台風16号接近中の新宿で、マーケティングな方々との会合があり、帰りの電車を気にしつつ参加してきました。マーケティングオートメーションや、コミュニティマーケティング、はたまたラベリング(エ○テック、というがその夜一番のヒット)の話など、マーケター同士のならでは話題でひとしきり盛り上がった後、お酒の勢いもあり、そもそもマーケティングって?というアツいお題に。
そこで出たのが、「誰が顧客なのか」というお話。
ターゲット・ファースト
実は、意外にもこの大事なことがきちんと定義されず、ぼやっとした概念のままいろんなマーケティング施策が企画、実施されることが多いようです。他社がやっている手法や、流行りのフォーマット、ツールには敏感だけど、自社の顧客に効果的かどうかはあまり検証できていない、ってやつですね。
基本的に、マーケティングは必ずターゲットと呼ばれる想定顧客が存在します。誰にでも訴求できる製品や施策というのは基本的にはなくて、最終的にお金を支払ってくれるのは誰なのか、そしてその人はどうしたらお金を支払ってくれるか=サービスや製品を購入してくれるのか、を考えるのがマーケティングの根本だと思います。つまりターゲットありき、なんです。
ところが、右肩上がりで拡大してきた国内市場で、差別化戦略主体で進んできた日本のマーケティング(というか、販売促進的な施策)だと、この顧客の部分がぼんやりしたまま進んできた組織が多いと思います。自分が過去所属した組織でも、そういう傾向のところがありましたねー。また、マーケティング以外のセクションの人が、聞きかじった広告、宣伝手法やキャンペーンをプッシュしてくることもよくありました。
ターゲットはよくある業種、業務別で区切らなくても、初期のAWSが実施してきた「アーリーアダプターを探せ」的なくくりでも通用します。要は、どのような「共通項」がそのターゲットにあるか、そしてその人たちは最終的にお金を払ってくれる人なのか、がはっきりしていれば良いのです。
恋愛=マーケティング論
大学のゼミはマーケティング専攻だったのですが、ここの指導教授はいろいろ本質的なことを教えてくれたように思います。それも教室より、夜の居酒屋で。
指導教授が無類のお酒好きだった事もあり、ゼミのいろんな会合の後はもっぱら飲み会となることが多く、当時ゼミ長だった自分が指導教授の横に付きっきりでお相手する(朝まで飲んで、そのまま一緒に翌日の1時限目の授業にも出たことあります)のがいつものパターン。そこで、よく聞かされたのが「マーケティングとは恋愛のようなものだ」という彼の持論です。
例えば、「誰かと付き合いたい」と思ったら、相手が何に関心があるのか、どんな場所が好きなのか、どうしたら約束を取り付けられるか、相手を観察して打ち手を考えますよね。相手が違えば、当然その打ち手も変わるわけです。ここでの打ち手や観察方法はあくまでも手段で、最終的にデートできるかどうかが主題であると。これはマーケティングも同じで、手法や調査方法はターゲットに応じて変えていくべきで、それにとらわれてはいけないと指導教授は力説していました。
誰にでも通用するデートマニュアルがないのは皆さんご存知の通りで、「誰と付き合いたいか」がはっきりしていれば、そしてその人の事が分かっていればいるほど、成功する確率が高くなるわけです。これはマーケティングも全く一緒で、誰にも通用するマーケティング施策というものもないわけです。顧客は誰なのか、そしてその顧客の事が具体的に分かっていればいるほど、打つべきマーケティング施策やKPIがきちんと決まる。確かに恋愛とマーケティングは似ています。
あなたにとっての「顧客」は?
どうでしょう? 皆さんの組織では、誰が顧客なのかはっきりわかっていますでしょうか? AWS在籍時に「競合を見ずに、顧客を見る」というスタンスを何度も聞かされたのですが、これは真理だと思いますね。時間があれば、一度みなさんにとっての「顧客」とは誰なのか、組織の中で話してみるといろいろと発見があると思いますよ。ぜひお試しを。