年々拡大するAWS 最大のユーザーカンファレンス、AWS re:Invent 。今年の来場者はついに30,000人を超えたとか。日本からの参加者もツアーだけで500人を超える(ツアー以外も含めると600人近いという話も)ということで、これだけの人が費用を払って参加するベンダーイベントはそうそう無いと思います。
今回、開催時期に私もアメリカにはいたものの、ラスベガスではなく東海岸 のほうに。そこからソーシャルやネットニュースで流れてくるre:Inventの様子をみていたわけですが、初めて外から見たre:Inventの雑感を。
※撮影:集合写真家 武市 真拓
ロックスター、ハミルトン先生降臨!
今回初めての試みだった、初日夕方のキーノートに、我らがジェームス・ハミルトン先生が登壇。風貌だけでなく、タイトル(役職)も”VP & Distinguished Engineer"とロックです。
itpro.nikkeibp.co.jp
今回のキーノートで、初めて生のハミルトン先生を見た人が多いかと思いますが、彼は飛行機での移動をしない人なんですよね。なので、日本のAWS Summit Tokyoにも何度か招聘をトライしたことがあるのですが、ついぞ叶わなかった人です。
AWS に入社したときから、社内のイベントでハミルトン先生の話を聞くたびにすごいなーと思っていて、ぜひ日本のお客様にも見ていただきたいと思っていました。で、2012年の一番初めのAWS re:Inventの際は、いろいろ頑張ってハミルトン先生に「ジャパンセッション」(日本からの参加者向けの同時通訳付きセッション)で講演してもらえた時は嬉しかったですね。ただし、その時はあまり日本の方になじみがなかったのか、満席にはならず、少し残念だったのですが。。。
※2012年のジャパンセッションでのハミルトン先生
あれから4年、今年のre:inventでは、大きなステージ上で躍動するハミルトン先生に、日本から参加された方の多くが刺激を受けたようで、とてもうれしいです。
ちなみに、前述したハミルトン先生の飛行機嫌いはかなり徹底しているようで、日本で生のハミルトン先生をみたり、一緒に写真を撮ったりすることは今後もできないと思われます。気になるかたは、来年のre:Inventに参加して、ハミルトン先生と握手!
www.facebook.com
ハミルトン先生のブログ やFacebook も注目です。
AlexaがいろいろAWS の中核に組み込まれてきてニンマリ
Amazon 在籍時から、AWS の外のサービスではありましたが、Amazon Alexa / Echoは要注目のサービスでした。もちろん、API やバックエンドの環境を見ればAWS との親和性が高いのは間違いないわけですが、音声インターフェースをいろんなサービス、製品に組み込めるところに(すぐそこにある)新しいイノベーション を感じてました。なので、今年のAWS Summit Tokyoでも、Alexa / Echoを随所にフューチャーしてたわけです。
blog.serverworks.co.jp
いや、この夏にAWS Summit Tokyoで先どりしておいてよかった。というのは、今回のre:Inventで、かなり大々的にAlexaがAWS とインテグレートされていたからです。
まずは、re:Invent参加者にEcho.dotが配られるという大盤振る舞いからはじまり、ブースでもビックエコー が登場 。
タッチUIから、音声UIへの流れは間違いなく来ます。今後の利用者=ウチの息子のスマホ での検索シーンを見ると(Ok Google 多用)ホントにそう思いますね。Alexaや、今回発表されたAlexaがらみのAWS サービスを使えば、このイノベーション はもっと早く、簡単に作ることができるわけです。
tech.recruit-mp.co.jp
リファレンススピーカーの仕様も公開になるなど、API に続く、新しいエコシステムの構築戦略が垣間見えるので、今後も目が離せません。
getnews.jp
データ/コンテンツグラビティが加速
データやコンテンツが集積すると、そのまわり「引力 」が働き、システムやアプリケーションが引き寄せられる、というのが「データ/コンテンツグラビティ 」の考えです。既にAWS 自体は、S3を代表するクラウド ストレージやAuroraのようなクラウド DBに多くのコンテンツやデータを集積しているだけでなく、その活用方法にも多くのマネージドサービスが用意されていますし、ますます引力に贖えなく(笑)なってますね。
で、このデータをクラウド に集積するうえでのバリアーを低くする流れ がここ数年の動きで見られるわけです。昨年登場したSnowballも、「アマゾンの物流網で、物理的にデータを配送する」というアプローチでこの流れを実現していたわけですが、一年たった今年はさらにその仕組みがパワーアップ。
www.publickey1.jp
「トラックで運ぶ、その発想はなかった 」人も多いかと。
