マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

BD-1で500km! -- 自転車で行く東海道53次(その3)

旧宿場町の座標が乗った神マップを見つけて、ペースアップを図るDay4~。

静岡ロングライド

宿でいろいろと計算をしたのですが、この日は沼津から掛川まで行かないと、あとの工程が苦しくなる感じ。天気も良かったので、朝から積極的に飛ばします。マンホールの絵柄も、イイ感じ。

 

途中、史跡がない宿場町も座標図のおかげでスムースに到達。

 

午前中はすこぶる順調だったのですが、午後に入ってついにやってしまいました。

久々のパンク修理。この時、リアタイヤそのものの摩耗が結構キテることに気が付きました。チューブは替えを持っているものの、タイヤ本体は替えがないので、気を付けて走らないとパンクが頻発しそうな予感。

が、この日は結構距離を走らなければいけない日だったので、リアタイヤを気にしながらも先へ。富士川を渡ったあたりで、これまでの宿場町跡とはだいぶことなり、昔ながらの趣が残っているところが増えてきました。

お土産も充実。

賑わいも結構あります。

が、目標の掛川はなかなか近づかず。藤枝まできたところで、すっかり日が暮れてしまいました。

ここで、宿をとるのもありだったのですが、掛川にはドーミーインがあることが分かったので、当初の目的通り、そこまで足を延ばすことに。

が、予想外の夜の峠越え。街灯もなく真っ暗です。実はこの日、途中の自転車で電装品を新調してあったのですが、もしそうしていなかったらかなり厳しいナイトランになった可能性がありますね。でも、その装備をもってしてもこんな夜道に(笑)

10時頃にようやく掛川のドーミーインに到着。ここはまさかのガレージ付きの部屋(普段はペットづれのお客様用の部屋らしく、ガレージにはドッグランも)に当たって、自転車旅にはベストな環境。自転車をばらさずに持ち込めますので。

さっそくドーミーインおなじみの温泉にはいっていろいろ傷んだ体をメンテ。サドルがあたる部分がずいぶん痛くなっていたので(つまり股ずれですね)、ホントの温泉が出るドーミーインはとても助かります。

翌日も長距離を狙っているので、この日は早めに就寝。

ついに静岡を脱出!

この日(Day5)も長距離、ということで朝風呂にはいってから早々にスタート。この日のうちに静岡県を脱出して、名古屋に近づくのが目標です。

江戸から27番目の宿場、袋井宿で53次もついに折り返し。

天竜川を越えたところで、ウナギを補給しつつ、浜名湖へ。

浜名湖近くにも「関所」があるのを初めて知りました。

ちょっと天気が怪しくなってきたので、先を急ぎます。

そして、ついに静岡県を脱出! 長かったー。

今日の宿を豊川に決めてスパート。が、残念ながら宿直前でまたもやパンク。近くにあったショップで18インチのタイヤを探しますが、やはり見つからないので、通常のパンク修理のみで旅を続行することに。

悲報は続く

宿直前のパンクも割とへこむのですが、更に悲しい事態が。宿の部屋でパンク修理(交換したチューブの補修)をしていたとき、メガネを外して作業していたら、うっかり踏んでしまうという大失態。

さらに、豊橋にあった宿場跡をカメラに収めるのをスルーしていたことが判明。まさか神マップに落とし穴があるとは。

とりあえず、豊橋は写真は撮れていなかったけど、まさに本陣跡と一本脇の道を通過していたので、これでOKということにしました。メガネはアロンアルファで応急処置、先に進む道を選びます。明日は明日の風が吹く

ここまでの走行距離:約385km 

 

 

BD-1で500km! -- 自転車で行く東海道53次(その2)

前回のブログで紹介した機材、装備を用意して、いざ東海道53次踏破へ。

日本国道路元標からスタート

まずは足慣らしと、バイクの不具合の洗い出しを兼ね、二日ほど自宅からの輪行で様子を見ることにしました。

土曜日の夕方に、自宅から地下鉄日本橋駅まで輪行して、バイクを組み立て。

日本橋にある道路元標の写真を撮ってからスタート。

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ハッシュタグ #tokaido53 も同じくスタートです。

 

出発が夕方だったのと、機材チェックが主目的だったので、品川宿川崎宿と二つこなしたところでDay1は終了。ブレーキまわりが要改善でしたが、それ以外は特に不具合ない感じで、改めてBD-1の出来の良さに感心しました。

