マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

AIは自動運転の夢を見るか? -- やっぱり自動運転は普及すると思う理由

先週は、NVIDIA主催のGTC (GPU Technology Conference) 2018に出展のため、San Joseに行ってました。Adobe時代は割と頻度高くSan Jose詣でしていたのですが、気が付けば10年ぶり位の訪問。久々のSan Jose(+LA、Seattle滞在)で感じたことと、昨今の自動運転車の事故の報道、そのうえでGTCで華々しくアナウンスされた自動運転の未来像を見て、「不可避な」流れを確信した部分があるので、ブログにまとめておきます。

10年の変化 -- レンタカー不要な時代に

San Joseといえば、ダウンタウンにショッピングモールや気の利いた飲食店が少なく、クルマ移動が必須なエリア、です。で、10年以上前にAdobeのHQに行くたびに手配していたのが「レンタカー」。日中はほぼミーティングなので、乗っていない時間も多いわけですが、空港ーホテル間や、お店への移動のみならず、特にダウンタウンから離れたお店から帰ってくることを考えると、タクシーは結構捕まえるのが大変+当時はメーターをちゃんと倒してもらうのにも気を遣う必要アリだったので、レンタカーが現実的なソリューションだったわけです。が、レンタカー手配、費用(保険も入れると結構高くつく)、駐車場のない飲食店でのパーキング確保、プラス運転者はお酒が飲めない、などネガティブファクターも多かったのも事実。

今回のSan Jose出張では、もちろんレンタカーの手配はしていません。なにせ、時代はライドシェア。タクシーとレンタカーのネガをすべて払しょく(特にアプリでの場所指定、事前決済はスバラシイUX)するUBETやLyft(私は宗教上の理由でLyftを多用(笑))を使うことで、今回のSan Joseはとても快適に過ごせました。

カンファレンス会場、ホテル、NVIDIA本社を行き来するのも、ほぼ10分~15分ほど時間を見ておけば移動が完了、支払い+レシート取得もサイフを出すまでもない、とストレスレスです。ドライバー側もアプリの指示に従うだけでいいので、普通のタクシーよりストレス少ないのでは? と想像します。(自分でもできそうな気がする)

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下の写真はSJCのもの。空港にも、App-base Rideshare 専用の乗り場の設置が多くなりましたね。

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移動したい人 > 運転したい人

私自身は運転が好きな部類ですが、考えてみると日本でも家人に駅まで送ってもらったり、都内でのタクシー移動など、クルマに乗っている時間の多くが運転者側ではなく、乗車側の立場だということに気づかされます。(一方、バイクに乗っての移動は結構積極的にしているのですが、都内は駐輪場問題があり。。。 これについては、また別のブログに書きます)

つまり、誰かが運転してくれればいいわけです。そうすればバスや鉄道にはない「Door to Door」のクルマのメリットを享受できる。クルマ社会のアメリカに出張していると、この「誰かが運転してくれる」ことに対するニーズはすごく高いと感じます。で、これは産業界にも大きな影響がありますよね。トラック、バスといった定期ルートを走る移動体は、結構な比率で自動運転化できるのでは? と。特にSeattleはトロリーバスが数多く走っているのですが、これは架線の設置で移動範囲が完全に決まってますからね。この範囲だけきちんとAIが認識できれば、技術的には行けそう。あとは、社会的なコンセンサスとコスト、ということになります。

まずは産業用無人機(UGV)と、アーリーアダプター向けの高級車から

技術の普及については、クラウドの例を見るまでもなく、コストは重要な観点です。初期にこのコストを負担して普及促進してくれる「顧客」が必要です。で、適用技術を理解しなくても、便利と感じるパッケージになっていれば、利用者が増える=>コストが低減する => 更に技術に投資が進む、というサイクルが生まれます。これを大規模に進められるのが産業用の無人車両(UGV:Unmanned Ground Vehicle)と富裕層向け高級車ではないかと思います。

GTC 2018会場にもそれをUGVの未来を示唆する一台が。荷物さえ運べれば良い、ということになり効率を追求するとこういうカタチになりそうです。

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更に、ドローンと組み合わせると、エリア間の移動はUGV、エリア内はドローンという仕組みもいけそう。これはAmazonが出している特許のようですが、合理的ですよね。

 ちなみに、同じUGVでもこれはやりすぎかな (笑) 

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高級車でいうと、San Joseのみならず、LA、Seattleでも結構テスラが走っていますが、このテスラの躍進も自動運転普及に向けて大きなカギになっていると思います。

要はポートフォリオ。完全自動運転でなくてもメリット大

では、実際のところ自動運転はどこまで来ているのか?  前述した通り、テスラに乗っている人を沢山みましたが、私が見かける街中(特に交差点)ではハンドルを握っているドライバーがほぼ100%で、交差点の多い街中では、完全自動運転はまだまだ先の状況かなと思います。

GTC直前にニュースになった自動運転車の事故の報道とかをみても、社会的コンセンサスを得るにはまだ時間がかかるかもしれません。

jp.techcrunch.com

ですが、先のAmazonの特許にあるようなドローンとの組み合わせも含め、全てを自動運転技術に頼らなくても良いとなれば、そのほうが普及も早いし、コストも安くすむかと。たとえば高速道路、幹線道路、及び自宅の車庫入れや出先でのパーキングへの出し入れだけクルマ側でやってくれれば、混雑する街なかや、自動運転の要件が揃わないエリアでは人間が運転しても疲労度は全然違いますよね。 GTCで発表されたTRI(Toyota Reserch Instistute)のセッションでは、自動運転を「ガーディアン」と「ショウファー」の二つのモードに分類して研究を進めているとのこと。

