マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

公私混同スタイルを(一部の人に)おススメする理由

「公私混同」と聞くと、ネガティブなイメージを持つ人も多いかと思いますが、ここでは極めてポジティブな意味合いで使っています。で、タイトルの件はここ最近ずっと思っていたこと。仕事とプライベートの境目がいい意味であいまいな、というか、その人のスタンスというかありようが、どちらの時でも「一貫している」方が、結局仕事もプライベートもパフォーマンスが出て楽しめているのではないか、いやむしろ最強なのではないか、という仮説。で、半年ほど前に、ソーシャルに投稿してみたのですが、けっこう賛同者が多そう(Like:350+ / コメント:35)なことも確認できました。

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この時は、ちょっと気弱に「マーケティング」領域に限った書き方になっていますが、本心としては、勤務時間や生産設備(や販売施設)に直結している業務でなければ、けっこう多くの人が該当すると感じていました。が、「なぜそうなのか?」がきちんとストーリー立てて説明できていなかったので、年始の時間を使って言語化にトライ。

 

  • 注意:ここでいうところの「公私混同な生き方」が全員に向くハナシではないと思いますし、ワーカホリック信仰者というわけでもないです。ましてや人に強要したりするとブラック感も漂いますが、自分の周りでパフォーマンスを出している人たちには、結構このタイプが多いように思いましたので、この考え方が合う方もいるはず! と思いつつ書いてみます。


ワークライフバランスって?

仕事とプライベート、というと「ワークライフバランス」という言葉を連想される方も多いと思います。この言葉が使われるようになってからずいぶん経ちますが、日常会話的にはまだまだ浸透中というステージでしょうか。で、多くの場合は「仕事とプライベートをしっかり分けて、プライベートの時間をきっちり取りましょう」という意味で使われるようです。

jinjibu.jp

定義もいくつかあるようですが、厚生労働省の定義を引用すると、

「仕事活動」と家庭・地域・学習などの「仕事以外の活動」をさまざまに組み合わせ、バランスの取れた働き方を安心・納得して選択していけるようにすること。

となっています。これだと、24時間をいわゆる「仕事時間」と「プライベート時間(仕事以外の活動時間)」で奪い合うことになりますし、どこか「仕事は苦行」的な発想から来ているように感じます。確かに仕事は真剣勝負ですしタフなことも沢山ありますが、ネガティブな要素満載というわけでは無いと思います。元マクドナルドの足立さんも「ワークがそんなに悪なのか?」ということを指摘されています。

agenda-note.com

わかりやすく、仕事以外の苦行(?)を例にとってみましょう。私のまわりはマラソントライアスロン等のハード系のスポーツに取り組んでいる人が多いのですが、これらのスポーツは苦しい局面はありつつも、楽しめている人が多いように思います。
というか、楽しめていなければそもそも続かないですよね?

この違いは、どこからくるのか? と考えるとやはり「自分ゴト化」と「時間の使い方」にあるのではないかと思います。

「自分ゴト」になれば、パフォーマンスも上がる

そんなスポーツでさえも「やらされている」ものは楽しめないですよね? それと同様に、仕事でも「やらされ仕事」の比率が高くなると、苦行感が増すのは間違いありません。

逆に「やりたい仕事」だとどうでしょうか? 「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、どストライク(自分が自信がある、自分が得意なエリア)な仕事の方が自分ゴト化しやすいし、パフォーマンスも上がるに決まってます。それも、自分から売り込むのではなく、向こう(仕事先、上司、その他外部紹介)からやってくるのが理想のカタチでしょう。

海外では仕事の自分ゴト化を、パーソナルロールエンゲージメントやワークエンゲージメントと呼んで、重要視している模様。

learning.umu-japan-blog.com

もちろん、やらされ仕事であっても、きちんとやることは重要だと思います。ただし、与えられたことだけを淡々とこなしていると器用貧乏になってしまう。それより、仕事を任されたときこそ、積極的に期待値コントロールを心がけたほうがいい。仕事を振られたときに「いつまでに、何をやればいいんですか?」とオープンクエッションしてしまうと、自分のコントロール範囲を完全に放棄しすることになりますし、頼りなく見られてしまいがちです。それより、「いついつまでに、これが出来ていればいいんですよね?」と、期待されているであろう結果を、自分から提示してすり合わせるスタイルのほうが、自分がコントロールできる範囲も広いうえに、自分が設定したゴールに向かって進めることになりますので、自分ゴト化しやすい。結果、成果もあげやすいわけです。そして、仕事を投げる側からは「お、わかってるな!」と思われるので、信頼も高まりますね。