この日は川崎駅から輪行で帰宅して、翌日、また川崎駅まで輪行でもどって再スタート。ここから箱根越えの一歩手前の小田原宿までがDay2の予定です。ただ、朝のんびり準備していたら走り出しが11時くらいになってしまい、日の高いうちに小田原までいけるかがちょっと微妙に。

途中、横浜で自転車屋(myX)に立ち寄り、気になっていたブレーキシューを前後とも交換。ブレーキのフィーリングがぐっと改善されました。これだけで走りやすくなりますね。

東海道53次旅の難しさ

ここで30分くらいのロスになりましたので、先を急ぎますが、だんだんこの旅の難しさが分かってきました。一つは旧宿場跡がどこにあるかが意外とはっきりしないことで、近くまでたどりいていても、史跡を見つけて写真を撮るまでに10分くらいかかることも。仮に1日10宿場をめぐるとすると、これだけで100分近いロスが発生することになります。特に横浜などの大都市では、宿場跡ってあまり観光資源ではないのか、標識とかがないんですよね。

これは、四国88箇所めぐりのときとはだいぶ状況が違います。88箇所は基本行先がお寺なので、標識が充実していました。ナビや地図とにらめっこしなくても、道路標識を見ていればその場所にいけるようになっています。もう一つは自転車フレンドリーではない道路状況東海道国道1号線沿いに走るというのも、自転車とっては走りづらいルート(自転車走行帯がすごく狭いところに、バスやトラックの通行量は多め)になることが多かったです。88箇所は、寺と寺の間のルートは比較的走りやすいルートを選択してましたし、そもそも交通量が全然比較にならないので、アブナイと感じることも少なかったわけです。

なので、当初頭のなかで計算していたペースでは進まなくなってきました。信号で頻繁に停止してしまうのも、ペースダウンにつながるわけで。

というわけで、小田原についた時にはもう真っ暗。

ちょっとペース配分を考えないといけないと思いながら、小田原から新幹線で自宅へ。翌日も新幹線で小田原まで行って、箱根越えにチャレンジです。

雨の箱根越え

小田原に戻って自転車を組み立てても、この日の朝からの天候は変わらず雨。よりによって、53次でもっともチャレンジングな箱根越えが雨になるとはついていません。が、やみそうな気配もないので雨の中スタートすることにしました。今回初投入の「ゴアテックス"相当"」のフィールドジャケットのテストも兼ねると思い、いざ出発。旧東海道ルートを選択して上りにさしかかります。

いつまでも終わらない坂に、だいぶ気持ちがめげてきたところ。

3時間ほどかかって、峠の茶屋に到着。ここでのお茶とお団子が染み入りました。

期待の「ゴアテックス"相当"」のフィールドジャケットは、防水に関してはまずまずの性能。ただし、自分自身が大汗状態で背中はびっしょり。ゴアテックスとの性能差はちょっとわからないですねー。で、このころになると、機材選択が間違っていたのではと思うようになってきました。やはり軽量でスピードの乗るロードか、ギヤのカバレッジの大きいMTBで来るべきだったのではないかと。せめてペダルはビンディングにすべきだったか。

が、峠を越えて下り坂を満喫する頃には、すっかりそんなことも忘れてしまってました。下っている途中に雨も上がってきて、気持ちも前向き。

ただ、そのあとの三島宿、沼津宿とも、本陣跡の史跡を見つけるのにずいぶん苦労しました。ここでの時間のロスが、精神的にもこたえたので、この日は沼津どまり。そして、この日から、家に帰らずに宿泊して旅を続けるスタイルに変更です。

宿に荷物を置いたら、そうそうに食事へ。駿河湾の幸と地ビールでやる気を補充します。

神マップ発見!