トラックを見て、見かけが似ているからか「過去にコンテナDCとかあったよね? 」というコメントも見られますが、このSnowmobileは、データ/コンテンツグラビティを加速する流れと見たほうが理解がしやすいと思います。コンテナDCに閉じ込めてしまうと、「グラビティ」は働きません よ。
個人的なイチオシはAthena
AWS の今年の新サービスやエンハンスの発表数は1,000を超える規模になりました。re:inventでもIoTやAI、サーバーレス周りでも新しい発表が多く(先日日本でもリリースされたAmazon Dash Buttonのバックエンドとしても興味深いわけですが)、なかなか順位を決められないところですが、個人的にはAmazon Athena を推しておきたいです。
Google のBigQuely 対抗、という面もあるでしょうし、そのように比較してつかってみるのも全くアリなわけですが、
data.gunosy.io
本質的には「Amazon S3 にとりあえずデータを入れておけば、後であれこれできちゃう」というところが大きい ですよね。あらかじめ利用用途が決まっていればDB設計もできるわけですが、IoTやモバイ ル等データジェネレーターの爆発的な拡大、Webのトラッキング 技術の向上など、生み出されるコンテンツやデータ量が加速度的に増えている中で、すべてのデータ格納をあらかじめ構造化して準備するのでは追いつかないわけです。で、とりあえずS3においておけば後から対応できる(もちろん捨てることも、もっと安くアーカイブ することもできる)となれば、ここに集積するのは合理的な判断となります。前述の「グラビティ」を考えると、これは強力なソリューションです。というわけで、コンテンツ/データグラビティ信者の私的には、今回のイチオシはAthenaかなと。
祝:公式グローバルコミュニティイベント開催 in re:Invent
各国のコミュニティから多くの人がre:Inventにやってくるわけですが、こうした人たちが相互に知り合う場というのは、実はre:Inventでは正式にオーガナイズされたことがありませんでした。が、何度か日本からもプッシュをした結果(かどうかわかりませんが)、今回ついに公式のグローバルミートアップが。
yoshidashingo.hatenablog.com
これ以外にも、コミュニティリーダー間の交流にフォーカスした会合や、コミュニティヒーローの会合(これは以前からもあった)も並行開催。
もともと、ユーザーコミュニティ支援には前向きな会社ですが、日本でのJAWS -UGの活動(日本でJAWS Days、JAWS -UG Night in AWS Summit Tokyoを見たシアトルの人も多い)が、こうした動きを後押ししたことは間違いないです。日本だけでなく、世界に影響を及ぼすJAWS -UG、素晴らしいです!
単に参加するだけでなく、情報発信という意味でもコミュニティの力は増大してますね。今回、re:Inventに参加された記者の方が出された記事がだいたい20本くらいだと思いますが、JAWS -UGに参加しているデベロッパ ーやAWS パートナーの方からの情報発信(おもにブログ)は、ざっと数えても120を超える数で、アウトプット数が凄いです。帰国後も各地でre:Port、re:Growth、re:Cap等のオフラインの情報共有会を自主的に開催。アウトプットする人がどんどん増えて、それをきっかけに参加する人が増えるという「自走するコミュニティ 」という立ち位置がますますはっきりしてきたと思います。
でもStill Day1ですね。JAWS -UGの皆さんのさらなる活動を期待しています。
あ、もちろんメディアの方のカバレッジ も重要です。中でも、この記事は切り口を変えていて個人的にかなりヒットしました。
ascii.jp
番外:re:Playは現地で見たかった
こればっかりは、ソーシャルやレポートでは得られない体験ですよね。オフラインファーストで、この場にいた人だけが共有できるUX。今年は過去最大の規模だったので、ごらんになった方は素晴らしい体験だったと思います。
まだ今年のビデオは出ていないのですが、去年のre:Playのイメージはこちらで。
VIDEO www.youtube.com
でも、やっぱり現地で見る体験にはかなわないですが。
最後にこれを読んでre:Inventへの参加に興味をもった人に、E-JAWS でもおなじみの東急ハンズ ・長谷川さんのコメントを引用。
タイムラインが、ラスベガスで埋まっているだけどもw これは、Amazon Web Services (AWS )のカンファレンスに私の友人知人が民族大移動してるんだけど ポイントはですね 「会社を休んで、自腹で、40万くらいかけて、いくエンジニアがいる」 ということです。自腹です。 自腹(それも、40万)で、ITのカンファレンスに参加する、この熱量。 他では、ないですなぁ。
https://www.facebook.com/hideki.hasegawa/posts/1628440363848164?pnref=story
この熱量がさらに来年も増大すること間違いなし。まだ行ったことのない人は、今からre:Invent貯金を!(自前手配すれば40万円よりもう少し安くいけます)