2つのモードのうち、ひとつは「ガーディアン」(Guardian)で、もうひとつは「ショウファー」(Chauffeur)です。
ショウファーは皆さんが思うような自動運転の形です。人間の代わりになって完全に自動で運転するものです。これが最終的な目標ではあるのですが、実はいま面白いのはガーディアンの方です。私たちはこの技術を通じて、常に人が運転するのを監視し、必要な時にだけ介入(関わる)という技術です。潜在的に潜んでいるクルマの衝突や事故の可能性から守るためのしくみです。
ショウファーは、車が運転しますから車に責任があるわけですが、ガーディアンはドライバーが運転してドライバーに責任があるとされつつも、AIがその手助けをするということです。

引用元の記事はコチラ。インフラではAWSGPUインスタンス(P3)とFPGAインスタンス(F1)が頑張っているようです。

robotstart.info

「ガーディアン」機能が進むだけでも、メリットのある業界は多いかと。例えば、運送業では、ドライバーが「運転+配達作業+運行管理」のマルチタスク作業から少しでも解消される事になるでしょう。GTC会場にあったこのトレーラーもそんな近未来を示唆する一台。

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自動運転が普及する理由:そこにニーズがあるから

今回、確信したのは技術的背景もさることながら、自動運転(ガーディアン型含む)へのニーズが大きいことをアメリカで実感したからです。で、これは日本でも同じことが言えますね。例えば、自動運転技術でドライバー側の負担が減れば、ライドシェアにクルマと自分の時間を提供する人も増えるかと。東京だと移動手段にこまることはない(渋滞、混雑には困りますが)ですが、地方都市にいくとクルマがないと買い物一つできないエリアも多々あるわけで、これが高齢者がいつまでも運転をし続けなければならない背景にもなっています。自動運転やライドシェアが高齢者のDoor to Doorの移動をカバーすれば、もっと住みやすい環境になりますね。画像認識+AI+移動体制御技術が一定レベルに達すれば、年齢やその日の体調でスキルが変動する人間が運転するよりも、よっぽど安全かもしれません。なので、この自動運転やUGVに対するニーズが増大するのは「不可避な」流れだと思います。自動運転技術がない移動体は、今後マイノリティになっていくはずなので、自動車メーカーのみならず、他業種からも、この「自動運転」市場に更なる参入=競争激化で、イノベーションが進むことになりそうです。先頭を走るのは、いろんな環境を考えると米国と中国、かな。内燃機関の自動車メーカーの多い日本ですが、官民ともにこのゲームチェンジにどのように対応するのか、気になるところです。

 

パラレルキャリア月報 -- Feb 2018

今回も遅れがちな月報、2018年2月分をお送りします。今回も例によって、社内打ち合わせやクローズドなセッションは抜いています。

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サマリー

2月はイベント月間でした。ハイライトはこの半年くらい時間をかけてきたABEJA SIX 2018 (2/22)の開催ですね。ABEJAのマーケティングチームはじめ、社内のメンバーが一丸になったイベントでした。スタートアップが初めて開催するイベントで、エントリーが3,000名超、ハコに入らないので泣く泣く半分ほどの数(約1,600名)に抽選でセレクションして、当日は1,000名近いお客様に来ていただけたのは、かなり大きな一歩になったと思ってます。

six.abejainc.com

それにしても、あれだけのタスクをやり切ったチームはスバラシイですね。ただし、タスク管理ツールは入れたほうがいいかも(笑)。

あと、自分は登壇側にいなかったですが、ヌーラボBacklog World(2/18)も手作り感ありつつも、熱量の高いイベントでしたね。こちらの参加者数は200弱だと思いますが、ツイートの総数がとても多く、ユーザーに愛されている製品なんだなと改めて思った次第。

togetter.com

ちなみにBacklog Worldで登壇されたヤッホーブルーイングの原さんとお話しできたのがご縁で、5月19日に高知で開催を企画しているコミュニティリーダーズサミットin高知(仮)にご参加いただけるようになったのも良かったです。

話題の高校生起業家 ワンフィナンシャルのCEO 山内さんと「キャッシュレスへの不可避な流れ」について対談したInevitable ja Night #3(2/16)もインパクトのある場でした。なにせ自分のムスコと同じ年の人との対談ですからね。世代交代の波が着実に来ているのを感じざるを得ません(笑)。

logmi.jp

あとは話題のAmazonGoが一般利用者向けにも開放されたのを受けて、弾丸ぼっちツアーでシアトルまで行ってきました。こちらの内容をまとめたブログは、タイムリーな話題だったこともあって自分のブログ史上最大のアクセスに。(ちなみに、今日もこれからAmazonGo & Amazon Booksに行ってきます)

stilldayone.hatenablog.jp

 

登壇ログ

2月の登壇ログはコチラ。

DevRel Meetup Tokyo #27 (2/6) [Stripe]

DevRel Meetup には2回目の登壇。今回は、コミュニティマネジメントとコミュニティマーケティングの違い、を軸に企業系コミュニティの作り方についてご紹介しました。

www.slideshare.net

App Ape Award (2/7) [Still Day One]

フラーさん主催のApp Ape Award で、クラウド以降の技術トレンドとエコシステムの重要性についてお話させていただきました。私がここ最近よくお話しをする「テクノロジーの不可避な流れ」と「コミュニティが持つ力」についての複合的な内容になっています。書き起こしもこちらに。

1年間にアプリがDLされる回数は820億回以上 スマホ黄金時代を生み出した「エコシステムの連鎖」とは何か? - ログミー

www.slideshare.net

Alexa Day (2/11)[Still Day One]

Amazon在籍時代から注目のAlexaのイベントがついにコミュニティイベントで開催。それも東京から離れた神戸の地で300人も集まるという盛況ぶり。私もパネルディスカッションで登壇させていただきました。この内容はブログでもまとめたので詳細はコチラを。

Inevitable ja Night #3 キャッシュレスへの不可避な流れ (2/16) [Still Day One]

Googleさんの支援で開催してる Inevitable ja Night シリーズの第三弾。今回は「キャッシュレス」をテーマに開催。私の登壇も含め、各セッション内容はこちらに書き起こしが上がっているので、ぜひご覧を。

www.slideshare.net

ABEJA SIX 2018(2/22) [ABEJA]