宿で、翌日のルートを再検討しているうちについに神マップを発見! Google Map上で、旧宿場町の座標が確認できる優れもの。これがあれば、どこで写真を撮ればいいかが一発でわかるわけです。

これでずいぶんと次の日からの工程は楽になる、と安心したところでDay3終了

ここまでの走行距離:約125km

 

 

 

BD-1で500km! -- 自転車で行く東海道53次 (その1)

自転車で東海道53次の旧宿場町をめぐる旅。いつかやろうと思いながら、伸び伸びになっていたプランですが、実現できそうなタイミングがやってきたので、迷わず(?)実行してみました。

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BD-1

もともとは、高校生の時に自転車で四国一周の旅に出たほど自転車旅好きですが、免許を取ってからはいつしか自転車での「旅」は少なくなってしまってました。最近の自転車遊びも、もっぱらMTBを車で山まで運んで林道とかを走るスタイルが多かったので、「旅」とはちょっと違う感じ。

ただ、漠然と「いつかは東海道53次を自力で踏破したい」と思っていたところ、たまたま「東海道」がタイトルに入ったイベントへの登壇機会があったので、これを機に実現してみることに。

家にはMTBを中心に6台以上自転車があるのですが、今回の旅の相棒はコチラ。

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ドイツメイドのBD-1(現在は商標問題がクリアになってオリジナルのBirdyの名称に)。いわゆる折り畳みの小径車ですが、折り畳み機構が秀逸で、メインのフレーム部分を分割したり、折ることなくコンパクトになる設計。おかげで、漕いだ時の力の逃げが少ないですし、フレームそのものの剛性を高く保てるので、入手して10年以上たってもまったく問題なく使えます。

当然、車輪の径が大きいMTBロードバイクのほうが移動だけを考えると有利なのですが、東海道=国道1号沿いを走るということで、なにかアクシデントがあったときにすぐに交通機関やタクシーで撤収したり、宿で部屋に持ち込むことを考えたりすると、30秒でコンパクトにできるこのフォールディングバイクの特性が生きてきます。

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場所によっては、コインロッカーにも入ります。

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実際、数年前に四国88か所めぐりをした時も、いくつかのコースはこのBD-1を使ったのですが、その際も特に性能的なディスアドバンテージは大きくなかったように思いましたし、宿で部屋に持ち込める安心感は旅の途中では絶大なものがありましたので。

「走破」旅のルール

さて、この手の「走破」系の旅の場合、何をもって完遂できたかのルール決めが重要です。これがあんまり厳密だと旅が窮屈になりますし、ゆるすぎるとなんの旅だかわからなくなってしまい、これもつまらないことに。

で、今回は以下のルールを適用することにしました。

  • 起点は東京・日本橋、終点は京都・三条大橋
  • ルートは基本的には旧東海道を選択するが、これにこだわらない。走りやすい、安全なルートであればバイパスなども可能(ただし、多くのバイパスは自転車通行不可)
  • 各宿場跡がわかる史跡を目標に。本陣跡が残っていれば、極力そこを。
  • 全行程、自力で走る。いったん自宅に帰るなどの工程が入った場合も、自転車での到達点まで戻れば、そこから再開可能。

まぁ、これを破って一気に三条大橋まで電車やバスで行っても、誰にも分らないともいえるのですが、それでは面白くないのでもう一つルールを貸すことにしました。

  • 宿場跡についたら、コメントと史跡を随時Twitterにアップする。

要は、ちゃんと自力走破しているかどうか、衆人監視のもとに晒すことにしました(笑)。日本橋から三条大橋まで、チェックポイントはすべて写真とコメントをTwitterにあげていくというカタチに。ハッシュタグは #tokaido53 に決定。

今回のきっかけになったイベントのサイトでも、 途中から #tokaido53 が拾われるようになりましたので、衆人監視が一層加速。

jft2016.jaws-ug.jp

尚、自転車で旅しているというと、なぜか「野宿ですか?」と聞いてくる人が多いのですが、それでは単なる苦行になってしまうので、今回も全部宿泊施設。基本的にはビジネスホテルで、可能な限りドーミーインを選択するというスタンスです。 

装備

自転車旅ということで、必要なものは基本自分で運ぶ必要があります。自転車が小径車かつフォールディングバイクということで、あまり大型のバッグを取り付けることもできないですし、折りたたむときの邪魔になるだけなので、荷物はぜんぶザックに入れて背負うことにしました。今回も選択したのは最近お気に入りのマウンテンハードウェアのスクラブラー。雨に強くて、なおかつ軽いというのがとても良いです。

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輪行袋は、ザックの後ろに。で、ウエアは雨さえ降らなければそんなに寒くならないだろうということで、上は自転車用ジャージ、下はMAMMUTのライトトレッキング用のズボン。適度に防水性もあり、軽くて伸縮性もあるのでMTBに行くときにもよく使っているヤツを今回も投入。これ以外の予備(宿についた後、食事などで街に出る用途)で、モンベルのトレッキング用ズボンを一枚。