このような方法も含めて、自分以外の人から見て、「あの人のストライクゾーンはここだ!」「この人に聞くのが一番信頼できる」と思われるようになるのが理想的だと思います。その状況を作り出すためには、

  1. アウトプット:自分が何ができるか、何が得意かが証明できるアウトプットを増やし続けること
  2. 期待値コントロールこの分野、この仕事なら必ずやってくれそうだというパフォーマンスへの期待値、またはこの人と一緒に仕事をしたい、という信頼感を適切にコントロールできること(盛りすぎるとダメ!)
  3. 推薦者の獲得:自分で売り込むのではなく、「あの人は○○がスゴイ」という評価を伝えてくれる第三者が増え続けること

の3つが揃うことが重要です。では、その3つを最大化する上で効果的なやり方とは何か? その最たるものが「公私混同」だと思うのです。

公私混同は自分ゴト化を進め、チャンスを最大化する

もし仕事とプライベートの時間を完璧に分けてしまったらどうでしょうか? 例えば、現在は直接仕事関係にない人に会うときに、自分がどんな仕事をしているか、どんな実績があるか、どんな仕事をやりたがっているのか、を知ってもらう機会を失うことになります。

1日は24時間以上増えませんし、知り会える人の数にも物理的な限界があります。であれば、これから会う人は仕事とは関係ない、と自分で一方的に線を引く必要は無く、自分がどんな人であるかを知ってもらえた方が、思わぬご縁につながることがあります。友人関係から出会うことになった人でも、意外と近しい業界や分野にいることが多いものです。そのチャンスをみすみす少なくする必要はありません。

一方、仕事的な部分だけで、第三者の信頼を得たり、新たなフォロワーを産み出し続ける(逆にロールモデルを見つける)のも視野の狭い方法と言えます。その人となりに惹かれたり興味を持ってくれた人が、後々仕事で関係を持つことも多々あります。もっと言うと、自分がどういう生き方をしたいのかと、実際に仕事で携わる内容に乖離が少なければ、自ずとこうした公私混同状態になりそうです。でも、これはあくまでも究極の姿であり、そこまで完全一致していなくても公私混同はできると考えています(そうしないと、公私混同できる人はホントに一握りの人になってしまいます)。

そう考えると、仕事の顔とプライベートの顔を使い分けるのは、機会損失のほうが多そうです。もちろん業務中に、ずっと趣味のハナシをする必要もないですし、一緒にスポーツに興じているときに、今抱えている仕事のハナシをする必要もありません(むしろ、ウザがられて逆効果)。

大事なのは、自分がなにができる人間なのか、どんな分野に強いのか、何に興味を持っているのか、について自分からくどくどと説明しなくても、日ごろの言動や実績、他人の評判で伝わっている状態になることです。こうなればチャンスはどんどんと拡がっていきます。

コミュ二ティで公私混同が加速する

公私混同している人は、正式な業務でない(会社から業務時間とみなされない、または交通費などのコスト負担がされない)場でも、興味のある人や話題が集まる場であればその人個人として(自腹で)どんどん参加していきます。それは、その行動が有形無形のカタチで、自分に戻ってくることを確信しているからこそできるわけです。(必ずしも金銭的なROIが良い、という意味あいではないです)

そして、直近の仕事や趣味や政治問題といった「関心軸」を共有する人や団体と次々に繋がっていきます。最近は、こういう関心軸で集まれる場が「コミュニティ」として認知されるようになってきています。まさにコミュニティ時代到来。こうしたコミュニティを通した出会いが更に出会いを呼ぶようになり、外の世界や価値観につながる機会も自然と多くなってきます。こうやって、自分の枠を緩やかに「越境」しながらアウトプットを続けていくことで、自分が得意とするエリア(期待値)も、自分を知ってくれる人(推薦者)も更に広がっていくわけです。

このように、コミュニティを通じて生まれるつながりの連鎖が個人の価値を高める状況がもっと広まっていくでしょう。 #武闘派CIOとして知られるフジテックの友岡さんも「会社の枠に閉じこもらず、コミュニティと接点を持つ方が合理的(意訳)」と説いています。

