られます。上記のような成功事例が流通し、コミュニティマーケティングへの期待値があがってしまっていることで、いわゆる幻滅期に差し掛かっていることもあるかと思います。

markezine.jp

ですが、実際、私のところに相談に来られる方や、CMC_Meetup を通じて見聞きする事例から思うことは、その混乱や課題の多くは、コミュニティマーケティングに関係するビジネスがどんな「レイヤー構造」にあるのかの理解が不足していることから起きているのではないか、ということです。

ビジネスのレイヤー構造を整理するOWWHモデル

コミュニティマーケティングに限らず、企業でビジネスに寄与、関与するコトを起こす場合、ほとんどは下記のチャート図で説明がつくはずです。私はコレをOWWH(=Objective→Who/What/How)モデルと呼んでいて、パラレルマーケティング先のチームなどでも、このチャートを使ってビジネスのゴール、勝利条件(Objective)と、顧客設定(Who)や訴求メッセージ(What)、マーケティングをはじめとする各種施策(How)の紐づけや解像度があっているかをチェックしています。

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OWWHモデル

これを見ると、まずはObjectiveありき、のレイヤー構造であることがわかります。極端に言うと、Objectiveに紐づかない施策や顧客とのコミュニケーションは極力少ない方がリソースや予算上は良いということになります。

会社内でコミュニティの立ち上げや効果について説明するときも、基本的にはこの相関図で説明できるはずですが、コミュニティ運営の現場でよく言われる

  • コミュニティに売り込まない
  • 参加ハードルは低く
  • 参加者に楽しんでもらうことが重要

などを、社内レポートする際にも説明したりして、社内のステークホルダー達から共感や合意が得られないことが多いようです。

それはそうですよね。きっとこれを聞いた社内の他部門からは →のギモンが湧くはずです。

  • コミュニティに売り込まない → いつビジネスに寄与するの?
  • 参加ハードルは低く → お客様にならない人にもリソース投入するの?
  • 参加者に楽しんでもらうことが重要 → いつビジネスに寄与するの?(再)

これらの指針は、「コミュニティを運営する」現場の姿勢や方針としては、全く間違ってはいません。この逆をやると当然のようにコミュニティ運営そのものもうまくいかないでしょう。

こちらの記事にあるように「参加ハードルの低さ」と「参加して楽しい」は、コミュニティ参加者の増加や定着に欠かせない要素です。

—北川さんがコミュニティに参加するスタンスを教えてください。

北川氏
JAWS-UG に限らず『面白そうだと思えばどこにでも』みたいな部分はありますね。もう本当にいろんな集まりにひょっこり現れるので『ここにもいたか』と言われることがよくあります (笑) (後略)」

aws.amazon.com

 

ですが、「コミュ二ティの運営スキル」と「コミュニティとビジネスのゴールをマッチさせる」は異なるレイヤーの話であり、社内のステークホルダーが求めているのは、当然後者の話のはず。では、後者がうまく説明できないのはなぜか?

コミュニティ運営を「正しく」やれば、ビジネスの効果が出るわけではない

現場のコミュニティマネージャーの人と会話すると、コミュニティ運営における、ある種の「型」を正しく実行しようとする傾向があるようです。実際、質問される内容も「(AWSJAWS-UGやセールスフォースのTrailbrazerで)うまくいっているオペレーションは何か?」という、運営手法にまつわるものが多く、「なぜそういうオペレーションになっているのか?」というWhyの部分はあまり質問してきません

AWSやセールスフォースと全く同じObjectiveやWho/Whatのビジネスなら、JAWS-UGやTrailbrazerと同じやり方をまねる意味があると思いますが、実際にはそういう企業は少ないですね。そして特定のコミュニティ運営手法のみを真似るというのも、応用範囲は狭くなります。

そうならないためには、「なぜコミュニティをやるのか」「どういう状態になれば、コミュニティが成功しているといえるのか」を会社視点、経営視点でクリアにする必要があります。そのうえで、コミュニティメンバーにとっても参加したくなるゴールを設定する。これは何も、コミュニティ運営経験の長さで解決することではなく、そこに問いを立てる姿勢が必要ですね。

コミュニティマネジメント歴の長い、プリズムテックの一葉さんもこうおっしゃってます。

ものすごくお恥ずかしい話、「なぜ企業でコミュニティ施策が必要とされているのか」、自分でもわからなくなる瞬間が多々ありました😿
理屈はわかるぞ。コミュマネ視点とメンバー視点はわかる。けれどどうにも、経営者視点が腹落ちしない

note.com

コミュニティマーケティング3原則にもレイヤー構造の視点が不可欠

コミュニティマーケティングを行う上で、よくコンテキスト、トラスト、アウトプットの3つのファーストの話をします。これは、コミュニティマーケティングやコミュ二ティ運営をする方に口酸っぱくお伝えする、成長するビジネスコミュニティ実現のための3原則なのですが、実はこの時点で複数のレイヤーの視点が必要なのです。

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※CMC_Meetup コミュニティマーケティング初級講座(2021/03/24開催)資料より抜粋

この3つは

  • コンテキスト  ←企業、事業戦略(Objective)とコミュニティメンバーの興味、関心軸(What)に紐づいた設定必要
  •  トラスト   ←誰(Who)と初めにトラストを作るべきか
  • アウトプット  ←施策(How)がうまくいっているかを測るKPIの1要素

と、考慮すべき視点が異なるレイヤーに紐づいています。

私としては、この3つを意識することで自然と複数のレイヤーにまたがるコミュニティ設計、運用ができるようになると少し思い込んでいたところがありましたが、どうやらそれは楽観的過ぎたようです。

最近は、ビジネスゴールとコミュニティメンバーの関心軸を合わせたコンテキスト設計(このコミュニティはどこを目指しているのか、の設計)が十分できないまま、メンバーの関心軸のみにフォーカスした設計になってしまいがちな所に、大きな落とし穴があるように感じています。念のため言っておきますが、メンバーの関心軸にフォーカスするのが悪いのではありません。そこ「だけ」にフォーカスすることが混乱のもとになる、ということです。

こうなってしまうと、いくらトラストとアウトプットを積み上げていっても、いつまでたってもビジネスゴールに近づかない、という結果になってしまいます。

また、コミュニティを構成するメンバーを考える上で、立ち上げ初期には「ファーストピン」と呼ばれる人たちの存在が重要ということもよくお伝えしています。

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※CMC_Meetup コミュニティマーケティング初級講座(2021/03/24開催)資料より抜粋

この「ファーストピン」な方々は、単に製品を上手に使ってくれているとか、製品にポジティブな評価をしてているという必要条件的な要素だけでなく、これからコミュニティ施策を通じて増えてほしいタイプの方々かどうかという十分条件の要素も必要です。

どのようなタイプ、状態の顧客にコミュニティに集まってほしいか=OWWHモデルにおけるWhoの設定も、Objectiveと密接にかかわってくるわけです。会社のObjectiveが変われば、Whoの設定も変わる。Objectiveと紐づかないWhoを相手にしていては、コミュニティ運営手法がいくらきちんとできていても、そのビジネスおけるコミュニティの存在が難しくなってしまいます。これに関しては、ビジネスのピボットに伴い既存コミュニティをクローズしたベルフェイスさんのブログに、その顛末が詳細に書かれています。

結論
コミュニティに大事なものは目的だ
いや、もはやコミュニティ以外のすべての施策においてとても大事です。
Who、誰に対して提供するかの大上段の基、活動のコアとなるユーザーと我々が目指すべきVISIONとやっていく意義。これらが何らかの形でブレてしまうと崩壊します。

note.com

 

では、コミュニティマーケティング推進者に求められるスキルは?