また、雨対策には、今回初投入のアイテムとして「ゴアテックス”相当”」の性能があるとされるイギリス軍のフィールドジャケットを入手。普通にゴアテックスなサイクリング用品を買えばよさそうなものですが、ゴアテックス”相当”」で一万円を切る価格にやられてポチっと。

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靴も雨のことを考えてゴアテックスで。こちらは今年から愛用しているサロモンのトレッキングシューズで、底がそれなりに固めなのも自転車のペダリングに向いてます。

 

バイス類は、iPhoneiPadと、モバイルバッテリー。この旅はGoogle Mapなしではとても大変ですし、その日の宿とかをとるのにもネット環境は欠かせないので、デバイス、電源ともある程度の冗長性を確保。

これに着替えとか入れていくと、あっという間にザックがいっぱいに。お土産を入れる余地はなくなりました。

さて、走り出す前の説明でだいたい終わってしまいましたが、次回は日本橋のスタートから。

ここまでの走行距離:0km

 

カワサキ最速列伝 -- Supercharged! なブランド物語戦略

先日、自転車での東海道53次走破を終えた日、京都・三条大橋へのゴールがお昼過ぎでまだ半日時間があったので、自転車は宅急便で自宅に返送し、ふらりと神戸まで行ってきました。目的はコレ。

https://www.instagram.com/p/BL5mbLwg2i9/

War Bird.

レストアされた三式戦「飛燕」

7月に鹿児島に出張した際、レンタルバイクで知覧(特攻平和会館)まで行ってきたのですが、その時の目当ての展示品の一つが三式戦「飛燕」。が、その時には修復中ということでそこには飛燕はなく、残念な思いをしたのですが、まさかそのレストア作業がこんなに大がかりだったとは。

今回のレストアは飛燕のメーカーである川崎重工の120周年記念行事的に行われていて、外装のレストアがほぼ終了したところで、神戸で特別展示という流れに。

www.khi.co.jp

この展示は期間限定(~11/3)なので、早くいかなきゃと思っていたのですが、京都まで来ていて半日自由にできるとなれば行かない手はありません。新幹線で30分で新神戸へ。新幹線早い!

ポートライナーに乗って展示会場へ。駅外にすぐに看板が出ていたので迷わずに到着。

 

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で、会場に入った途端にドーンと。

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想像以上の人だかり。ちょうど川崎重工の人がレストアプロジェクトについてのプレゼン中でした。とりあえず、いろんな角度から写真を。

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飛燕というと、知覧に置かれていたときの迷彩カラーのイメージが強かったのですが、シルバーの地肌が出ているとずいぶんとシャープに見えますね。

Superchareged! なブランド物語戦略

で、今回感心したのは、このレストアを単なる戦争体験云々とはむずびつけず、現在の川崎重工のブランドと結び付けているところ。バイク好きの方には、最近カワサキからH2Rというスーパーチャージャーで加給されるエンジンを積んだモンスターバイクが販売されているのはご存知の通り。

H2Rがどれくらいモンスターかというと、ストック状態で300馬力&時速300Kmオーバーなスペック。最近はトルコで市販車&公道での時速400kmチャレンジに成功しています。

www.youtube.com

飛燕は、当時の日本の戦闘機には珍しく液冷&過給機で、高速を狙った戦闘機です。液例ならではの流麗かつ特異なデザイン、そして機体、エンジンとも当時の川崎航空機が手掛けており、川崎重工のDNAを象徴させる工業製品としてはわかりやすいアイコンになりえます。エンジンは当時のドイツ・ダイムラーベンツのエンジンをライセンス生産するカタチだったので、開発自体はは川崎オリジナルではないとも言えますが、当時の川崎航空機のレベルの高さを示すには十分かと。

なので、単に機体のレストア紹介だけでなく、エンジンについても展示や説明が充実していました。ちなみにV型エンジンを通常とは上下逆に取り付けています。前から見るとシリンダー部がハの字に見えますが、エンジン形式名の「ハ40」の名前の由来は、もしかしたらこの外見に由来していたのかも。

 

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で、今回の展示は飛燕を「当時最速を狙った戦闘機」と位置づけ(実際は、最速の戦闘機というわけではなかったのですが)、「現在の市販車最速バイク」に位置付けているH2Rにつながる系譜として紹介。エンジンがどちらも過給機付きということで、随所に「最速」「Supercharged」というコピーを使い、関係性をアピールする念の入れよう。

会場限定のグッズでは、飛燕とH2Rのシルエットに、「Supercharged」のコピーを入れたTシャツやマグを販売。ええ、私も思わずTシャツは買っちゃいました。

https://www.instagram.com/p/BMdtofIAY33/

Supercharged!