SIXでは私も登壇機会がありました。パルコ・執行役の林さん、トレッサ横浜・プレジデントの栗原さんと一緒に、大規模商業施設で起こっている顧客行動の把握についてパネルでお話しさせていただきました。AmazonGoでも同じ動きがありますが、「ECのあたりまえ」を店舗に持ち込む動きが国内でも活発になってきています。

www.slideshare.net

その他、メディア掲載

ascii.jp

lab.appa.pe

番外編 You are what you eat :-)

シアトルにて

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AmazonGOにて

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Backlog Worldにて

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神戸にて

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新橋にて

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日本の中心で、AIを叫ぶ

はい、タイトルは完全にアレですが日本の中心=中京エリアでAIのミートアップと事例取材に参加してすごく手ごたえがあったので、そのあたりを書いてみます。

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東京での活動が、名古屋にも飛び火。

昨年からABEJAで開催をサポートしているABEJA Cloud AI Night というAIに関するミートアップがあるのですが、これまでは東京のみの開催でした。

過去、東京のミートアップに参加いただいた西川コミュニケーションズ(略称:nico)の方が、同じようなミートアップを名古屋でも開催したい、ということで場所の提供含めホストしていただきました。nicoでは、会社としても最近JDLA(日本ディープラーニング協会)にも参画するなど、AI、特にディープラーニングへの取り組みを強めているところです。

名古屋初のミートアップに多くの方が参加

これまでの名古屋での勉強会やコミュニティイベントでの経験から、実はキックオフにそんなに人が集まるとは期待していなかったのですが、当日会場にうかがってみると40人ほど入る会場がほぼ満席という状況。

 スピーカーもAbeja側だけでなく、ABEJA SIXでも登壇いただいたトライエッティングさんやnicoさんをはじめ、ほぼ地元スピーカーが占めるという理想的な構成です。

私からは、前日開催されたABEJA SIX 2018のre:Cap的な内容をお話ししたあと、

トライエッティングさんによるAIプロジェクト導入のポイントについての、とても分かりやすいお話をしていただきました。ポイントは以下の3つにあるとのこと。

1)目的・ゴール設定をすること
2)データの本質を知ること
3)モデル構築の”後”を考えること

質問も多数でていたので、参加されていた方にとって知りたい話だったのだと思います。

 

会場をホストしていただいたnicoさんからは、JDLAのG検定を受けたお話し。これも、AIに興味ある方が、「次の一歩」としてトライできるいいお話でした。来場者の方の中でも、「次回受けみたい」という声が多かったですね。

そうそう、懇親会も名古屋色の強いものでしたよ。

 

なぜ、多くの人の参加があったのか?

これまで、自分が関係してきたWeb系の技術やクラウド技術は、比較的慎重な企業が多い名古屋の地元大手には浸透に時間もかかり、勉強会やミートアップでも参加人数が初めから多いということはなかったように思います。結果として、東京以外だと、大阪や福岡で地方開催が始まることが多かったのですが、それが今回のAIミートアップは名古屋からスタートしたというのも異例ですね。思うに、今回のテーマである「AI」「ディープラーニング」の会合に初回から多くの人が(それも、スーツ比率高し!)来ているのは、自動運転やRPA、故障予測等、製造業が多い地場企業にとって既に関心が高い(プロジェクトも既に進行中)エリアだということがあると思います。

なので、これからも多くの方が参加いただけることは間違いないでしょうね。今から、2回目の会合が楽しみです。

武蔵精密工業でのディープラーニング導入現場に潜入

名古屋でのミートアップの翌日は祝日(春分の日)だったのですが、早起きして豊橋へ移動。久々の名鉄です。

 さらに、豊橋からは豊鉄に。

 菜の花が咲くエリアを抜けて、目的地である武蔵精密工業(株)へ。こちらでは、ABEJA SIXでもお話いただいたディープラーニングの導入事例を、実際に工場で見学させていただくことになっていました。ちなみに自動車業界って、世間の休みの体系とはちょっと違うんですね。この日も休日でしたが完全に通常操業モード。応接室に入ると、工場に入るための制服が用意されていました。

工場内は、すごく自動化されていますが、ラインの終端である検品の部分は比較的人が多く配置されています。現在、ディープラーニング導入を検証しているのはこの検品部分をどう自動化するか、というところですね。そのためには単にディープラーニングによる画像認識で不良品を見つけるだけでなく、その指示をロボットに伝えて「時間内に」素早く作業をさせなければいけないわけで、ロボットの操作プログラムを内製してきた武蔵精密工業さんならではのノウハウが生きているところだと思いました。エッジ部分にはNVIDIA Jetsonも導入済。

 実際テスト中のラインを見せていただきましたが、画像認識+ロボット操作+ネットワーク統合など、かなり総合格闘技的なスキルと「すり合わせ」ができる組織体制が必要なエリアだと実感しました。

同じようなことを考えている製造業の方は、まずこの武蔵精密工業さんの社内体制等を参考にするといいと思います。

武蔵精密工業さんのABEJA SIXでのプレゼン資料も、こちらのサイトで公開されていますので、この分野に興味のある方はぜひご一読を。

six.abejainc.com

そして世界へ

その武蔵精密工業さんのディープラーニング担当チームですが、今週は米国・サンノゼで開催中のAI・ディープラーニングでは世界最大規模のカンファレンスであるGTC (GPU Technoloy Conference) 2018 に参加されています。私もこちらの会場に来ているのですが、精力的に会場を回ってらっしゃる姿を何度もお見掛けしました。やはり自ら最新の情報を取りに行くこの姿勢が、素早いディープラーニング実装を実現しているんだと思います。

尚、GTC2018 会期中に、ABEJA Cloud AI Night を現地で開催予定です。現地時間で、3月28日の夜開催ですので、もしGTC 2018に来られている方がいらっしゃれば、ぜひご参加を。NVIDIAAWSGoogleといった、ディープラーニングの実装に欠かせない企業の方々をはじめ、日本企業の参加者の方も多数参加されますので、ネットワーキングの場としても良いかと。まだまだ新しい分野ですので、成功事例、失敗事例などを共有しながら進んでいくコミュニティができればと思っています。

eventregist.com

 

