マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

IoTはカンブリア爆発を呼ぶか?

最近、「IoTの普及はいろんなビジネスのカンブリア紀につながる」的な話をしていたのですが、あのお方がその文脈でプレゼンされたので、今後この話をすると二番煎じに受け取られてしまうなー、と思いつつ、自分なりの考えをまとめておこうと思います。

あのお方の発言はこちら。

business.nikkeibp.co.jp

 

カンブリア爆発

そう、ソフトバンク孫社長がARM買収からの「ARM TechCon 2016」での基調講演で語ったお話。

 続いて孫社長が言及したのは「カンブリア爆発」だ(写真2)。5億年前のカンブリア紀に生物は飛躍的な進化を遂げた。それをカンブリア爆発と呼ぶが、孫社長は生物の進化が爆発的に発生した原因として「生物が『目』というセンサーを手に入れたこと」を挙げる。「目があることで生物は、ほかの生物を追いかけて食べてしまえるようになった。これはとても重要なことだが、より重要なのは、目というセンサーから大量のデータを集められるようになったこと。データの量が増えることで、脳の学習サイクルが加速し、その後の生物の進化をさらに加速させた」(孫社長)。

記事から引用するとこういう表現で、IoTの普及による世界を、生物が爆発的進化を遂げたカンブリア紀に例えて紹介されたようです。

孫社長の講演の元ネタはわからないのですが、私がIoT=カンブリア紀といい始めた元ネタはこちら。

 

この本自体は、AIに関する内容なのですが(すごくわかりやすく、これまでの歴史や現状を解説してくれているのでおススメです)、そこにビッグデータ(を集めるIoT的テクノロジーと、それを処理するAI)とカンブリア紀に関するこのような記載があります。

特に(カンブリア紀の)「眼の誕生」は強烈で、それゆえ補足者からいかに生き延びるか、身を隠すかといった生物の戦略が多様化し、5億4200万年前のカンブリア紀における生物の多様性の爆発(カンブリア爆発)の契機になったという。
企業活動も同じで、ビッグデータによって、企業を取り巻くさまざまな環境をとらえられるようになった。まさに「眼の誕生」だ。センサーが発達した結果、企業はさまざまな戦略をとれるようになる。

 

これを読んだときに、眼=IoTというイメージがすぐに浮かび、自分の中で腹落ちする感覚があったのを覚えています。

孫社長の基調講演のストーリーも、この表現に近いですね。

いつか見た景色

いやいや、たかがデバイスや既設の施設(最近はIoTトイレが流行っているようですが)がネットとつながったって、大した変化にはならないよ、という意見もあるかと思います。が、そういう声を聞くと、クラウドの立ち上がり時期に聞かれた「単なる仮想化でしょ?」「昔のホスト集中への逆戻り」「ASPが名前を変えただけ」と、変化の兆しとしてとらえなかった多くの反応を思い出します。こうした潮目って、技術で語れば語るほど、本質から遠くなるように思います。要は、これで企業や人の行動様式、ビジネスにどれだけの変化が生まれるのか、ということですよね。

インターネットの初期も似たような反応があったのを思い出します。でもその初期にインターネットを使ったビジネスを考えたアマゾンが今のポジションを得て(その後、そのアマゾンからクラウドが生まれているのも興味深いわけですが)、今やビジネスに大きなインパクトを与えていることを考えると、こうした潮目をビジネスにどう生かすかを早いタイミングでトライすることの重要性が分かります。

インターネット、クラウドの二つの流れを体験した自分からすると、IoTって同じ潮目の変化を感じるわけです。で、もしかしたらIoTと分けて考えてはいけないものに、AIやVRがあるのでは、という感じで私自身はとらえています。

単純化すると、こんなイメージ

  • IoT=眼の誕生(インプットが爆発的に増加)

 ↓

  • AI=脳の進化(処理が爆発的に進化)

 ↓

  • VR/AR=行動の変化(アウトプットが爆発的に多様化 → これ自体が新しいインプットに → 以下グルグル)

すべてのIoTデバイスがAIの処理とリンクするわけではないし、VR/ARの前段階に必ずAIがあるわけではありません。が、この三つがつながると、人々や企業活動の行動変化のサイクルがとても早くなるように思っています。

行動が変われば、ビジネスも変わる、というわけでここに決済系や流通系の変化が起こる(すでに起こっていますが、それが加速される)というイメージですね。

 

マーケター的関心ごと

というわけで、IoT、AI、VR、そして決済系がこれから更にアツくなる感じがとてもしています。インターネット→クラウドのサイクルよりも早く、この新しい潮目が(それも複数で)来ている感じで、この分野のビジネス変化に目が離せない状況だと思います。インプット、アウトプットがさらに多様になることとで、これまでインターネットやクラウドとは比較的縁遠かった産業やビジネスも巻き込んでいくことになると思います。こうした分野のエバンジェリズムもますます重要になってきますね。

あと、テクノロジーがもたらす潮目ということでは、この本も参考になります。

 

 

文中で何度か出てくる「不可避」という表現が響きます。

この不可避な流れにのって、いかに新たなモノ、コトを作り出せるか。ますますIT周りのビジネスは面白くなりそうです!