2017年からオフラインイベントやYouTube チャンネルで展開している Inevitable ja night ( #inevitableja )シリーズ。
「不可避な流れ」をテーマに、私がホスト役になり、テック系の旬なテーマをその分野のゲストとの対談スタイルで深堀してお届けしているイベントシリーズです。残念ながら2020年は諸事情によりまだ開催できていないのですが、最近の出来事に自分的に不可避な流れを感じるているので、対談ではないですが、ブログでアウトプットしてみます!
History repeats itself (歴史は繰り返す)
10年くらいのサイクルで「歴史」という言葉を使うと怒られそうですが、他に適切な言葉が見つからないので、そのまま使っちゃいます。2020年に入ってからの、日本での新型コロナウイルスへの対応で感じるのは、2011年の時と同じショック療法的な行動の変化。
今振り返ってみると、日本の様々な分野で「価値観」や「行動」が変わったトリガーが、2011年の大震災だったというのは多くの方が感じていることと思います。震災そのものの直接的な影響ももちろんあるのですが、その後の制約(長期の自宅待機、輪番停電など)への対応が、結果的に「変わらざるを得ない」動きにつながったのかと。
IT分野にも影響は大きくて、それまであった「クラウドなんて」という食わず嫌いな雰囲気が、悠長なことを言っていられない企業や団体を中心にクラウド導入が進むことで大きく変わり、その後のクラウドを肯定する流れを生み出したのだと思います。で、一度利便性や合理性が理解されると、不可逆、不可避な流れができる。
つい先日発表のあった「政府共通プラットフォーム」の発表も、この流れの延長にあるんだなと。
金融機関では、地銀でもクラウドで勘定系を含む基盤システムを作る時代ですし、
国内メジャーキャリアも、実をとって自社ではなくパブリッククラウド上で基盤構築。
そして、2020年の現在、新型ウイルス対策というショック療法的な動きで、ビジネスのみならず、教育、行政の分野でもリモート、オンラインへの対応が急激に進んでいます。
初動の早かったGMOグループは、代表自らがリモート対応の成果や課題を「現在進行形」で公開して、この動きを加速する重要なプレイヤーとして認知されてきていますね。
教育機関では異端児扱いだったN高も、この環境変化で一躍トップランナーに。この発表は色々ディスラプティブです。
そうそう、これは飲食業界の「架空の」お店の設定ですが、にゃんこ先生によるオフライン店舗しか持たない飲食店の人向けのUBER Eats の始め方記事も、おそらく事実をベースにしていてリアル。
って記事の中で書いてますが、これ、オフラインでしかビジネスできない他の業種にも当てはまるお話。OMO的なアプローチが気になっている人にもぜひ読んでほしいです。
で、こうした流れが2011年の状況に似ているなと感じるわけです。
急激な環境変化が、キャズム越えを促進する。
これが、2011年と2020年に感じる共通項です。ポイントは、
- アーリーアダプターが既に存在:その技術やユースケースの「アーリーアダプター」が既に一定数存在
- フォロワー発生状況の可視化:制約条件に対する即効性のある解決策としてアーリーアダプターの事例に倣う「フォロワー」が発生
- コミュニティタッチでの支援:同じ状況や関心軸のコミュニティを通じて、アーリーアダプターがフォロワーを支援。さらに状況が進むと、初期にフォロワーだった人たちが、新規フォロワーを支援する側に回るようになる。
という流れだと感じてます。
2011年当時の1 ~ 3 の流れは、①既にクラウドを使っていた人が、②震災によって既存の(オンプレ系の)ITインフラで課題や問題を抱えた人や組織を、③コミュニティ経由で支援する、というのが代表的なパターンで、至る所でそうした活動が見られました。
そして、コミュニティと情報伝達方法がより拡大した2020年は、2011年の手探り感は少なく、アーリーアダプターからフォロワーへの伝達、支援がスムースに進んでいるように見えます。前述のにゃんこ先生によるUBER Eats の始め方記事も、①UBER Eats を上手く使っているアーリーアダプター(にゃんこ先生)が存在していて、②今回の件で困窮している飲食店主(黒もふもふ)=フォロワー層が一気に増え、そのフォロワーからのトラフィックが沢山集まっているのが可視化されているという構図に他なりません。そのうち、③「にゃんこ先生の言う通りにやってみた」的なブログとかも出てくることでしょう。(今回のUBER Eatsの始め方記事が仮想的なブログアウトプット、とも言えます)
私にとって身近なIT業界や、子供たちが直面している臨時休校をめぐる分野でも、下記にあるように、個人やコミュニティレベルでどんどん情報発信が始まってます。
企業、団体からのからの支援も続々。
エコシステムがエコシステムを、コミュニティがコミュニティを産む不可避な流れ
こうしたリモートワーク(最近は"テレワーク"の表現の方が露出高めですが)が、色々衝突を産みながらも一気に広がっているのは、様々なIT環境がSaaSで提供されてきており、その利用形態もだいぶこなれてきていることがあると思います。
いわゆる「社内ネットワーク」という概念が希薄になり、多くのシステムやリソースにどこからでもセキュアにアクセスできる環境や仕事のスタイルが広がっていたからこそ、今回一気に大規模な在宅勤務に移行できる会社があったといえます。私がパラレルキャリアでかかわっている組織の多くは、VPNさえ無しでリモートアクセスできる状況にあります。
ということは仕組みやインフラ自体は結構下地ができていて、その活用度合いやマインドセットが十分ではなかっただけであり、今回を機に一気に変化する流れができそうです。
で、こうした多様なSaaSや上手な活用方法が広く世に存在するのも、AWS等のSaaSを生み出すためのクラウドサービスのエコシステムやコミュ二ティが充実していたからであり、今はその上に各種SaaSのエコシステムやコミュニティが重なってより大きなムーブメントになっているといえるでしょう。
そう、このロールケーキみたいな感じですかね。
逆に下地となるエコシステムやコミュニティがない分野は、成長に時間がかかるといえそうです。
もちろん、そんなことができているのは一部の業界や企業だけ、という言い方もできるでしょうが、うまくやっている事例があれば、そしてそれが合理的なやり方だと判断されれば、皆自然とフォロワーになっていくものです。
5年後、10年後に振り返った時、「今」はどんなタイミングなのかを考える
今の状況を「客観視」する、「俯瞰」する力というのは、変化の多い局面や混とんとした状況を切り抜けるうえで重要なスキルですが、やってみると結構難しい。そこでおススメの方法が、「未来の視点で振り返ってみる」という手法です。(私も多用しています)
今回の新型コロナウイルスに端を発する一連の動きが、結局どのような流れを生み出しすのか、そしてその下地となったエコシステムやコミュニティは何だったのかを、5年後、10年後から振り返る視点で考えてみるといいでしょう。
その視点でみると、今がまさにリモート前提社会のスタートラインではないかと思います。
ルールが変わればゲームも変わる、を理解しよう
リモート前提社会となれば、これまでの前提条件=ルールも大きく変わるわけです。そうなるとゲームそのものが変わることになりますよね。この動きはクラウドやモバイルの波と同じくゲームチェンジャー(クラウドとモバイル、その上にあるSaaSの普及がなければ、これほどの波にはならないしょう)であることを理解して、自分の考え方、ふるまい方に向き合うのが吉です。
5年後、10年後には、当時こんなこと言ってたなぁ、と笑い話になる時代がくるんでしょうね。