 

展示もH2Rを何台か会場に配置して、飛燕だけのイメージに終わらないような配慮が見られました。バイクマニアっぽい人ももちろんいましたが、会場に来ていたのは家族づれが多かったように思いましたので、「カワサキ」のブランドイメージは強烈に子供たちに頭に焼き付いたのではと思います。

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バイクマニア向けには、懐かしの750 turboも。これも過給機つながりで、よく考えられています。

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どんな企画書だったのか?

今回の展示が、もし飛燕だけだったら、そして現在の商品との関連性を具体的にアピールしなければ、飛行機マニアだけが集まるイベントになって、川崎重工のブランドイメージにはほとんど響かなかったと思います。が、結果的にはこの過去の遺産を、最新の製品につながるストーリーとしてアピールした今回の手法はすごく関心しました。製品の特性やブランドの重要性を理解できていないと、こうしたストーリーは思いつかないですよね。カワサキって、こうした宣伝、プロモーションがあまり上手ではないイメージを持っていたのですが、そのイメージは私の中では完全に払しょくされました。できれば、このプロモーションを企画して、社内で稟議を通した人に話を聞いてみたいですね。私自身もこの展示にヤラレタ一人で、次はぜひカワサキバイクに乗ってみたいと思った次第です。

尚、タイトルにも使った「物語戦略」は、こちらから拝借してきたコトバ。これもブランを考えるマーケターはぜひ読んでいただきたい一冊。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

#MSTechSummit16 での登壇 (またはNSATの洗礼)

11月1日~2日に開催されていた日本マイクロソフト主催の Tech Summit 2016で、Day2最後のオオトリのセッションに登壇するという機会に恵まれました。9月のCodeIQでの澤さんとのセッションと同じように、AWS時代ではちょっと成立しなかったような場ですが、せっかくの機会なのでお受けすることに。

なお、有償のテックイベントにもかかわらず、技術系のディープな話はほとんどせず、キャリア形成にかかわる話をひたすら話し倒すという構成で、ある意味完全に裏番組的な立ち位置です。

blogs.technet.microsoft.com

ホーム&アウェイなキャスティング

たぶん、このセッションはキャスティングだけで集客したのではと思います。というのは、どういう話をするかはあまり事前の情報公開はなく、わかっているのはMSのエバンジェリストである西脇さん、元MSで現LINEの砂金さんという、MSイベントが超ホームグラウンドなお二人に、元AWSという超アウェイな私が絡むということだけ。

なお、当日までどのような話になるかわかってなかったのは、観客だけでなく、登壇側の私も同じであったことをお伝えしておきます。事前に西脇さんにお渡ししたのは、自己紹介スライドのみ。

で、開演直前のバックヤードで、スケッチブック(+マジック)、○×の札があることを知らされ、音声はヘッドセット(パネルなのに!)を装着。

ヘッドセット装着直後のックヤードで、いつものHere We Go写真。

 

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質問力

ある意味、パネルのクオリティは質問力にありますよね。どのようなお題、問いが設定されるか、それにどのように回答やさらなる質問が紡がれるか。

で、こちらが今回のファシリテーター・西脇さんによって用意された質問群。突っ込み具合含め、さすがのクオリティ。

  • なんで辞めたんですか?
  • なぜクラウドの世界に飛び込んだのか?
  • ぶっちゃけ、クラウドの提案が向いてなかった案件はある?
  • クラウド提案でお客様からいわれたキツイ一言
  • キャリアの転換点は何歳?
  • お互いの会社の面接を受けたことはある?
  • 海外で働いてみたいか?
  • これから来るテクノロジー。キーワードは?