 

 

パラレルキャリア月報 - Jan 2018

今回はものすごく遅いアップデートとなりました。2018年1月の活動月報です。例によって、社内打ち合わせやクローズドなセッションは抜いています。

サマリー

1月はなんと読売新聞に働き方改革のモデルとして取材記事が掲載されることになりました。それだけ「パラレルキャリア」が一般に浸透してきたんですかね。 

 提唱してきた「コミュニティマーケティングについても、1月は高知と札幌の2都市での開催と、東京以外にも確実に拡がってきている感がありますね。もちろん、毎回100名近い参加者がある東京と比べると参加者数は異なります(15~20名)が、コミュニティ活用を自分ゴトとして捉えている人の比率が高いためか、熱量が高いように感じますね。

写真は高知でのCMC_Meetup での集合写真。IT系の参加者のみならず、一次産業に近い方や県庁職員や佐川町の町長さんも参加いただくなど、幅広い参加をいただけました。いわゆる「課題先進県」が、より多くの分野でコミュニティの力を必要しているということでしょうし、ホントの意味で官民一体となった活動もできそうな気がしましたね。

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 あと、福岡出張の際に、1日offで韓国・釜山まで日帰り弾丸ツアー(福岡→釜山→福岡、でその日のうちに東京まで帰還)をしてきましたよ。港町・釜山、よかったです。

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あと、昨年いろいろお世話になったサンリオさんで、ついにフルVRなサイトがオープン。今後はこうしたサイト構築も増えてくるかもですね!

 

登壇ログ

1月の登壇セミナーや公開資料はコチラ

JP_Stripes 広島キックオフ(1/12)  [Stripe]

eventregist.com

中国地方で初のJP_Stripes 開催! 広島移動の飛行機がディレイ&空港バスが高速の事故渋滞に巻き込まれるなどで、開始5分前に会場到着というギリな行程。

togetter.com

 はじめての開催ですが、出席率ほぼ100%で満員御礼となりました。アクセシビリティとStripe実装についてのLTが印象的でした。次回はハンズオン希望の方も多く、実践的な雰囲気でしたね。

www.slideshare.net

JP_Stripes 福岡 Vol.2 (1/16) [Stripe]

eventregist.com

福岡では2回目の開催となりました。今回はShopifyさんもごいっしょいただき、EC回りをやってらっしゃる方の参加も多め。また、JP_Stripes 福岡の運営メンバーの方が「仮想壺」をサブスクリプション課金するデモをStripeで実装してきてくれていて、定期課金モデルの作り方をわかりやすく紹介いただいたのが印象的でした。

blog.gti.jp

当日の模様はコチラのツイートまとめでも。

togetter.com

私の紹介スライドはコチラに。

www.slideshare.net

 

CMC_Meetup 高知 キックオフ (1/18) [CMC_Meetup]

地元高知での初開催となる。CMC_Meetup! 前述のとおり幅広い層からご参加いただき、熱量高かったです。GW前後に、第2回目をやりたいですね。

togetter.com

当日の資料はコチラ。

www.slideshare.net

 コミュニティ談義は遅くまで続きました。

 

高知県コンテンツビジネス起業研究会(1/19)  [Still Day One]

高知県主催の企業家向けセッションでの「外のモノサシ」バナシをしてきました。

www.slideshare.net

懇親会では、久々に高知流の呑み(ジョッキ酔鯨・冷)の洗礼を。

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CMC_Meetup サッポロ キックオフ (1/26) [CMC_Meetup]

札幌での初CMC_Meetup!  こちらの参加者はIT系の方が主体だったのですが、皆さん地元で各コミュニティを引っ張る「ファーストピン」な方々だったので、理解も深かったですし、「悩み」も深かったですね。こちらも近いうちに2回目の開催ができればと。

togetter.com

www.slideshare.net

そういえば、札幌ではこのような「ビックフット」系の自転車を沢山見かけました。このタイヤなら雪道もいけるのかな?

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その他、メディアでの露出

前述の読売新聞での掲載と同じ内容ですが、英字新聞版でも掲載に。こちらはWebでも(読売新聞の記事はWeb版なし)掲載となりました。

URLはココなんですが、30日以上たった記事は削除されるんですかねー。アクセスできなくなっていました。残念。

http://the-japan-news.com/news/article/0004198188

 

番外編:You are what you eat :-)

広島、高知、福岡、札幌と行ったので、美味しいものには事欠きませんでした。もちろん、はじめての釜山も良かったです! 

羽田にて

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広島にて(うえの

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 広島にて(宮島ブルワリー

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福岡にて(博多一幸舎

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土佐にて(萩の茶屋

 

高知にて(いまどき兵衛

 

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札幌にて(大公

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釜山にて(松亭3代クッパ

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「アレクサ、エコシステムを作って!」-- Alexa Day 2018 参戦記

おそらく日本では初めての、アレクサのユーザー、デベロッパーによる大規模カンファレンス Alexa Day 2018 が2月11日(3連休の中日)に神戸市で開催されました。

alexaday2018.jaws-ug.jp

私もこちらに登壇枠をいただいたので、東京からシアトルのコンビニに立ち寄って(笑)で参加してきました。
これは「コミュニティ主導」による、VUI(ボイス・ユーザー・インターフェース)のビジネスエコシステムが日本で大きく動き出したことを示す象徴的なカンファレンスだったの思うので、まとめてみます。

そもそも、アレクサ(Alexa)って何? という方はまずは、こちらの記事をご一読いただいてから進んでください。

wedge.ismedia.jp

 

地方/有料/コミュニティ主催で、300人来場と1,000を超えるツイート

まずこの事実がスバラシイですね。こうした大き目のユーザーカンファレンスは、人が集まりやすい東京周辺や、メーカーからある程度のサポートを得ながら実施されることが多いと思います。今回のカンファレンスは完全にこのパターンの逆を行っています。

