マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

7年目のシマシマ団、その舞台裏(Behind the scene)

本ブログは、JP_Stripes Advent Calendar 2023 の12/18分のエントリーです。

adventar.org

 

2017年3月に立ち上がった、オンライン決済プラットフォーム Stripe のユーザーコミュニティ:JP_Stripes。その年から始まったJP_Stripes のアドベントカレンダーで、コミュニティの1年を毎年振り返ってきました。

そして、今回が7年目の振り返り、となります。

2023年最後の JP_Stripes 開始前の一コマ

活動量と体制

2023年最後のJP_Stripes は、12月15日開催の JP_Stripes 東京 vol.17 でした。発足した、2017年3月のキックオフから数えて、129回目のミートアップ、約7年間弱の累計活動量はこんな数字になってます。延べ344人のスピーカー(私やデベロッパーアドボケイト等、Stripeのナカの人の登壇はカウントしていません)が129回のミートアップでお話いただいているので、大体各回3名位の外部スピーカーがいらっしゃる計算になりますね。

JP_Stripes これまでの累計活動量

このうち、2023年に関していうとミートアップの数は20回、でした。(ちなみに、私自身はCMC_MeetupCLS高知 の活動も関わっているので、個人での活動量は今年は40回になります。)

で、JP_Stripes の活動ですが、リブートも3か所(神戸、会津、広島)あったほか、新たに鹿児島でキックオフなど、数字だけみるとコロナが明けて順調に活動が回復、拡大しているように見えますし、そう見せてもいいんですが、それをやっちゃうとStripe以外で、企業側やユーザー側でコミュニティに関わっている人に「誤った」メッセージになるな―と感じるようになりました。つまりコミュニティを立ち上げて、何回か開催したら、あとは勝手に自走する、という幻想が拡がるんじゃないかと。

実際、そんなことはないわけで、立ち上げから7年近いコミュニティでも(だからこそ)やることをきちんとやっていないと、すぐに活動が止まってしまいます。そんな状況になるコミュマネやコミュニティが少しでも減るように、今日は「普通に見える活動の舞台裏」について書いてみます。

尚、前提となるStripeの日本におけるコミュニティ支援体制は、私=エバンジェリストと、デベロッパーアドボケイトの岡本さんの2名体制です。
私はStripeではほぼコミュニティマネジメント(+スピーカー)専任ですが、ご存じの通りパラレルで仕事している関係上、フルタイムのコミュニティマネージャーというわけではないです。Stripeに投下している工数は人月計算すると0.3人月以下だと思います。

上段の四角の枠が現在(2023年12月)の複業支援先

 

そして、デベロッパーアドボケイトも、DevRelで様々なコンテンツを提供するのがメインミッションなので、コミュニティ施策に100%のリソース投下をしているわけではないです。コミュニティに関わる業務は、おそらく0.5人月位ではないでしょうか?

ちなみに、デベロッパーアドボケイトとしてのQiitaへの記事投稿はこの2年で200を超えたようです。スゴイ!

qiita.com

2人合わせても、1人月の専任者よりは投下工数は少ないわけですが、コミュニティマネジメントとコンテンツ作成の両方の機能をカバーできているのは強みだと思います。

では、この1人月以下の体制で年間20のミートアップを回していくうえで、何を気を付けているのかについて以下に記載します。

Behind the scene ①:リーダーとのシンクロ率

7年たっても、やはりここが基本ですね。組織でリーダーシップとマネジメントの両輪が必要なように、コミュニティでもその2つがしっかりとかみ合っている必要があります。具体的にはコミュニティリーダーとコミュニティマネージャーが、①共通のゴールを目指していて、②そこに向かって役割分担ができていて、③どちらかが十分できていないときは双方がカバーできる状況、と言えます。

イメージ的にはこんな感じ。

コミュニティにはリーダーシップとマネジメント双方が必要

特に③については、にゴール、目標を共有しているだけではなかなか難しくて、コミュニティマーケティング的なメカニズム、力学を双方が理解している状態が望ましいですね。実際、このあたりがうまくいっているエリアのコミュニティリーダーの方々は、(コミュニティマーケティングを学んだり、実践できる場である)CMC_Meetup への参加率、登壇率も高いので、これは明確な相関関係があると思います。

余談ですが、CMC_Meetup は地方開催の頻度が高いので、地方でコミュニティリーダーを「育成したい」と思っているコミュマネの方は、お近くでCMC_Meetup が開催される際に、参加を呼び掛ける(なんなら一緒に参加する)のも有効だと思います。

CMC_Meetup の開催情報は、こちらのアカウントをフォローしてチェックを!