他では聞けない質問を織り交ぜつつ、会場からの反応もソーシャルで拾って、大画面でみなに共有されている仕組み(が、Windowsベースで動いているっていうとこもポイントなんですね)もあり、会場の一体感がすごくありました。

回答も、スケッチブックにワンフレーズで書いたり、○×の札を上げるカタチで、テンポよく進みます。こんな感じで一目瞭然。

 

あとの質問の回答は、会場にいた方々限定ということで。(動画とっていたから、公開されるかも。希望者はMSさんに #SPL005 セッションの動画公開をリクエストしましょう)

ちなみに、これからくるテクノロジーでは、3人とも「AI」を挙げてましたね。私がそう思う背景はこちらの過去エントリーを。

 

stilldayone.hatenablog.jp

 

西脇さんのトーク回しと、TVバラエティ的な仕掛けのおかげで、1時間弱のセッション時間にもかかわらず、これだけの質問をこなせるという充実の内容。結果的に、会場の方が得られる情報量も多かったはずです。

あと、意外とよかったのがヘッドセット。いちいちマイクをとるアクションがないだけで、インタラクションがぐっと自然になりますね。これは次回から自分もぜひ取り入れたいアイテム。

 

キャリアの作り方

今回のパネルの一番のテーマは、キャリアをどう作っていくか、ということなのですが西脇さんがセッションの中で説明してくれた「キャリアは面で作っていく」という考え方がすごく腹落ちしました。従来のキャリアは、今までの活動の「線上」に伸びていく考えが多かったのに対し、西脇さんがおっしゃったのはイングレスのポータルのように、今の自分より遠くに新しい得意分野の領域を作ることで、自分のキャリアの「面積」が広がるという考え方。私自身も、B2Bマーケターとしてはかなりオールラウンダーだと思うのですが、知らず知らずのうちに、B2Bマーケティングの枠の中で、得意分野を増やす、ということをやってきたのかもしれません。今度は、B2Bマーケターという枠自体の外に、新たな得意領域を作れるかどうかが、次のステップでは重要なんでしょうね。

あと、キャリアを作るうえでは、私がお話しした「技術と心中しない」という視点も、あえて技術系の方にはお伝えしておきたいです。これは会場でどのくらいの人の共感を得られたかわからないのですが、私的にはすごく大事なスタンスかな、と。

NSATスコア

私自身は、あまりなじみがないのですが、MS界隈でイベント登壇される方なら、だれもが気になるNSATのスコア。このセッションのNSATスコアは、どうやらトップクラスだったようで、西脇さんのファシリテート力のすごさがわかりますね。あとNSATが高いということは、我々パネリストの話も楽しんでいただけたということで、勝手に喜んでおります。このセッションの感想とかコメントあれば、ぜひ #MSTechSummit16 #SPL005ハッシュタグでツイートいただけると、登壇メンバーで共有できるのでうれしいです!

※2016/11/5追記:このセッションのNSATはダントツの一位だったようです!

 

 

クラウドファーストな環境になったトーキョー

AWSの東京リージョンローンチから遅れること5年以上の歳月を経て、ようやくGoogleクラウドの東京リージョン開設が正式にアナウンスされました。

itpro.nikkeibp.co.jp

 自分の周りではあまり騒ぎになっていないようにも見えますが(ソーシャルが偏っている?)、これは実はすごいことで、東京という一エリアに、AWS、MS、Googleのグローバル御三家のデータセンター群が用意されたということになります。

グローバルで見た、東京の地の利

こんな都市や地域は他にどの程度あるのか、ちょっと見てみましょう。

AWS

 

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※出典:AWS グローバルインフラストラクチャ | AWS

Microsoft

 

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出典:Azure リージョン | Microsoft Azure

Google

 

f:id:hide69oz:20161102101144j:plain 出典:ITメディア:

Google、一連のクラウドサービスを「Google Cloud」という総称に - ITmedia ニュース

 

御三家は、すべて米国企業ということもあるので、北米の集積度合はもちろん群を抜いていますが、アジア・パシフィックで見ると現時点(2016年11月1日時点)で、この御三家のデータセンター群が集積しているのは、東京のみということになるようです。(今後、シンガポールシドニー、ムンバイももうすぐ3つ揃いますね)