これは昔からよく聞かれる質問で、以下のように答えています。

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※CMC_Meetup コミュニティマーケティング初級講座(2021/03/24開催)資料より抜粋

この5つの能力は、以下のように分類できます。

a) 信用力、製品愛:コミュティメンバーとのやりとりで必要な能力

b) 調整力、(マーケティング)ファネルの理解:社内のステークホルダー向けに必要な能力

c) 言語化能力:対社内(ステークホルダー)、対社外(コミュニティメンバー)双方に必要な能力

 

私としては、この5つの能力を「コミュニティマネージャー」が併せ持つのが理想だと思ってきたのですが、実際の例を見ると a) に偏っていることが多く、b) や c) について苦労している例が多くみられるようです。

ただし、これ自体は悪いことではありません。というのは、a) の能力というのは、あとから習得するのは結構難しいのに比べ、b) と c) の能力は後から学んで習得できるものなので、a) を満たす人であれば、後からb) c) を習得するプロセスを組めばいいわけです。

ですが、現実は、b) c) をバックアップしたり、トレーニングしてくれる人がいないままコミュニティマネージャーにすべてが任され、孤立していくというケースが少なくないようです。

これは、最近聞くようになってきた、コミュニティマネージャーの「後継者問題」も、同じ課題をはらんでいるように見えます。初代の(成功した)コミュニティマネージャーの人が、a) b) c) が全部できていた状態から、次の担当への代替わりが、b) c) の能力確認やトレーニングが十分でないまま行われてしまうと、社内のステークホルダーへの説明や協力が滞り、いつのまにか活動が袋小路に陥ってしまいがち。

ここでの解決策は、a) b) c) 全部を兼ね備えた人を探すよりも(いればもちろん最適な人、です)、b) c) を上司やチームがバックアップやトレーニングできる状態を目指した方が現実的であるといえるでしょう。こうした体制をとることで、「レイヤー構造の落とし穴」にはまる確率を下げていくことができると考えています。

最近、コミュニティマーケティングを支援するITツールや人的サポートサービスも増えてきていますが、それを活用する上でも、自社の担当者・部門は a) b) c) のどの能力を備えているかで、必要なサポートが変わってくるはずです。このあたりの見極めも、コミュニティマーケティングを成功させるうえでは重要になってくると思います。

コミュニティマーケって難しそう。やる価値あるの?

ここまで読んで、「なんかコミュニティマーケティングって難しそうだな、ホントにやる価値あるの?」と思う方も多いかと思います。ですが、AWS時代のJAWS-UGをはじめ、自分が経験してきたことだけでなく、ますます顧客理解や、想起されるブランド、商品づくり、顧客からのフィードバックループの構築が求められる時代には、コミュニティの重要性は全社的に増すばかりだと思います。

そして、コミュニティに取り組む部門も、従来はマーケティング部門やカスタマーサクセス部門が多かったのですが、最近はインサイドセールスの文脈でもコミュニティマーケティングに注目する流れがでてきています。

インサイドセールスの”白本”「インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド」の著者や、Inside Sales Conferenceの仕掛け人としても有名な、ビスリーチ・茂野さんも、2022年は自社サービスのHRMOSで、さらにコミュニティ施策に力を入れると宣言。

下記の抜粋にも書いていらっしゃいますが、コミュニティとそれが提供するエコシステムそのものが、顧客に提供する製品、サービスの不可欠な要素になる、というのは私も強く同意するところです。

インサイドセールスはこれからコミュニティに関わるようになる」と書かせていただきましたが、本当にそんな時代がきていると思っています。ツールベンダーが提供するものは製品から、製品とサポートへ、製品とサポートから製品とサポートとコミュニティへ、そしてエコシステムをいつか提供することになるのではないか、その変化の始まりなのではないかと考えています。
次の時代はコミュニティ、です。

note.com

既存ユーザー主体のTrailbrazerというコミュニティ施策(主管部門はカスタマーサクセス)で成功しているセールスフォースも、TrailBrazerとは別スキームでインサイドセールスチームが新たに「コミュニティマーケティング」の手法をこの数年取り入れてきています。

私たちスタートアップ戦略部の活動内容を一言で表すと「コミュニティマーケティングによる見込み顧客のナーチャリング(育成)」となりますが、一番大切にしているのは、これから成長期に入るであろう「未来のお客様」に対し、有益な情報をお届けし、セールスフォース・ドットコム「ファンになっていただく」こと。

www.wantedly.com

マーケティングやカスタマーサクセスだけでなく、営業活動をしているチームからも、コミュニティへの期待値が高まったり、コミュニティがベンダーが顧客に提供する価値そのものになる、という流れが生まれてきていることからも、その価値が増すことは間違いないといえるでしょう。

コミュニティマーケティングを行う部門はどこがベスト?

先に記載したとおり、これからコミュニティマーケティングにかかわる部門や担当者gはまずます拡がっていくと思います。一方で、顧客から見て、ひとつの会社、ビジネスに様々なタイプのコミュニティと運営チームが存在するのには懸念もあるかと思います。

私としてはObjectiveに沿っていれば、どの部門が手掛けてもいいとおもいますが、複数部門が絡むと全体最適がなかなか難しいところもあります。特に企業規模が大きい場合はそうですね。

理想的にはマーケティングインサイドセールス、カスタマーサクセスを横断的に見ることができるポジションの下(例えばCRO配下)に、コミュニティ施策を考えるチームがいるのが良いかな、と思っています。そもそもコミュニティマーケティングは、顧客との接点を起点に様々なレイヤーやファンクションに関わることが多いので、その活動範囲はかなり組織横断的であるからです。

そのような全社視点の組織を作れなくても、Objetiveにきちんとそった設計、運用、評価と、適切な担当者、チームのアサインができれば、実行部隊はどこにすべきか、というのは二の次のように思います。

そして、繰り返しになりますが、コミュニティマーケティングの担当者(部門)に求められるのが、社内外ステークホルダーへの説明能力。

ここは、ほかのマーケティング手法や営業施策などのように、「確立した」評価方法が定まっていないという現状があります。

が、これは評価できないわけではなくで、個々のケースでコンセンサスを取るのに手間がかかるということだと理解しています。ここに客観的な評価手法が出てくると、その手間も解消され、もっと多くの企業でコミュニティマーケティングを実施=顧客と向き合ったビジネスがしやすくなると思います。

ここでは、コミュニティの評価手法を確立すべくMBA取得を目指す、Asanaの長橋さんのチャレンジに期待大、です。

コミュニティがビジネスに有効であることとその成功要因を研究するなら、大学院で正しい研究手法や経営学を学びながら、論文を書いてアカデミックな裏付けを得るのが、一番説得力があるのではないか?そう思い至り、「大学院でコミュニティを研究する」というアイデアがパズルのピースのように自分の中でぴったりとハマったのです。

note.com

 

皆さんとの集合知を! 