  • 東京開催 → 地方開催
  • メーカーサポート → ユーザーコミュニティが100%運営(アマゾンはスポンサーにもいなかったはず)
  • 無料 → 有料イベント(当日:3,000円 ※営利目的ではなく会場費や印刷費等のコストへの充当用)

更に開催日は3連休の中日、とふらっと参加するにはハードルが高い要素が揃っていましたが、それにも関わらず神戸に300人以上の人が集まってのカンファレンス開催。もし、東京開催でメーカーサポートも(告知や運営で)それなりに受けていたら、おそらく800~1,000人位集めることも可能だったと思います。今回の300人の参加はそれぐらいのインパクトがあると考えてよいと思います。

 

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「ファーストピン」の集まりならではの熱量の高さ

セッション内容もパルコさんや大手SIによる金融機関向けの事例に始まり、自作Echo(kokexa)を作った個人デベロッパーの例やCerevo岩佐さんによるアレクサ(AVS)家電のお話し(家電メーカーの方必見の内容でした)など、カバレッジも広く、クオリティも高いものでした。

ascii.jp

 

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セッションだけでなく、参加者からの質問やコメントも多く、ツイート量は1,000を超える数字に。

togetter.com

実は、この「熱量の高さ」は、上記の3つのブロッカー(地方開催、メーカーサポート無し、有料)があったからこそ、醸成できたのではと思っています。東京で開催される無料イベントで、話題のアレクサがテーマであれば、大量の(私がワナビーズとよぶ)「クレクレ君」を呼び寄せてしまい、この熱気にはつながらなかったかもしれません。神戸への交通費、宿泊費をモノともせず(私ももちろん車代とか講演料とかいただいていません)、3連休の中日に参加という難易度の高い家庭内稟議を通し、アマゾンの出荷ポリシー(抽選制)によってまだ手元にEchoがない人が多いという壁の高さにもかかわらず、VUIの将来性=ビジネス性と、純粋にアレクサのテクノロジーとしての面白さにひかれて集まった人たち=ファーストピン(後述)だったからこそ、ノイズが少なくインプット、アウトプットを楽しめる場として機能したのではないかと思います。

コミュニティ拡大はたき火の熾し方に似ている

私はこうしたコミュニティが持つ熱量の拡大のステップを、たき火の育て方に例えて話すことがあります。ようやく火が付いた種火に供給しなければいけないのは、すぐに一緒に燃えることができる木(よくかわいた木、枯れ枝など)であり、間違っても乾いていない生木や草を投入してダメですよね。コミュニティの種火を「ロールモデル」だとすると、よく燃える乾いた木は「フォロワー」であり、投入するとケムリにしかならず火を消してしまう生木や草やクレクレ君=「ワナビーズ」というわけです。今回は種火と枯れた木がいいバランスで集まったことで、大きなたき火に成長した、というふうに見ることができます。

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このロールモデルやフォロワーの方々が、コミュニティ拡大のカギとなります。よく私がコミュニティマーケティングでお話する Sell through the community モデルをボーリングに例えた時の「ファーストピン」となるわけです。

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エコシステムの重要性

今回のAlexa Day 2018での私の登壇枠はパネルディスカッションでした。この中で「VUI関連のビジネスでは誰と組むべきか?」というお題がありました。私は以下のように答えました

  • 新しい技術やビジネスの立ち上がり時期は、誰が適切な相手かは「看板」や「資格」で判断できないので難しい=既存の方法ではマッチングしづらい
  • 一番いいマッチングシステムは、コミュニティ。初期にコミュニティに参加している人、企業はマッチング対象となりうる
  • コミュニティで良いアウトプット(発表、デモ、情報公開)をしていると、マッチング相手から見つけられやすい
  • このマッチングシステムの参加者が多いほど、よりニーズにあったマッチングが成立=コミュニティの大きさが、マッチングを加速

つまり、この当日参加している人や企業の中に、マッチング相手はいるし、こうしたコミュニティ、エコシステムがない技術や製品はマッチングが難しい=ビジネスの立ち上がりが遅い、ということになります。

このやりとりを現場で聞いていた、某東証一部上場企業CIOの方のツイートがこちら

 

ところでアレクサってそんなにいいの?

パネルでは「VUIは今後来るか?(ビジネスになるか?)」というお題もありました。私を含めた3人のパネリストは全員「間違いなく来る」と回答、もっというと3人とも「7-8年前に、あんなもの使えないという評価をされがちだったクラウドの立ち上げ期に似ている」という意味のコメントをしました。そう、クラウド以降の流れを見るとAIが絡んだVUIが普及するのは不可避な流れだと思っているのです。
なぜ、VUIが来ると思っているのか、私の理由は以下の三つです

  • 「自然」に使える:よくよく普段の生活を振り返ると、音声で何かを頼む(今は頼む相手が人間であることが多いですが)シーンがすごく多いですよね。むしろキーボードでしか入力できないシーンのほうが不自然とも言えます。キーボードフリーになると、ITリテラシーに関係なく、子供やキーボードに馴染みのない高齢者などの入力も受けられるようになるので、入力対象者がグッと広がることになります。「バリアフリー」的にもイイですね。
  • 「ながら」が可能:音声インターフェースはながら作業に向いています。料理をしながら、PCで作業をしながら、運転をしながら、機械の修理をしながら、などいわゆる手がふさがっている状態で利用できるという利便性だけでなく、何かの作業中でも「使ってもらえる」というのは大きなアドバンテージです。今、様々メディアやガジェットが24時間しかない人の時間の奪い合い(シェアの取り合い)をしているわけですが、VUIであれ他のものに時間を取られているところにもスッと入り込むことができます。時間の奪い合いの観点からすると、これは大きなアドバンテージです。
  • AIの「学習データ」としての価値:今、AIをめぐるプラットフォーム争いが激しくなっています。ここでこぞってプラットフォーマーが注目しているのが、AIを教育するための「データ」です。以前は、グーグルが「検索エンジン」という圧倒的なテキストデータを吸い上げる仕組みを使って優位に立っていましたが、取集データの範囲はテキストだけでなく、画像や映像へ広がり、それが音声にも広がっているのが現状です。なので、アマゾンのみならず、グーグル、マイクロソフト、アップルといったグローバルプラットフォーマーがどんどん「AIスピーカー」的な仕組みを出してきています。この世界的な投資が、VUIの新しい使い方を生み出し、普及が加速していくと思われます