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 一方で、公私混同&コミュニティ参加を推し進めていくと、これまでの会社で当たり前にあった「就業時間」的なモノが足枷になってきます。おおざっぱに言うと9:00-17:00がワーキングタイムで、業務外と認定されることはそれ以外の時間でやるべし、という考え方です。東京圏の人だと、この方法でもアフター5で参加できる勉強会やコミュニティが沢山あるのでまだ何とかなる気がしたりしますが、地方に目を向けるとアフター5に東京の勉強会に参加して、翌朝は地元の会社に出社するというのは不可能です。つまり現行の労働状況だと地方に住んでいるだけで不利な状況に陥ることは明白です。

東京、大阪、福岡といった地場にコミュニティが多くある都市でも、その地域の人としかつながっていなければ、(外部からの流入は多少ありますが)拡がりはありません。やはり自らホームグラウンドを離れて、外の世界に越境する時間を持つ必要があります。そうなると、移動はアフター5のみとか、移動した日はまるまるビジネスオフというのは合理的な選択ではなくなってくるわけです。

ワーケーションは「就業時間」概念を無くす追い風になるか?

公私混同を、常日頃できる人は、特定の団体に縛られないパラレルキャリアな人や個人事業主、および真の意味での完全裁量労働が認められたひと握りの人だけ、というのが今までの状況でしたが、ここにきて新しい追い風が出てきました。

それが「ワーケーション」という考え方

www.sankei.com

今のままでは、ワーケーションといっても、勤務地が旅先なだけで、就業時間という考え方は残っています。なので、このままでは十分ではないのですが、勤務地や所定のリモートワーク場所(←リモートワーク場所が指定されてること自体不思議ではありますが)から離れやすくなっただけでも大きく前進していると言えるでしょう。これが日中に移動しながらでも、現地のホテルについてから夜仕事をして一定のパフォーマンスを出せば良しというカタチまで進化すれば、いろんな場所に出かけることもハードルが低くなります。つまり固定的な就業時間という呪縛からの解放が理想です。今後の「働き方改革」の流れがどのようになるのか、にも依存しますが、こういう方向に進むと、いわゆる会社勤めの方でも、公私混同がもっとやりやすくなるはず。

公私混同では、時間の色分けは「混色化」し、一つになる

混色(こんしょく)、という言葉をご存じでしょうか? 最近「チコちゃんに叱られる!」でも取り上げていたので、記憶に新しい方もいると思いますが、

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詳細説明:http://rock77.fc2web.com/main/color/color1-6.html

異なる色の面積がどんどん小さくなると、一色に見えてしまう、というアレです。(チコちゃんでは、ホコリが複数の色の繊維でできているのに、遠目には灰色に見える、という話でした)。公私混同していくと、時間配分がどんどん細切れになっていき、はた目から見ると仕事とプライベートの区別がつかない状態になるのではと思います。

これは持ち時間が仕事一色になる、ということではありません。仕事とプライベートを切り替えるのに必要な時間が不要になり、むしろ、プライベート色の強いことに費やす時間を増やすことになると思っています。

前述したマラソントライアスロンに入れ込んでいる人たちを例にとると、通勤時間や仕事の合間、更にはランチタイムにもちょっとしたトレーニングや体にいい食事、飲み物の摂取をして、スポーツに関わる時間を増やしていると思いますが、それと全く同じと考えればわかりやすいと思います。

あまり参考にならないかもですが、下記のような「旅をしながら仕事」というスタイルも、混色化の一つのカタチかも。

stilldayone.hatenablog.jp 

少数派、でもこういうスタイルがあってもいい!

環境的には少しづつ良くなっているとはいえ、まだまだ公私混同を貫くには、雇用形態や評価制度など、いろいろ整備されなければいけないことが多いのも事実。そして、全員に向いているスタイルとも言えないかもしれませんし、そもそも世の中の人全員がこのような公私混同タイプだと、それはそれで大変な気がします。ですが、この公私混同スタイルが向いている人も潜在的に結構いるのでは、と思っています。

そんな公私混同な人が、働き手の2割くらいを超えてくると、日本の「働き方改革」もますます面白くなってきそうです。もし、こうしたスタイルが合っていると感じたら、公私混同を促進する、アウトプット/ 期待値コントロール / 推薦者の獲得、の3つを意識的にやってみてはいかがでしょう?  少なくとも日常がちょっと面白くなることは保証しますよ!