競争力の強化と競争の激化

クラウドの優劣について、ここでは語るつもりはないのですが、大事なことはエンタープライズからスタートアップまで、東京に拠点がある会社はグローバルクラスのクラウドインフラやサービスを低レイテンシーで使える環境になっているということです。AWSMicrosoftに関しては、AWS DirectConnect等の閉域網で会社のネットワークとクラウドのデータセンターをつなぐサービスもすでに多く使われていて、自社ネットワークにクラウドを取り込むことも数年前に比べるとずっと簡単になっています。もちろん、一から外部の(オンプレ、コロケーションの)データセンターとつなぐよりは、クラウドのほうがはるかに早く、柔軟な環境構築ができます。更に、最近発表されたVMwareAWSの協業によるサービスが、東京リージョンで利用できるようになると、既存IT環境へのクラウドの取り込みは、一層進めやすくなります。

www.publickey1.jp

もちろん、オンプレとクラウドの比較の話とかをしたい方もいるでしょうが、日本国内という視点から、少し俯瞰してアジア・パシフィック、いや世界的にみてみても、現時点の東京はかなりクラウドファーストにしやすい環境にあるということです。つまり、IT的には他のエリアよりも競争力が高いわけです。

逆の見方をすると、この御三家のクラウド上で構築、運用されているサービスやシステムが日本に入ってくる技術的、物理的な制約がグッと下がっているとも言えます。海外で成功を収めたサービスやシステムが、ほとんど時差を持たずに国内市場に参入できるわけで、日本のビジネスが、一層グローバルでの競争にされされやすくなっているということになります。

この状況に対し、オンプレ一本で戦うという選択肢もあるでしょうが、現時点ではあまりいいチョイスとは言えないですね。

 

世界有数のクラウド構築、運用サポートが得られる東京

海外のクラウドユーザーやサービス提供の様子と比較すると、日本はクラウドが本来もつ「セルフサービス」な環境には不向きなところも結構見受けられます。ただし、東京に限って言うと、従来のITサービスに近い形でサポートをしてくれるインテグレーターや、多くの勉強会やイベントからの情報提供など、他者の力を借りやすい状況がとても揃っています。例えば、AWSであればクラウドインテグレーターのトップティアである「プレミアコンサルティングパートナー」が、日本に5社もありますし、どのパートナーもクラウドの導入・運用サポートに力を入れています。また、AWSのユーザーコミュニティ(JAWS-UG)は間違いなく世界有数の規模と情報発信・流通量(それも母国語で)を誇っています。ここまで手厚くクラウド利用をサポートしてくれる外部リソースも、私が知る限りほかの国ではあまり見かけないので、この東京ならではのアドバンテージをうまく使ってはどうでしょうか?

普通に考えると、国内市場がシュリンクし始め、2020年のオリンピックカンフル剤がきれたころに、経済状況は一気に変わる可能性が高いことは明らかですよね。この状況でIT投資をよりキャッシュフローに効くクラウドにシフトし、IT運用の体制も変化につよい体制に変更、強化しておくのが肝要かと。

クラウドリトマス試験紙に?

いろいろ「先延ばし」する理由が少なくなった今、2020年までにもっともクラウドファーストな都市・トーキョーになるのも決して夢物語ではないと思います。もちろんクラウド導入が目的ではなく、あくまでもビジネスが回ることがゴールなわけですが、これだけ条件が整ったクラウド活用ができない組織が、果たしてビジネスの変革ができるのか。私的にはクラウド導入可否が、その企業のビジネス成長のリトマス試験紙的にも見えてきます。

皆さんの組織やビジネスでは、どうですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カタナと走った道

フォトジェニックなGSX400S カタナを手放してから、写真をいくつか見返していたんですが、いくつかまた走りに行きたい道を思いだしました。

また走りに行きたい遠くの快走路から、いつもの定番まで、カタナで走った中からいくつか気に入っているコースについて書いてみます。

 

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200km以上飽きが来ない快走路:北太平洋シーサイドライン

北海道随一の快走路と言っていいでしょう。この北太平洋シーサイドラインは、今年の北海道ツーリングで初めて走ったのですが、記憶に鮮明に残るコースです。帯広の先の浦幌町あたりから、海沿いに釧路を抜けて、厚岸、霧多布、根室を経て、日本最東端の納沙布岬へと続く250km近いコース。道中は交通量も少なく適度なアップダウンのハイスピードワインディングロードです。で、その道もいいのですが、海沿いの景色が日本離れしてます。走ったことがないので、完全に想像の世界ですがイギリスの海岸線やマン島的風景とでも言いましょうか。高い木が少なく、見通しのいい草原の中のワインディングが海沿いに展開されているわけで。もちろん、時折現れる市街地に近づかない限り、信号なしの区間がずっと続きます。