ここまではVUIが今後来る! と私が確信している理由ですが、ではそのなかでなぜアマゾンのアレクサが優位と思っているか? それは前述した「エコシステム」をアレクサがいち早く構築しているからです。米国でのアレクサのエコシステムの大きさは、既に様々なメディアで伝えられている通りですが、日本でも言語対応やスピーカー発売でLINE、グーグルの後発(まだ出荷調整中ですし)であるにも関わらず、こうしたコミュニティのうねりがいち早くみられるというのは、現時点で競争優位になっているといえるのではないでしょうか?

What’s next?

今回のイベント主催側には、実は「アレクサユーザーグループ」的な名前のコミュニティは存在していません。アマゾンのクラウドサービス AWSのユーザーコミュニティである JAWS-UG のメンバーのなかで、このアレクサに可能性を感じた人や、既にビジネスとして取り組んでいる人たち(この日本最大のクラウドユーザーコミュニティ:JAWS-UGがアレクサのコミュニティの母体にある、というのは日本では大きな強みとなっているわけです)が中心メンバーとなっています。普段の勉強会や情報共有を通じてアレクサに関する情報を過去1年以上発信し続け、特に発信の多かったJAWS-UG神戸に所属する人たちが中心になって、今回のイベントの企画を立ち上げ、そこに全国のJAWS-UGの有志が参加してきて運営の母体ができたようです。なので、ちゃんと地道なコミュニティ活動の結果が適切なタイミングで花開いた、と言えると思います。
今回のイベントで初めてこうしたコミュニティに触れた人も多かったのではないかと思いますが、そうした新たな参加者をどんどん取り込みながら、正式に「アレクサ」の名前を冠したコミュニティができるのでは? と思っています。
この名前が更に求心力を増して、日本のアレクサコミュニティ、エコシステムが一気に拡大しそうですね。もちろん私もこの波をちゃんと捉えていきますよ。

 

Amazon Goは「無人コンビニ」か?

アマゾンがシアトルで運営している「オフライン」店舗 Amazon Goが、2018年1月下旬からついに一般顧客でも利用できるようになりました。 長いβ期間(この期間中はアマゾン社員のみ利用可能だった)を経て、多くの人の関心を呼んでいたこともあり、早くも体験記事などが沢山でています。これらを読むと一通りのことはわかった気になるのですが、やはりこの手の新しい概念のものは実際に試してみないと得られないことも多いので、この週末にさくっと行ってみてきました。以下、自分が体験したこと(事実)と、そこから考えられるアマゾンの思惑(これは私の仮説)について書いてみます。

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Amazon GoへGo!

シアトルのダウンタウンはここ数年ですっかり「アマゾンタウン」の色が濃くなりました。自分がAWSに在籍していた時はまだ建設中だったAmazon Spheresも完成し、今までになくHQ的なアイコン感があります。

https://www.instagram.com/p/Be-YJ3qjuEN/

Amazon Spheres.
このAmazon Spheres の隣(どちらもアマゾンのHQビルに隣接)に、Amazon Go があります。よく日本で「無人コンビニ」として報道されていますが、確かに品ぞろえや広さ的にはスーパーというより(日本サイズより)少し広めのコンビニといった大きさ。

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徹底した「NO LINE」の仕組み

Amazon Goに入店するには事前にAmazon Goのアプリをスマホにダウンロードし、そこにamazon.comのアカウントとクレジットカードを紐づければOKです(amazon.co.jpのアカウントだとうまく行きませんでした)。これが完了するとアプリにQRコードが出てくるので、これを入り口ゲートのバーコード読み取り口に読み込ませればゲートが開いて店内に入れます。ゲート前でオレンジ色のショッピングバッグを配っているので、手持ちの袋がなければこれを受け取って店内に入りましょう。

尚、今回一人だったので試せていないですが、一人がこのAmazon Goのアプリを持っていれば、同じQRコードを使って一人ずつゲートを通すことで、複数人で入店することも可能です。

ゲートを出る時には、こうしたQRコードをかざすなどの作業もいりません。ゲートに近づくとストッパーが自動的に開いて、そのまま外に出られます。もちろんバリアフリー

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なので、外に出る時にもたつく人が出たり、列ができたりすることはまずない構造になっています。まさにNO LINE至上主義。

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店内の様子

初日は木曜日の夕方だったのですが、通常の買い物客以上に「視察」に来ているっぽい人たちも多く、自分以外にも店内写真を撮りまくっている人たちが沢山いました(日本からのグループも)。興味深いのは、モノを買うよりも写真撮影に熱中する来店者に対して(見に行った2月9日現在)撮影禁止とかの措置が一切ないこと。店内のどこを撮影しても、ノウハウや技術流出が起こらないというアマゾン側の強い自信がうかがえます。

ちなみに翌朝(金曜日早朝7:00)オープンにあわせてもう一度訪ねてみると、さすがに視察やカメラをもった顧客はいなくて、出勤前に朝ごはんやランチ用に買っていく「普通使い」の顧客がほとんどです。


前の日は気づかなかったのですが、ゲートを出たところにはレンジ、電源、Wifiが揃ったイートインコーナーもあり、買ったものをそこで温めたり、食べたりすることができます。

品揃えは、サンドイッチなどの調理パンや総菜、スナック、飲料品(奥のほうにはワインコーナーも)などに加えDinner for 2 in about 30 minutes (30分で用意できる2人分の夕食)というキャッチの「Dinner Meal Kit」(夕食キット)も多めにおいていました。客層としてはシングル、またはDINKS向けっぽい感じです。