長橋さんのMBAチャレンジの成果を私たちが共有いただけるのは、早くて2年先、ということになると思いますので、それに先んじて、コミュニティマーケティングにかかわる当事者である私たちも、この課題への知見を共有し、言語化、抽象化していく活動が必要だとおもいます。そんな場に、CMC_Meetup が活用されるよう、今年もいろんな場を提供していこうと思います。

www.facebook.com

2022年1月25日に開催されるCMC_Meetup では、事業戦略(今回のブログでいうところのObjectiveに近い部分)とコミュニティの関係性について、フジテックリンナイ日本IBM講談社NTT東日本といったエンタープライズな企業のスピーカーの方々がお話いただけます。

eventregist.com

Objective 視点でコミュニティ活動を考える良い場になると思いますので、このブログに関心いただいた方は、ぜひご参加を、そして参加して得た知見やアイデアをブログなどのカタチでアウトプットして更なる集合知の形成にご協力ください

レッツ・アウトプットファースト!

-- 2022/02/05追記 ---
上記で紹介した、CMC_Meetup Vol.20 の動画アーカイブ、ツイートまとめは、こちらでご覧いただけます。
■セッション動画アーカイブ

www.youtube.com

■ツイートまとめ

togetter.com

5年目のシマシマ団、オンラインシフトの行方 -- 2021年のJP_Stripesアクティビティログ

本ブログは2021年 Stripe Advent Calendar 2021 の12/2分のエントリーです。
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2017年3月に立ち上がった、オンライン決済プラットフォーム Stripe のユーザーコミュニティ:JP_Stripes。その年から始まったJP_Stripes のアドベントカレンダーで、コミュニティの1年の振り返りを毎年してきました。

そして、今回が5年目の振り返り、となります。

オンライン活用、リフトではなくシフトへ

昨年の振り返りで、実はこんなことを書いていたのですが、

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つまり、コロナ禍でオフラインでの勉強会ができなくなったからといって、オフラインでやっていた勉強会を単純にオンラインに移行するだけでなく、オンラインの良さを特徴を生かした運営にトライする、ということです。

そこで始めたのが、新しいシリーズ「Deep Dive」と「What's New」です。

■JP_Stripes Deep Dive

JP_Stripes Deep Diveというのは、Stripeが持っている様々なサービスから、毎回一つにフォーカスして、Stripe社員から機能紹介を深めにするのと、実際のユースケースをコミュニティメンバーが紹介して、利活用イメージを持ちやすくするセッションです。

内容についても、ある程度Stripeのことを知っている人向けと割り切り、JP_Stripes のFacebookグループ内への配信に限定しています。こんな感じで配信されますよ。

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JP_Stripes でのFacebook Live配信画面


Facebookグループへの配信は安定のStreamYardで! StreamYard、最近使っているコミュニティやイベントも増えてますが、私も2020年から結構「推して」マス。下記は、その推しブログ。

stilldayone.hatenablog.jp

 

■JP_Stripes What's New

一方で、JP_Stripes What's New は、直近でリリースされたサービスを、Stripeのナカの人が解説するセッション。時間も30分くらいでクイックにお伝えする内容にして、Deep Diveと同じくStremYard →  Facebook Live 配信。こんな感じで、ライブデモもお見せしながら新機能のご紹介をしています。

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ライブデモを実演中

Facebook グループ内でFacebook Liveを配信することのメリットの一つに、ライブ配信後そのままアーカイブになる、という点ですね。ライブで見逃した人もキャッチアップしやすい点にあります。もちろん質疑はライブでないと受けられないので、ライブで見る意味も十分にありますね。

What's New は、その内容からより多くの人に見てもらいたいという考えがあり、見逃し配信でもサクッとみられる(見る気になる)30分くらいのフォーマットにしています。

※見逃し配信例:JP_Stripes のFacebookグループ参加者の方は、コチラからアーカイブを確認できます。

 

ミートアップも地域軸からへトピック軸へ

一方、これまで各都市でオフラインで行ってきた勉強会は、2020年は各都市ごとにオンライン配信をトライしてきましたが、各地域ごとで配信環境を準備したりはそれなりに負担となるのがわかってきたので、配信環境は統合することで個々の負担を減らし、ミートアップの企画に専念するやり方にしています。

なので、JP_Stripes xx という風に、xxに東京とか福岡とか都市名が入っていた形態を一旦やめて、すべてJP_Stripes Online Meetup というカタチで運営しています。

運営母体は、各都市のJP_Stripes のリーダー層の皆さんの共同体のカタチにして、各ミートアップのオーナーも複数の都市のリーダーがトピックに合わせて合同で(この回は、東京のAさんと神戸のBさんで、という風に)行っています。

こちらのミートアップは、より多くの人に参加してほしい+インタラクションを多めにしたいという考えがあるので、申込はイベントサイトで広く受け付けて、参加はZoomでという形式です。告知はこんな感じ。

eventregist.com

また、コメントもTwitterで受け付けて、ログも広くアクセスできるカタチにしています。やはり、公開イベントとツイートまとめは相性いいですね。

togetter.com

 

まとめると、Deep Dive / What's New / Online Meetup はこの図のような関係性になります。

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こんなトライも

さらにこんなもやってみた、というところでは今年話題だったclubhouseですね。音声だけなので、カジュアルな場が作りやすいというメリットがあります。が、ログは残らないので、イベントツールとしてみると、その辺りは良し悪しは評価がわかれるところだとおもいます。

しかしながら、コミュニティにおける接触頻度をオンラインでも上げる方法としては、可能性があるツールだと思います。先日も、Stripe創立10周年(ちょうど日本法人も設立5周年だった)のタイミングで、こんなJP_Stripes on clubhouse放談をやってました。

www.clubhouse.com

 

また、StripeのワールドワイドでのカンファレンスであるStripe Sessionsが完全オンライン(一部は日本語字幕アリ)だったので、深夜にみんなで視聴しながら、日本語でツイートしていく、っていうのもやってました。#StripeSessions のツイートログを見ると、結構日本語勢が頑張っているのがわかりますね。

こういうのもオンライン時代の楽しみ方の一つかな、と。

twitter.com

コンテストでコンテンツ流通を加速

これは現在進行中の施策なのですが、コミュニティが産みだすコンテンツの流通をもっと加速して、価値あるものを共有していこう、ということでStripe Japan でも初となる「開発者ガイドコンテスト」を現在行っています。優秀賞は50万円! または1,800万円の取引決済までの手数料無料!と、Stripe初の日本でのコンテストながら、いきなり太っ腹な企画です。

とはいえ、一攫千金をあおりたいわけではなく、あくまで有益な情報にはきちんと対価を、という考え方なのでご理解いただければと。日ごろ、JP_Stripes の活動を通じて共有いただいている情報をドキュメント化して、より活用しやすい流れができることを目標にしています。詳細はコチラにて。

 

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〆切は12月末なので、結果がどうなるかはこれからなのですが、これもコミュニティ活性化の新たな施策として期待しています!

ついにコミュニティメンバーから「ナカの人」への流れが!

そして、Stripeのコミュニティ活動において、個人的に一番のハイライトがコレです。

AWSやkintone(サイボウズ)のコミュニティ回りだと、わりと初期のころからあった「コミュニティ転職」の流れ。活動が活発な(ベンダー系)コミュニティでは、その分野での能力が認められると、顧客間やパートナー間での転職、さらにはベンダー(AWSサイボウズ)への入社、という人的な流動性が高くなる傾向があると思っています。

私の古巣のAWSJAWS-UG でもそれは活発なのですが、ついにStripeでもそれが実現しました。京都、大阪、神戸のJP_Stripes を当初から盛り立てていただき、JP_Stripes の全国イベントである JP_Stripes Connect でも中心的な役割を担っていただいていた岡本さんが、今週からStripeの「ナカの人」に!