 

Behind the scene②:自走化の前にリーダーをマメにサポート、時には先回り

こちらの書籍を読むと、「コミュニティを作ると自走化する」と読めてしまう人が続出しているようです。いや、そんなことは書いてないつもりなんですが、コミュニティ自走化の良さをアピールするあまり、そのように読めてしまうのかもしれません。

ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング | 小島 英揮 |本 | 通販 | Amazon

※拙書:コミュニティマーケティング

ここではっきり言っておくと、コミュニティを作っただけでは自走化しないし、自走化を最初の目標にすべきではない、という事です(最終目標としてはアリだとしても)

自走化の件で伝えたかったのは、コミュニティリーダーの方々で自律的に日程やコンテンツを決められるようになれば=自走化比率が高まれば、結果的により多くのコミュニティの人をサポートできる、ということで、コミュニティリーダーに丸投げをして楽をする話とはちょっと違うわけです。自走化というと100%自走するイメージがあるかもですが、あくまでも自律的に動ける範囲が多くなるようにサポートする、というスタンスが大事です。

スピーカー発掘やテーマ設定も丁寧にサポートが必要です。ミートアップが終わったら、その時の反響を参考に、次回のテーマ決めをリーダーの方と行うとか、懇親会の場で次の登壇者候補を一緒に探したり。私の場合、次回登壇してもよさそうなサインを出している人には、よくこういうポストをしたりします。

※あくまでも本人の同意を得て、ですよ。

こうした、頼まれちゃったからしょうがないなー、的なGood Excuse (良い言い訳)があれば、人って動きやすいものなんです。なので、懇親会中は、いろんな人とお話して、その人の興味や好奇心に注意を払う必要がコミュニティマネージャーにはありますね。

また、StripeではOrbitを導入しているのですが、これを使ってまだ接点のない発信者をソ―シャル上で見つけてコンタクトをして、コミュニティでの登壇を促したりもします。

リーダーまかせだけにぜず、時折こういう先回りをすることで、結果的にコミュニティの自走化を支援することになります。

Behind the Scene③:他のマーケティング施策と「掛け算」する

コミュニティの場では、素晴らしいユースケースやTIPSが沢山出てきます。ですが、そのままにしておくと、必要な人のところに届かないケースも多々ありますよね。

なので、コミュニティマネージャーは、他のマーケティング部門と連携して、コミュニティで発掘したスピーカーや事例を、もっと多くの人に届ける活動をするべき、です。

Stripeも、(諸事情により)この部分は決してうまくできていないのですが、それでもコミュニティで評価の高かった事例が、大型自社イベントでのセッションになったり、

prtimes.jp

動画に切り出して、広く流通する情報パッケージにしてみたりと、「掛け算」になるようなトライをしています。

www.youtube.com

このあたり、今年の米国でのCMX Summit でも、「コミュニティをこれ以上隔離してはいけない」というメッセージがでていたくらいで、今後、他のマーケティング施策との掛け算は、コミュニティマネージャーには必須のスキルになるんじゃないかと考えてます。

 

Well-Architected First!!:基本設計重要

と、いろいろHowな部分を書いてきましたが、最後はコミュニティの設計図がどれだけちゃんと作られているか、に帰結すると考えています。ここがちゃんと考えられていないと、いかにコミュニティマネジメントを頑張っても、リーダーの熱量が高くても、袋小路に陥ってしまいがち。

正しく設計することが、結果的にコミュニティが目指すゴールへの近道になると思います。うまくいっていないときには、OWWH(Objective = Who x What x How)を再設定するのも大事かと。なので、既に稼働しているコミュニティでもOWWHのフレームワークで「どこかに無理が出ていないか」を確認してみるのもおススメです。

OWWHとマーケティングフレームワークの関係

もし、現状のOWWHでは対応できないあらたな要件があるときにはAWSが2014年頃に、従来のJAWS-UGとは別のフォーマットとして、E-JAWSを発足させたように、新たなコミュニティを立ち上げて対応する、ということも考えてみてよいでしょう。

ascii.jp

そして、この基本設計と日々の活動(リーダーシップ×マネジメント)が連動したとき、コミュニティマーケティングはスケーラブルでサステナブルな施策として、顧客理解、顧客育成、顧客創造にいたるまで効果を発揮するわけです。決して、ピザとビールで、一部のユーザーと懇親する会じゃないんです。

そのスケーラビリティとサステナビリティは、この業界のコミュニティ運営のお手本でもあるJAWS-UGの実績を見ればわかります。ちなみに、JAWS-UGとE-JAWSあわせて、今年1年で400(!!)を超えるミートアップが開催されたようですよ。

speakerdeck.com


What' Next?

だいぶ、コミュニティマーケティング全般の話になりましたが、JP_Stripes では常に上記であげた基本設計に基づいて、コミュニティリーダーとコミュニティマネジメントチームとの連携を図ることを心掛けてきています。それなくして、7年近く(コロナ禍を挟んで)活動を継続することはできなかったでしょう。そして、2024年は「マーケティング施策との掛け算」にも、より力を入れるべく色々仕込み中、です。

来年のAdvent Calandarに、そのあたりの進化を書けるように、来年もヤリキリます!