また、一部にはアマゾンが傘下におさめたばかりのWhole Foodsのセレクションのコーナーや、Amazon Go限定のマグカップ、ボトル、チョコレート等、お土産を意識したものも用意されています。

アマゾンなので、安さをアピールするPopとかあるイメージを持っていましたが、そういう安売り感は感じず、わりとハイセンスなイメージ。

無人コンビニ」ではない

日本での報道を見ると、「レジがない」とか「無人コンビニ」といった、省力化によせた仕組みのように報道されますが、実際は結構人がいます。まず商品の棚入れは人がやっていますし、接客をするメンバーの一定数店内に常駐していますし(時にはワインコーナーにソムリエがいることもあるらしい)、店の外にも、Amazon Goの使い方の説明を兼ねて、ショッピングバッグを配る人が常時2名以上配置されています。

なので、確かにレジに人はいらなくなっているのですが、その分「接客」にリソースを振り分けている印象ですね。また、アメリカの一般のコンビニやスーパーと比べると明らかに店員の質が良いです。一部の人はアマゾンの正社員であることを示す、通称「ブルーバッジ」をつけていたので、現在はそれなりのメンバーを配置していると考えられます。

どのように「購入」を判断するか

このあたりの技術的な解説は、既に多くの記事(推測も含む)が出ているので、ここで深堀しないですが、いわゆるRFIDのように商品側に何かデバイスを付けて管理する、という仕組みではなく、入店した人の動きをカメラで追って、その行動を解析することで、「誰が何を買ったか」を判定する仕組みになっています。
「どの商品を」棚から「誰が」とったか、が購買行動の単位となりますので、棚からとったあとに他の人に商品を渡しても、会計は棚からとった人に紐づきます。なので、その時点で「購買」が終わっているので、そのあと自分のザックにしまおうが、手に持ったまま店を出ようが関係ないわけですね。これだとゲートを出るところがスムーズになりますし、もっというと出口には(誰が通過したかをカメラで認識できれば)ゲートさえも必要ないと言えます。

もちろん、棚に商品を戻したら、購入状態がキャンセルされます。考え方としてはEコマースでカートに商品を入れたり出したりするようなイメージですね。

Amazon Goが持つビジネスインパク

顧客にとっては、買い物体験の向上が一番のメリットとなります。レジ待ちもなく、キャッシュレス(カードを出す必要さえもない)、そして店員の対応もいいので、品ぞろえの問題や大きな価格差がなければ、間違いなくAmazon Goに通うようになります。これは体験したからこそ、自信をもって言えるところです。

では、事業者にはどのようなインパクトがあるでしょうか? Amazonがどう内部でこの仕組みを使おうとしているのか、オフィシャルに聞いたわけでもないので、ここからは完全に私の仮説ですが、自分が知っているアマゾンの企業文化と照らしあわせて下記のとおり推測してみます。

■「買われなかった商品」情報の取得
今回のAmazon Goの仕組みの最大のポイントがココだと思っています。Eコマースでは、「誰が何を買ったか」、以上に、「誰が何を買わなかったか」の情報が重要です。たとえば、商品ページに何度も訪問しているのに買わなかったり、一度カートに入れたのに最終的に買わなかったり、というのはそのブロッカー(値段、デザイン、機能など)が取り除かれれば購入される確率がグッと上がります。で、このEコマースでは当たり前だった「買われなかった商品」の情報が、このAmazon Goの仕組みではオフラインの店舗でもわかるようになります。もちろん、このデータが取れてもその解析方法、利用方法が分からないと「宝の持ち腐れ」となるわけですが、世界一のEコマース企業であるアマゾンであれば、今までのビジネスモデルと全く同じなので、苦も無くこのデータを活用できるようになるでしょう。

■顧客とのエンゲージメントの強化
顧客のAmazon Goへの来店頻度、滞在時間、購入履歴(+購入しなかった履歴)がきちんとわかるようになるので、これもEコマース同様のきめ細かいOne to Oneのオファリングができるようになります。

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今は実装されていないと思いますが、店内に入ったタイミングで個別に商品のリコメンドをすることもできます。これまでは一人一人の来店者に合わせた対応というのを、大規模店舗で行うのが難しかったわけですが、Amazon Goの仕組みならできますね。

また、レジ打ちにいままでかかっていた人員を、店内でのオフラインでの接客に当てることができるので、オンライン、オフラインの両面から顧客とのエンゲージメントを高めることができます。

■「招かれざる客」対策
どの業界もLTVをどう高めるか、が重要な課題になっています。逆にいうと万引きやクレーマーなどの「招かれざる客」は極力排除したいわけですが、Amazon Goなら簡単ですね。
Amazon Goで商品をとって店の外に出ると、数分で何を買ったか、のレシートがアプリで確認できますが、ここで「買っていない」商品ということで、返金を要求することもできるようになっています。調子にのって、買ったものもどんどん返金を要求してくる顧客がいれば、そのIDでは入店できないようにするだけでよいので、「招かれざる客」対策も、これまで以上に簡単にできるわけです。

■スケーラビリティ
Amazon Goでは商品棚の前の通路の天井部分に無数のカメラがあります。このカメラと商品棚のセットを1ユニットとすると、理論上はどこまでも店を大きくすることができます
もし、接客側にリソースを割かず、省力化の方向にこの技術を使えば、ゲート入口で応対する人と(数人)、商品の棚入れをする最小構成メンバーだけで大規模店舗を回せるようになる可能性があり、これまでの店舗での人員コストや、ピーク時にあわせたレジ打ち人員のシフト管理コストなどを削減できることになります。

なぜアマゾンはこのモデルを試しているのか

ビジネスに勝つには、相手の土俵ではなく、自分の土俵で勝負する、つまり自分に有利なルールで戦うほうが当然強いわけです。私は、アマゾンがこのAmazon Goのモデルで、オフラインでの小売ビジネスでのルールを変える、ゲームチャンジャ―になることを目指しているのだと考えています。「既存事業者が本質に気が付かないうちに、新たなビジネスルールを早期に確立」する、というアプローチです。