このあたりの経緯は、岡本さんご本人がブログにまとめてくれてますので、詳しくはコチラを!

zenn.dev

で、数字的にはどうだった?

わかりやすい数字で表現すると

  • ミートアップ数:10(Online Meetup:3 + Deep DIve:4+ What's New:3)
  • FBグループメンバー数:累計1,386(2021/01 - 11 で146名増加)

というところですね。

ミートアップも、フォーマットを増やすことで毎月何かしらのミートアップ開催を目指していましたが、ペース的には少し及ばず。その結果か、新規にFBグループに参加する人の伸びも、夏以降に鈍化しているのが見て取れます。

フォーマットを新しくするだけでなく、適切なケイデンスでやりきることの重要性を感じるわけですが、来年からは岡本さんという心強いメンバーがいますので、ペースを上げてやっていきたいなと思います。

 

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2021/01/01 - 2021/12/01 のメンバー増加数

What's Next?

ということで、2021年で固めた Deep Dive / What's New / Online Meetup のフォーマットの開催頻度を上げつつ(エンジンは2台体制になったのでできるはず!)、コロナ禍のおさまり具合と相談しつつ、オフラインのミートアップも再開していきたいと思います。しばらく開催できていない、全国イベント(JP_Stripes Connect)も2022年こそは、何らかのカタチで開催したいですね。

JP_Stripes の活動を通じてやりたいのは、ミートアップのフォーマットを増やすことではなく、コミュニティを通じてアウトプットが増えて、その情報を必要としている人により多く届くようにする、というところなので、その本質を見失うことなく、でも新しいトライもしていこうと思います。

2022年も、皆さんのお力を貸してください!

power of the community、またはおいしい味噌汁は如何にして作られるか?

おいしい味噌汁、皆さん大好きですよね。でも誰がどう作っても、必ず美味しくなるというわけではない。おいしくなるには理由があるわけです。

いいコミュニティを創ったり、コミュニティの力を引き出すのも、それと同じですよ、というハナシを高知でしてきましたので、その振り返り的なブログを。

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※ちなみに、私は素揚げのナスを使った味噌汁が好きです。下記で高知=カツオのイメージ全開にしてますが、ナスも高知が生産高一番!

www.kochike.pref.kochi.lg.jp


コミュニティリーダーが高知に集う!

カツオといえば高知、ですが、その高知に初鰹(5月)、戻り鰹(10月)という旬の時期に、コミュニティを運営したりリードしたりしている人たちが集まるコミュニティリーダーズサミット in 高知(以下、CLS高知)というイベントがあります。今年で4年目、そして10月16日に通算8回目を迎えたわけですが、緊急事態宣言やマンボウ明けというタイミングもあり、ハイブリッド開催ながらも高知の会場には県内外から50名近い方々が集まって(オンラインを含めると100名以上のエントリー)開催できました。

eventregist.com

本編の前にも、ワーケーション企画があったり、本編後にも大人の遠足企画があったりと、長い人だとまるっと5日間くらい高知に滞在して、コミュニティについて(カツオを食べながら)あれこれ語ったり、企んだりしています。人呼んで「コミュニティ合宿」状態

power of the community =「コミュニティの力」とは?

今回は、Code for Japan武貞さんAsana Japan / CMKT長橋さんとともにコミュニティの力とは何か? それはどう作られるのか? について語るセッションを担当しました。

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コミュニティに関わっている人ですと、いろんなシーンで「コミュニティの力」的なものを感じることがあると思います。しかしながら、その力が何であるかについては人によって理解に結構差があるのではないでしょうか? このセッションは、そんな「コミュ二ティの力」の正体や、それが生まれるメカニズム的なところを、コミュニティ最前線なお二人と紐解き、解像度を上げていくことで、コミュニティとのかかわりをもっと上手にできる助けになれれば、、、ということでセットしたものです。

で、そもそも「コミュティの力」とは何か?ですが、これには大きく以下の2方向があると思っています

  • 個人を束ねてより大きな力にする
  • コミュニティによって個人の力(信頼、能力)が強化される

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皆さんは、どちらの視点でとらえていましたか?

ビジネスでコミュニティを運営する人は、前者=束ねてより大きな力にする方向で捉える人が多いかと思います。一方で、コミュニティに参加したり登壇したりすることで、個人の信頼貯金が増えたり、自分や他のメンバーの能力に気づかされたり(「外のモノサシ」効果)することもあるかと思いますが、これは後者の視点ですね。

では、長橋さん、武貞さんは、どちらの視点で「コミュニティの力」を見ているのか?

1+1+1=10!

長橋さんがセッションの中で紹介してくれたのが、この式。算数的には正しくないですが、コミュニティ的には「あるある」と感じる人も多いのではと思います。要は3人の力が、コミュニティというケミストリーを起こす媒体を通すことで、3ではなく10に増幅される、というものです。ただし、もちろんどんな人でも3人集めれば10の力になるわけではない、そのケミストリーを起こすために重要なポイントとして紹介してくれたのが、①Delight、②Spotlight、③Co-createの3ステップです。

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①のDelightは、コミュニティに参加してくれた時に暖かく迎えること、具体的にはAsanaのコミュニティでは単にメッセージを送るだけでなく、Welcome Kit 的にSWAGを送ったり、大き目のイベントの前にもスペシャルなプレゼントを用意したりするそうです。ここでのポイントは、全員に対して行われる、ということですね。

で、Delightされた人たちの中で、貢献度の高い人を脚光をあてるのが②のSpotlight。コミュニティメンバーの活動を、他の人にも見えるカタチで賞賛、感謝するステップです。これは機会はメンバー全体に平等に提供されつつも、脚光を浴びるのは成果をあげたり貢献度が高かったりする人たちに絞られるのが①との大きな違いとなります。Asanaでは、動画コンテストやマイタスク選手権(←タスク管理ツールのコミュニティならでは!)等の活動からSpotlightの対象者を選定したりしているとのこと。

この絞り込み、選定の基準やプロセスが公正、透明であることが重要で、そうすることでSpotlightを浴びたメンバーが、他の参加者にとってのロールモデルになる=そのポジションを目指すフォロワーを生み出す、という流れができてきます。影響力の連鎖ができるとも言えますね。この連鎖により、1+1+1=10を達成する素地も作られるわけです。

そして最後の③Co-Creation。コミュニティにロールモデル、フォロワーの構図がができることで生まれる影響力の連鎖を、コミュニティの胴元であるビジネスサイド(長橋さんの例だとAsana)がコミュニティ運営や提供製品、サービスの改善に活かしていく流れです。

Asanaでは具体的に、コミュニティメンバーからコミュニティ運営の改善点や新しいイベントフォーマットについてフィードバックをもらったら積極的に取り入れてみたり、Asanaのサービス自体の機能改善やUX向上にもコミュニティメンバーに意見を聞いて取り入れていくサイクルを作っているそうです。こうしてコミュニティから出たいろんなアクションが、コミュニティそのものや、コミュニティの核となるサービスの強化に取り入れられ、メンバーに還流されるフィードバックループができることで、1+1+1=10に近づいていくのです。