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北海道にはいろいろ走るべき道はありますが、この250kmものコースの全線がほぼ快走路という素晴らしいコースで、自分の中ではピカイチですね。来年もぜひ走りに行きたいです。

タイトコーナーはほとんどないので、ツアラーからアメリカンまできっと楽しめるコースかと。ひとりで走っていると、ついついペースが上がってしまうので、こんどは数人のツーリングでコースを味わいながら走ってみたいですね。

 

国道最高地点を超える峠越えルート:万座ハイウェイ → 渋峠(日本国道最高地点) → 横手山 → 志賀高原

ザ・峠越えを実感できるルート。昨年、太平洋から日本海まで一気に走るツーリングを慣行した時の、太平洋側から日本海側に超えたときのルートです。この前後にも碓氷峠日本ロマンチック街道など有名どころはありますが、万座ハイウェイから一気に駆け上がり、日本最高地点を超えていくこのルートは、峠越えの気分を存分に味あわせてくれます。峠では、条件がよければ眼下に雲海が広がるようなことも。

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ここを楽しむにはそこそこパワーのあるエンジンと、タイトコーナーもこなせるハンドリングのあるバイクのほうがいいでしょう。カタナはある意味ベストマッチでしたが、今度の新機種ではどうなるか。近いうちに試しに行かないといけませんね。 

 

いつもの定番:東名・川崎インター → 東京ニュル周回(C1→9号→湾岸→11号→C1) → 湾岸 → 第三京浜・都築インター

空いている休日の朝や、夜に走ることが多い、いわゆる朝練、夜練の定番コース。家の近くの東名川崎インターから入って、首都高をぐるっと回り、湾岸に抜けてベイブリッジから第三京浜の都築インターに帰ってくるコースですが、首都高を単純にC1周回にするのではなく、いわゆる「東京ニュル」的にまわるコース。単純なC1周回よりも個人的には好みです。この東京ニュルを1周半回って湾岸に抜けて帰るのが定番で、時間がなければレインボーブリッジ(11号)を渡らずに湾岸でそのまま帰ってくるルート。空気が澄んだ夜は夜景がすごくきれいで走っていて楽しいです。

ちなみに「東京ニュル」は、湾岸ミッドミッドナイト C1ランナーで出てくるコース設定です。首都高速のルートを組み合わせて、ヨーロッパの名サーキット「ニュルブルクリンク」に模したコース長(約20km)を設定するとは、なかなか考えてますよね。

東京ニュルのルートマップはこちらを。

latlonglab.yahoo.co.jp

夜に走るとこんな感じ。(私の動画ではないです)

www.youtube.com

海外には、こんな道ははないと思いますので極めて日本的なコースといえます。首都高のコースラインがすでに高速道路設計の常識を逸したワインディングと高低差ですし(つまりアブナイ)。湾岸、第三京浜での帰りに大黒PAや都築PAで、普段は飲まない缶コーヒーで一息入れるのが、お決まりのパターンです。

横浜の港北エリアに住んでいる方にはおススメのコースなので、ぜひ。

番外:MAZDAスカイラウンジ(旧:大観山レストハウス

コースは問いません。小田厚経由でアプローチしても、圏央道西湘バイパス経由でアプローチしてもいいですし、スカイラウンジまでの上りもターンパイク、箱根新道、椿ライン、どれをとっても楽しめます。つまりどのルートでアクセスしても面白く、行きと帰りのコースも自由に組み合わせできます。

で、目的はスカイラウンジの駐車場に集うバイクやスポーツカーに、カタナを並べて眺めること。天気がよければ太平洋も芦ノ湖、富士山も望めるので、更にGoodです。

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時間があれば、そのあと芦ノ湖スカイラインや伊豆スカイラインにも足を延ばせるので、まずはスカイラウンジまで行って、そのあとは天気や気分で延長コースを選ぶのも愉しいエリア。バイク乗りの皆さんには定番だとは思いますが、やはり定番には定番たる実力がありますね。

スカイラウンジのサイトを見ると、貸し切りもできそうなので、仲間内でのミーティングや走行会とかやっても面白そうです。

 

今年も残り少なくなってきましたが、新しい愛機と、どれだけ新しいコースを開拓できるかいまから楽しみです。ちなみに新しい愛機はこちら。

https://www.instagram.com/p/BMBVDjtgNbZ/

Freude am Fahren -- BMW F800S.

 

近いうちに、こちらのインプレも書いてみます。