Amazon Goのようなモデルを現実のものとするには、最先端の画像認識と行動解析技術、およびそのML(機械学習)やDL(深層学習)などのAI技術の実装と運用力、そしてモノにするまでの期間の経済的体力が必要です。この技術投資や運用力をアマゾン以上にもっている企業は、現時点でそう多くはありません。なので、技術的、資金的に競争相手が少ない今の段階で(他の企業がこのモデルのメリットに気が付く前に)開発投資をし、今後の多店舗展開でこの開発コスト、運用コストを回収しながら、多くのフィードバックループを回してビジネスモデルを確立することを目指すと思います。このスピードが速ければければ早いほど、先行者メリットが享受できます。

技術的には、このモデルは映像データが入力値なので、今までのように多言語対応による追加コストも発生しにくいので、世界展開のブロッカーも少ない可能性があります。

既存の小売企業がこのモデルの優位性に気が付いて、後から開発をスタートしても追いつける企業が非常に少ない、という、かつてアマゾンがクラウド事業(AWS)で、IT業界に起こした変革と同じ構図になる可能性が高いと思います。

Software is eating everything!

Amazon Goの仕組みは、これまでのハード的な投資や、店長や発注者の経験、店のオペレーションマニュアルなどの人的スキルが重要だった小売り店舗運営を、ソフトウェア側がかなりの部分までカバーできるようになることを意味します。そして、その範囲や質は、不眠不休で学習し続ける(システムなので当たり前ですが)ML(機械学習)/DL(深層学習)で、どんどん拡大、向上していくので、この仕組みを持っている事業者ともっていない事業者では差が開く一方になりますね。このソフトウェア側のアプローチが、ハードウェア投資力を凌駕するという流れを理解しないと、ことの本質が見えづらくなります。もし、これからAmazon Goを視察に行く方は、無人コンビニ」という報道からくる低コスト店舗のイメージを捨てて、その背景にある戦略を探る視点で見ると、気づきが多くなると思います。このブログが、そんな皆さんのご参考になれば、幸いです。

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※2/14追記:道中、店内でのツイートまとめを追記しました。ライブ感ある(?)ほうが良い方はこちらもお読みいただければと。

togetter.com

パラレルキャリア月報 - Dec 2017

更新が遅くなってしましたが、昨年12月の活動報告、です。例によって、登壇ログにはクローズドなセッションや会議などは抜いています。12月のタイトル写真は、ロサンゼルス近くを飛行中に撮影した大規模な山火事の模様。空から見ると、その規模の大きさが分かります。

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サマリー

12月は海外出張とコミュニティの「自走化」がハイライトですね。

re:Inventでのラスベガス滞在中に迎えた12月、週末には何気に初訪問となる(ラスベガスは10回位行っているのに!)グレートキャニオンまで足を延ばし、ヘリやボートも使っての遊覧を満喫。素晴らしい場所ではありましたが、自分の高所恐怖症を再度確認することに。写真はヘリからの一枚。

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その後サンフランシスコに移動し、StripeのHQやいくつかのミーティングで3日ほど滞在しました。ちょうどスーパームーン時期でホテルもピア39付近(窓からアルカトラズが見える!)だったのもあり、ベイエリアの夜景も楽しめました。

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この米国滞在時期と被っていたこともあるのですが、Stripeのユーザーコミュニティ: JP_Stripes のミートアップを、大阪と京都で私抜きで「完全自走」で開催いただきました! コミュニティ活動が軌道に乗るうえで、この自走が始まることが大事なステップになるのですが、年内に複数のミートアップで自走が始まったのはとてもありがたかったですね。更にStripeのアドベントカレンダーもコミュニティメンバーの方主導でスタートと、自主的な動きが目立ってきています。

adventar.org

この大阪、京都に加え、12月は JP_Stripes の東京、松山でもミートアップ開催。東京、松山もコミュニティの方に進行していただく等、自走化が進んでいる。2017年は合計で13回のミートアップ開催となりましが、2018年は20回ほどに伸ばしたいと思っています。

stilldayone.hatenablogABEJAのコミュニティ活動、ABEJA Cloud AI Meetup も「毎月22日開催」が定着してきました。参加社の皆さんはもちろん、ABEJA社内メンバーの積極的な協力で、いい運営が出来つつあります。

 

登壇ログ

12月の登壇セミナーや公開資料はコチラ。

12/14(木)JP_Stripes Tokyo #5

 東京で5回目となる JP_Stripes のミートアップ。今回は、Apple Pay、Google Pay等のStripeとの実装事例もユーザーの方にお話しいただけるなど、利用範囲が着々と広がっています。

 

 

ゲストスピーカーには、16歳で一億円調達をしたONE PAYの山内さんも登壇! 山内さんはなんと私のムスコと全く同じ年齢ですね。世代交代の波がすぐそこに。。。

 

togetter.com

12/16(土)JP_Stripes in 松山 キックオフ

 四国で初めてとなる JP_Stripes 開催。会場のサイボウズさんにあったポスターのインパクトが大。○○ファースト、って言ってそうです。

 

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当日発表資料はコチラに。

www.slideshare.net

12/21(木)CMC_Meetup 2017 反省会(ポッドキャスト

当日参加可能な運営メンバーで、「公開反省会」を実施。実はポッドキャストはお初でしたが、このライブ感はイイですねー。またポッドキャスト形式で、こうしたアウトプットができればと。

soundcloud.com

メディア露出

11月開催のINEVITABLE ja night #2 対談ログ(ログミー)

logmi.jp

logmi.jp

番外編:You are what you eat :-) 

ラスベガスにて(Oyster Bar at Palace Station)

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サンフランシスコにて(crustacean)

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松山にて

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札幌にて(さっぽろジンギスカン

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