コミュニティの声を製品やサービス改善に取り入れるフィードバックループの構築は、ビジネスサイドにとっては、1+1+1=10を達成するカギとも言えますが、コミュニティだけ作っても、製品開発、事業開発側にフィードバックループを回せる仕組みがないと絵にかいた餅になりがちです。実際そうなっている組織や事業も沢山見てきています。

1+1+1=10の実現のためには、製品開発、事業開発サイドも、コミュニティ活動にコミットが無いといけないことになりますね。(で、Asanaはそれが実践できているということでしょうし、私が所属していたAWS等もちゃんとフィードバックループができている事業の一つだと思います)

コミュニティ施策をビジネスで最大限に活かすには、より高い視点でのコミュニティへのコミットメントが必要になることが、このことからもわかるかと思います。

Ask not why nobody is doing this. You are the "nobody"=自分ゴト化

一方で、コミュニティのメンバーに「自分ゴト化」してもらうことが、「コミュニティの力」を生み出すというを話をしてくれたのがCode for Japanの武貞さん。

Code for Japan は製品やファンコミュニティと異なり、CivicTechという社会課題に関心がある方が参加するというカタチなので、メンバーのベクトル合わせ自体はかなりしやすい素地がありそうです。実際、Code for Japan の行動規約:Code of Condact では、前述した「リーダーとフォロワー」という関係性よりは、お互いがリスペクトし、オーナーシップ(主体性)をもってコミュニティに貢献する、という世界観が書かれています。そうした「自分ゴト化」できるメンバーが増えれば、コミュニティの持つ影響力や力は増大しやすそうですね。

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コロナ禍前は、Code for Japan のSlackの登録者数は400名程度だったのが、コロナ禍でやるべきこと、かかわるべきことが多くなったことで、一気に5,000名を超えるまでに成長したそうなのですが、自分ゴト化しやすい人が10倍以上に増えたら、これこそ「コミュニティの力」も爆発的に拡大することは間違いないでしょう。

皆さんも記憶に新しい、東京都での新型コロナウイルス感染症対策サイトのCodeが、瞬く間に各県のサイトに展開されるというピーク性のあるプロジェクトに対応できたのも、こうした「自分ゴト化」ができるコミュニティメンバーが多くいらっしゃった証拠であるといえますね。

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そして、コミュニティメンバーに「自分ゴト化」を促すコトバとしてよく使われているのが台湾のCivicTechコミュニティ:g0v のスローガンである「Ask not why nobody is doing this. You are the "nobody"」です。

Code for Japanの代表理事である関さんの訳によると、「誰もその課題を解決しないと嘆くならば、あなたが最初に始める「誰」になれば良いじゃないか」ということになりますが、こういう思いを共有しているコミュニティの力は強くなりますよね。

おいしい味噌汁になるために

もう一つ、武貞さんがほっこりするスライドでご紹介してくれたのが、味噌汁理論です。

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これは、Code for AIZUの藤井さんが提唱している「(CivicTech的活動における)コミュニティは作るものではなく、エネルギーの流れから浮かび上がってくるもの」を、もっとわかりやすく、味噌汁にたとえた理論とのことで、いただいた内容をそのまま記載すると、

「味噌汁が温かいとき、表面に模様(構造)ができますが、冷めると味噌とダシが分離」する(散逸構造論)
「みんな同じ」を志向してはダメで、差異の存在が構造を成立させる(=コミュニティの駆動力)、自己組織化のメカニズムが重要。

とのこと。

私なりに理解すると、個々のメンバー(具材や味噌やダシ)がどんなに良くても、コミュニティの熱量やお互いのかかわりが削がれてしまうと(冷めてしまうと)、コミュニティの分裂、弱体化につながるということかと。そのために、味噌汁が冷めないようにするのと同じように、コミュニティの熱量を上げたり保温したり、メンバー間のかかわりが絶えないようにファシリテーションすることが大事なんだと思います。それこそが、いわゆるコミュニティマネージャーや、ファシリテーターに求められる重要な役割の一つといえるでしょうね。

あと、”「みんな同じ」は強い構造にならない”とはいえ、Code of Conduct や後述するコミュニティの「旗」に同意するという一定の方向性は必要なんだと思います。

味噌汁にたとえると、味の方向性が合わないものは、どんなにあっためてもおいしくはならないのと似ていますね。味噌汁にマヨネーズやソースを入れる方はあまりいないはず。違っていればいい、というのではなく、一定の(味の)方向性が必要で、コミュニティもまさにそうだな、と。

ちなみに、あまり入れないかもしれないですが、味噌汁にトマトやケチャップを入れると更においしくなりますので、お試しを! 方向性というのは和風、洋風というふうに簡単には分けられない好例ですね。

実はトマトも高知がメッカですね。いろんな種類がありますがどれも濃厚でおススメです。初めからピューレやソースになっていると料理にも使いやすいですが、それなら人口5000人のとまと村・日高村のコチラがおススメです。

hidakawanowakai.shop-pro.jp

とはいえ、コミュニティには「旗」が重要

お二人に共通しているのは。コミュニティ全体の力を増幅するには、参加している個々人への注力が重要ということが挙げられます。

一方で、増え続けるコミュニティメンバー全員に、運営側がいつまでも寄り添い続けることはできないので、それぞれのロールモデルや関与すべきプロジェクトを見つけ、自分ゴト化が促されることで、メンバーが自走化していく、という構図も似ています。

その際、自走が暴走にならないようにするために必要なのが、このコミュニティは何のための存在しているか、何を目標としているか、という「旗」の存在です。

お二人のお話から、「コミュニティの力」を生み出すメカニズムやHow To について気づきを得られたかとい思いますが、その大前提として、コミュニティには「旗」が必要だということを忘れてはいけないでしょう。

 

一次情報

私なりにセッションでお話した内容をままとめてみましたが、何事も一次情報にあたるのは重要ですね。ということで、下記に資料やアーカイブへのリンクを置いておきますので、ぜひ皆さんも一次情報から得た気づきなどを共有いただけると嬉しいです。その際は #CLS高知のハッシュタグでお願いします!

■長橋さんのスライド 

 

■武貞さんのスライド

 

■セッションのアーカイブ

※映像開始後30分くらいからセッションスタートです。

www.youtube.com

次回のCLS高知は?

今回のCLS高知のハナシを面白いと思った方、次回は2022年5月21日(土)に高知で開催されます。旬の初鰹とディープなコミュニティ話にどっぷりと浸る合宿体験をしたい方は、ぜひSave the Dateを!

 

 

 

 

 

2021年前半戦のアウトプット(メディア露出)まとめ

2021年も気が付いたら夏休みも終了の時期。ブログ更新ができていなかったのを反省しつつ、ちゃんとアウトプットはしていましたよー、というエビデンス代わりに、主にメディアに掲載された記事などについてまとめておきます。 

Andy Jassy  のAmazon CEO就任とClubhouse旋風へのコメントから

2月に話題だったこの2つのニュースで、それぞれメディアにコメント取材いただくことに。特に日経ビジネスさんは海外駐在の方からの取材で、ちょっとグローバル感(笑)。

たまたま偶然が重なってのことですが、こんな時事ネタで日経ビジネス東洋経済といった経済メディアでコメントさせていただける(そしてそれがアーカイブされる)のは、楽しいですね。

 

日経ビジネスAmazon CEO(JB→Andy Jassy)交代劇についてコメント

business.nikkei.com

 

ちなみに、AWS在籍時に、JBとも直接会話させていただいたことがあるのですが、証拠の写真がブレブレですw

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JBとの「タイマン」写真

当時(2012年)のFacebook投稿↓

https://www.facebook.com/photo?fbid=288904117851887&set=a.265452323530400

 

東洋経済:Clubhouse旋風の背景についてコメント

toyokeizai.net

Clubhouse、その後2021年5月にはAndroid版(当時はβ)も展開されて、利用できるスマホの垣根もなくなってきたことで、日本では様々なユースケースが定着してきているかなと思います。MKタクシーさんのように、法人アカウント的に使われているところもありますし。

イベント、講座との連動記事が多め

今年も、マーケティング関連のセミナーや講座でいくつか登壇させていただいていますが、振り返ると、それと連動した記事が多めだったことに気が付きました。

こちらの2つは、NewsPicksのNewSchoolというプログラムで、4月から3か月ほど講座を持たせていただいたときの連動記事。

■NewsPicks:NewsSchool開講に当たっての内容サマリー的な記事その①

newspicks.com

■NewsPicks:NewsSchool開講に当たっての内容サマリー的な記事その②

newspicks.com

 

マイナビさんのB2Bマーケティングセミナー連動でも、登壇した2セッションとも記事化いただいてます。

マイナビ横河電機CMO 阿部さんとの登壇セッション記事

news.mynavi.jp

マイナビ:カスタマーサクセスとインサイドセールスの登壇セッション記事

news.mynavi.jp

毎回、マイナビさんのセミナーでは、一緒に登壇させていただく方のセレクションも含めてやらせていただいたいるので、結構楽しみだったりします。この回も、このテーマでお話したかった(もちろん、セッション内容に一番ふさわしいとおもってのセレクション、です)方々とご一緒できて満足!

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MarkeZineさんでは、早稲田大学NEOでのコミュニティマーケティングの講座を連続で取材いただき、計4回のゲストのお話もきっちり取り上げていただきました。

■MarkeZine: 講座の「はじめに」的な内容

markezine.jp

■MarkeZine:楽天さん登壇の回

markezine.jp

■MarkeZine:Salesforceさん登壇の回

markezine.jp

■MarkeZine:ヤッホーブルーイングさん登壇の回

markezine.jp

■MarkeZine:CMXConnect Tokyo代表・小野さん登壇の回

markezine.jp

 

Slack Japan がサポートしているオンラインコミュニティ「Slack Community Hub」のキックオフイベントでも登壇の機会をいただきまして、自分のセッション部分をASCIIさんに記事にしていただいています。

■ASCII:Slack Community Hub 登壇セッションまとめ

ascii.jp

これ以外も、登壇は結構あったのですが、こうして記事化もされると、より多くの人にアウトプットが拡がりますし、自分のアウトプットを第三者の目で言語化してもらえるので、自分へのインプットも多くなりますね。 

キャリア系の記事も増加中

これまで、どちらかというとマーケティングやコミュニティ運営といった、実務的な部分での記事が多かったと思うのですが、パラレルキャリアやガレージオフィス、ワーケーションといった切り口でも取材をいただくことが増えてきました。

こちらはそんなキャリア系の記事でまとめてみました。

まずは、ワンキャリアさんの転生就活。もし、今「就活生」に転生したら? という自身初の転生モノです(笑)。
 

■ワンキャリア:もし、今「就活生」だったら? に答えるインタビュー記事

www.onecareer.jp

 

マイナビさんには、ガレージオフィスにまで来ていただき、コロナ禍でのコミュニケーションや働き方の変化について取材いただきました。こちらは、前後編でボリュームある内容に。

マイナビ:公私混同のススメ、的なお話

news.mynavi.jp

マイナビ:ガレージオフィス開設に至るまでのお話

news.mynavi.jp

 

こちらは、お互いMS、AWS時代にはなかなか共演することがなかった、元MSの澤さんとのキャリア対談。コミュニティ北極星外のモノサシ、がキーワードの内容です。

■NewsPicks:「プレゼンの神」澤さんとの対談

newspicks.com

澤さんとの共演は、後日(8月29日)、Qiita×日立製作所主催のイベントでも再びありまして、こちらもコロナ禍を踏まえた、これからのキャリア形成について結構深いお話ができたのではと思っています。

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increments.connpass.com

こちらの内容が記事化されるか不明なのですが、これも記事になると読み応えありそうなので、勝手に期待しています(笑)。

当日のツイートまとめもありますので、これを追いかけていただくことで、内容がつかめるかも。

togetter.com

 

というわけで、ここまでのところ、2021年のメディア掲載記事は16本、でした。

番外編:二万匹でシラスを満喫の図がテレビに

地元・高知県安芸市の絶品しらすが、東京に居ながらにして味わえるお店「しらす二万匹」に、楽しい仲間と集う会合が、高知のテレビ局で取材されることに。高知限定での放送だったのですが、今のご時世、ちゃんとYouTubeで見られますね。ありがたい。

この会合も、お店を核にしたコミュニティとも言えますね。これを見て、二万匹に行きたい=このコミュニティに参加したい!と思った方、コロナ明けにぜひご一緒しましょう。

www.youtube.com

 

(コロナ禍明けての)二万匹の再オープンまでは、こちらのECサイトで「予習」できますので、ぜひ(笑)

20000.shop

後半戦もアウトプットファーストで!

記事化いただいた数に対して、ブログはなんと2本しか書けてません。これではだめですねー。なので、9月からはブログも含め、どんどんアウトプットしていきますよ!

JUST DO IT!!

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

You are what you eat 2020 -- コロナ禍でも腹は減る

間違いなく歴史の教科書に載る年になる2020年。コロナ禍をトリガーに予想しないことが起こる日々だったわけですが、そんなときでも人間腹が減る。ということで、あえて日常の記録的に、2020年に食した皿の数々から各月に記憶に残った一皿をログってみます。

1月:根室・タラバガニ内子

コロナの影響がまだ少なく、1月は長期北海道に出張に行っていたのですが、そこで出会ったのがコレ。

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タラバガニの内子、です。根室の夜に出会った一品ですが、もちろんお初。タラバの内子は黒いというのに驚き、そのねっとりとした食感が冷えた日本酒と合いますよ。というわけで、根室に訪れたらぜひコチラのお店に。

tabelog.com

2月:福岡・豚そば

ヌーラボの仕事の絡みもあり、福岡に行く頻度は高いのですが、2月にいつもいく中州の餃子専門店・雲宝亭にいった時に店を出たところにある「豚そば」の看板を発見。そのまま吸い込まれて食したのがコチラ。

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いわゆる博多ラーメンとはまったく違うテイスト、というかこれまで食べたどのラーメンとも系統が違いつつも、そのうまさにいっぺんではまりました。最近、東京でも進出してきたようですが、博多に行った際はぜひコチラに。

tabelog.com

3月:千葉(内房)・黄金アジフライ

前月(2月)に手に入れたばかりのバイク(BMW HP2 Sports) で出かけた房総ツーリングでの友人に勧められていったお店でのランチ。かなり大ぶりで、揚げ色も美しく「黄金アジフライ」の名にふさわしい一品。

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房総方面にお出かけの際はおススメですよ

tabelog.com

ちなみに、HP2 Sportsはこの右リアからのアングルが独特で気に入ってます。ただツーリングに行くには少々航続距離が短い(200Kmで給油必要)な感じ。

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4月:北海道・宝永餃子(お取り寄せ)

これはお店で食べたのではなく、家で調理したのですが「お取り寄せ」ということでg紹介。4月から始まった、こちらの逸品餃子頒布会に参加しているのですが、

prtimes.jp

このサービスで初回に配布されたこの餃子が素晴らしいクオリティ!

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こちらのサービスでは、毎月全国から様々なタイプの餃子を送ってくれて、どれもおいしくいただいているのですが、初回のこの餃子が自分には特に相性ピッタリだったようです。

現在、逸品餃子頒布会は新会員の募集はやっていないようですが、お取り寄せはコチラのお店のサイトからもできますよ。

www.gyouza-houei.jp

5月:北九州・資さんうどんのもつ鍋(お取り寄せ)

このころになると、出張どころか、都内のオフィスに行くのも難しくなってきたわけですが、そこで増えてきたのがお取り寄せをウチで楽しむスタイル。北九州の資さんうどんといえば、その名の通りうどんが有名ですが、通販で見つけたのがコチラの「もつ鍋セット」。〆はとうぜん資さんうどんでいただけます。かまぼこにも「資」のマーク。

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博多の専門店で食べるもつ鍋とはまた違った感じですが、モツもたっぷり入っていてなかなかオトクなセット。気になる方は、下記からお取り寄せできます。

sukesanstore.com

6月:千葉(外房)・ネギマ(ネギとマグロのカマの煮付け)

密を避ける移動手段としてますますバイクを多用していたこのころ。天気の良い日に出かけた外房での逸品。メニューには「ネギマ」と書かれていますが、いわゆる焼き鳥のネギマではなく、大ぶりなマグロのカマの煮付けに、ネギがいいマッチング。

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これに生卵をかけていただくのですが、ゴハンが進みすぎるので、ダイエット中の方はご注意を!

お店は安房の海岸線にあり、ドライブ、ツーリングに立ち寄るのにいいロケーションですよ。

tabelog.com

 

7月:北海道(鶴居村)・エゾジカBBQ

7月は密を避けて(?)、北海道の道東エリアにワーケーションに行ってました。ちょうど当時の菅官房長官がワーケーションを推奨する記者会見をしたこともあって、ワーケーションの模様がジャパンタイムスに取材されたりもしました。

www.japantimes.co.jp

北海道のワーケーション中は、美味しいものが多くなかなか一つを選ぶのは難しいのですが、記憶に残ったのはコレ。インパクトありますよね。

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エゾジカです。それもたくさんご用意いただいたものを、豪快にBBQでいただくスタイル。

ちなみに、この肉は現地のガイドの方に手配いただいたものなので、普通にはなかなか出会えないかもですが、鶴居村のホテルでも、かなりクオリティの高いエゾジカ料理を出してくれますよ。

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写真のエゾジカステーキは、鶴居村のホテルTAITOのグリル&バーでいただけます。

www.hotel-taito.co.jp

 

8月:東京(六本木)・しらすバター丼

8月の、というより、今年の外食で最も多くリピートしたメニューがおそらくコレ。昨年末に六本木に引っ越しした土佐料理の店「しらす二万匹」で、〆に必ず出してもらうシラスバター丼。記録によると、8月も2回行っていたようです(笑)。

 

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高知県産の新鮮なシラス(10月に高知の工場も見に行きましたが、まったく魚臭さがない、衛生的な生産ラインでした!)と、香り米として有名な仁井田米、そしてフランスのエシレバターのマッチングが素晴らしい逸品。シラスのアヒージョも一緒に頼んで、その出汁が出たオイルを最後に垂らすと更に味変します。

シラスにいい印象がない人も、ここのシラスを食べると考えが変わるはず。9人いれば貸し切りもできるので、ぜひ。

tabelog.com

9月:東京(四谷)・ポークかつれつ

支援中のLINEのAIカンパニーが新宿のミライナから、四谷のコモレに移動したのに伴い、四谷に行く回数が増えました。となれば、自然とここにも足が向きますね。洋食の有名店・かつれつ四谷たけだのポークかつれつ。

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有名店なのでいつも行列の印象でしたが、コロナ禍の影響か、比較的入りやすい日が多いようです(その代わりデリバリーのピックアップがひっきりなしに来ます)。なので、いままで行列であきらめていた人も、今ならチャンスかも。

tabelog.com

10月:高知・ひろめ市場のカツオの漬け寿司

10月は好例の CLS高知【戻り鰹編】の参加で、これまた密を避けてバイクで高知まで行ってきました。

togetter.com

この時期はいわゆる戻り鰹の時期で、脂がのった美味しいカツオをタタキや、

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皮付き刺し身でおいしくいただける時期なのですが、

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今回、初めて出会ったのが、いわゆる「漬け」を使ったカツオの握り。いや、普通に鮮度の良い鰹が入るので、わざわざ漬けにする必要なんかないとこれまで思っていたのですが、これはあっという間にお皿がカラに。漬けにすることで、また旨味が増しますね。もちろん一緒にお酒も進みます。

 

旬の鰹の漬け寿司、タイミングが良ければ、ひろめ市場のやいろ亭で出会えますよ。

tabelog.com

11月:金沢・香箱ガニ

ちょうどSSTRというイベント絡みで金沢に行く日が「香箱ガニの解禁日」と聞けば、これは不可避な流れ。知人がお店を手配してくれたこともあり、お初の香箱ガニを堪能させていただきました! 

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カニ料理って、食事中(身を取り出すのに夢中になって)無言になることも多いのですが、香箱ガニはご覧の通り「あとは食べるだけ」状態で出されるので、イイですね。

今回お世話になったお店はコチラ。

tabelog.com

ちなみに、今年のSSTRは例年のバイクではなく、諸事情によりクルマでの参加となりました。せっかくなので、SSTRゴールの千里浜で夕陽をバックにパチリ。

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12月:東京(谷中)・「肉と日本酒」の特製牛丼

予約が取りづらい「肉と日本酒」ですが、今年もご縁があって、予約していただいた席に呼んでいただくことができました。このご時世なので、だいぶ定員を減らしての営業だったのですが、お肉の質と品ぞろえは相変わらずのハイクオリティ。

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そんなこのお店で、いつも楽しみなのが特製の牛丼。高品質な肉を使っているので美味しくないはずがありません! 私は〆的にいただくことが多いのですが、今回も最後にいただきました。もちろん、生卵を添えて。

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2021年も、ぜひ行きたいお店です。

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【番外編】高知・チョンマゲの玉子焼きめし、バッフォーネのジェノベーゼ、ソライロの特塩うめラーメン

10月の高知では鰹を推しているのですが、その高知でどうしても紹介しておきたいのがコチラの3品。高知に来た人は、やはり鰹をはじめとする魚系に行かれる方も多いと思いますが、この3店は食材や調理法や素材には特に高知色はないのですが、このシンプルなメニューなのにリピートしちゃうウマさです。高知に行かれる際はぜひチェックをー。

 

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さて、2021年は?

まだまだ行動が制限されている状況ではありますが、新しいお店や味に出会う楽しみは無くなりません。最近はお取り寄せやデリバリーも進化しているので、そうしたものも駆使しつつ、新しい出会いを楽しんでいく所存です。

でも現地主義なので、状況許せば、どんどん現地に行きますよ!

 

コロナ禍におけるJP_Stripes 活動奮戦記【2020年版】

このブログは、JP_Stripes Advent Calendar 2020の12/8分のエントリーです。

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2017年3月に立ち上がった、オンライン決済プラットフォーム Stripe のユーザーコミュニティ:JP_Stripes。その年から始まったJP_Stripes のアドベントカレンダーで、コミュニティの1年の振り返りを毎年してきました。

stilldayone.hatenablog.jp

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ということで、4年目の今年も JP_Stripes のアドベントカレンダーに投稿しております。とはいえ、2020年はこれまでにない大きな変化があったわけですが。

コロナ禍で、オフライン開催が急減速

昨年まで順調に開催都市を増やしていたJP _Stripes ですが、2020年も1月の札幌(1/17)、島根(出雲)(1/25)、大阪(1/27)、2月の金沢(初開催!)(2/22)、会津(2/28)と、新たな開催地も加えながら出だし好調なスタートでした。ところが、3月に入ったところで、コロナ禍の状況がかなり深刻となりキホン的にオフラインのミートアップは中止ということに。

3月には新たな開催地ということで鹿児島でのミートアップも3/19に予定されていたのですが、こちらは幻の開催地となってしまいました。

試行錯誤のオンラインミートアップ対応期

オフラインではミートアップができない、とは言え、コミュニティでのアウトプットや情報流通が止まってしまうのは開けたい状況です。もちろん、Facebookグループでも日ごろ情報流通をすることは可能なのですが、やはりイベントドリブンというか、ミートアップのタイミングでコンテンツが生み出されるというサイクルが強いので、ミートアップのオンライン開催対応が急務となったわけです。

とはいえ、オンライン配信のノウハウが、今ほど広まっていない時期ということもあり、ボランティアベースのコミュニティ活動では、なかなか難しいなと思っていたところに、我々の前に現れたのが「天神放送局」さん。

www.tenjinbc.com

コロナ禍において、彼らに助けられたコミュニティは数多くあると思いますが、JP_Stripes もタイミングよく彼らのサポートを得ることができました。

天神放送局の拠点の一つが福岡だったこともあり、3月にオフライン開催予定だった福岡のミートアップを、スピーカーだけ配信場所に集まり、無観客で天神放送局さんからYouTube配信するという形式に。こうして、手探りながらも3月のうちにJP_Stripes のミートアップのオンライン対応という実績解除をすることができました。

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天神放送局・福岡スタジオから、初のJP_Stripes オンライン開催


その時の模様はこちらのブログに詳しく記載されています。

tech.innovator.jp.net

 

この時点で既に意識していたことは、合いの手を入れる「聞き手」を配したプレゼンフォーマット。オンラインで登壇したことある方であれば経験があると思うのですが、観客の反応が見づらい中での単独プレゼンは、早口になったりして聞きづらかったりするものです。オンラインでもより聞きやすい、わかりやすいセッションを行う上で、この2名体制でのプレゼンは効果高いと思います。

また、上記のブログを見ていただくとわかるのですが、視聴者が全国から参加可能ということで、いつものオフラインでの地方開催の時よりもたくさんの反応をいただけることもわかりました。

サステイナブルな運営、配信フォーマットを求めて

無事に初のオンライン開催を行ったJP_Stripes ですが、毎回天神放送局さんの力を借りつわけにもいきません。コミュニティメンバーだけで運営できる方法を求めて、いろいろとサステイナブルな方法を模索しましたが、今のところZoomでの配信が主流となってきています。

運営メンバーにノウハウがあれば、Zoom → YouTube 配信もできますが、それなりに機材やスキルが必要となります。ですが、YouTube 配信ができれば、そのままアーカイブもできるのは魅力ですよね。


【Live】JP_Stripes (Stripe ユーザーグループ)in サッポロ Vol.6

それがそろわないときには、無理せずZoom Meeting でお互いの顔が見える形で運用しています。実際、懇親会などをオンラインで行うときには、Zoom Meeting の方がやりやすかったりしますので、どちらもメリットあると思います。このあたりは運営メンバーと、想定参加者数を考慮してチョイスするカタチが現実解となっています。

あと、新たな方法としては、StreamYard を使って、JP_Stripes のFacebookグループに配信するフォーマット。これはZoom Meeting 同様、機材もほとんど不要ですし、ワンオペで運用できるの運用負荷は低めですし、参加者のコメントもZoom よりやりやすいと思います。このあたりは以下のブログにもまとめていますので、興味ある方は参考にしてみてください。

stilldayone.hatenablog.jp

 

ちなみに、オンライン開催になってから、地方グループ単独で行うよりも、同地域の複数グループ(瀬戸内エリア、とか九州・沖縄連合とか)での共同開催をトライしています。地方のコミュニティは運営者の絶対数が少なく、負担が大きくなりがちですが、このように近隣グループとの共催のカタチを取ることで、運営負荷を減らしながらサステイナブルなコミュニティ運営を模索しているところ、です。

が、この合同開催のモデルも、調整する相手が多くなることもあって、オフライン時代に比べて、開催頻度を数多くすることがまだできていません。結果的に今年後半のミートアップ開催ペースは、2か月に1回くらいに落ち込んでしまっているので、ここは来年に向けて改善してきたいなと考えています。

 

オフラインにこだわり開催延期した全国イベント(JPSC2020)

このように、コロナ禍でも新フォーマットを模索しながらコミュニティ活動を継続することができたのですが、ひとつやり残した大きなプロジェクトがあります。

それが、JP_Stripes の全国規模の年次カンファレンス・JP_Stripes Connect 2020(#JPSC2020)

connect2020.jpstripes.com

今年は、昨年に規模を上回る5トラックでのセッションを用意していて、スピーカーのアサインや、スポンサーの獲得もほぼ済んでいたた中、コロナ禍と遭遇してしまいました。

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5トラック・30+セッションを予定していたJPSC2020 のタイムテーブル

他のコミュニ二ティの全国カンファレンスの多くが、オンライン開催に舵を切ったなかで、JPSC2020については「オフラインで全国メンバーと会える場」であることにこだわり、「延期」というカタチで一旦プロジェクトを凍結しました。

オリンピックと同じく2020年中の開催はできませんでしたが、2021年に当初の狙い通りオフライン開催とするのか、時流に合わせてオンライン開催とするのかはまだ検討中です。このあたりは、今年の知見も生かしながら、コミュニティメンバーにとっての最適解を見つけていきたいです。

 2021年の展望。オンラインへのリフトではなくシフトを

2020年12月現在、まだまだリモート前提のコミュ二ティ運営が続きそうですが、これまでのオフラインのコミュニティ運営を単純にオンライン化する(リフト)のではなく、オンラインならではの特性や良さを生かした運営フォーマット(シフト)を模索していきたいと思います。その為には、コミュニティ内外の方の知見や協力をいただきながら進んでいくしかありません。

現在進行形のこのお話の続きは、 12/14開催のCMC_Meetup でもディスカッションする予定です。お時間よろしければぜひご参加いただき、コメントやフィードバックいただけると嬉しいです!

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