マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

RevOps視点でStripeの価値を考えてみる

皆さんは、RevOps = Revenue Operations というコトバ、聞いたことありますか?

今回は、2024年後半にSaaS/スタートアップ界隈での認知度が一気に上がった(自分調べ)「RevOps」の視点で、Stripeというサービスの価値を考えてみたいと思います。

※このブログは、Stripe / JP_Stripes Advent Calender 2024 の9日目の記事です
qiita.com


尚、今回は2017年から務めているStripe のエバンジェリストとしての知見だけでなく、今年から就任したヌーラボのCROとしてのラーニングもミックスして書いています。

StripeとRevOps

ここ2年くらい、Stripe のユーザーコミュニティ:JP_Stripes での活動を中心に、Stripeは「RevOps」を実現するためのツールである、という訴求をしてきました。

www.docswell.com

※StripeのDevelopers Advocate:岡本さんの発表資料


もともと、StripeのグローバルのメッセージではRFA = Revenue and Finance Automation というコンセプトで、決済にまつわるオペレーションに必要な機能やサービスを提供してきたのですが、

prtimes.jp

 
日本のデベロッパーや事業責任者の方には、もっと伝わりやすいカテゴリーでお伝えした方が良い、ということで、あえてコミュニティやイベントではRevOps文脈でお伝えしてきています。しかしなら、今年の中頃までは、RevOps自体の説明にそこそこ時間を使ったりしているのが実情でした。(それでもRFAから説明するよりは早かったと思いますが、、、、)

デベロッパーが多い場では、こんな感じで、DevOpsになぞらえて説明してみたり。

が、2024年、遂に流れが来ました(笑)!
そう、RevOps本の出版です。

 

これによって、特にSaaS周りのビジネス関係者に、「そもそもRevOpsとは?」の説明をするコストが一気に下がりました!

先月には、このRevOps本の出版をきっかけにしたイベント(THE REVENUE)の開催も!
2,000名を超えるエントリーがあったようで、RevOpsに対する理解やデマンドが一気に拡がった感がありますね。

イベントは当然私も参加してきましたよ。

B2Bマーケといえば、の庭山さんと会場でパチリ

 


当事者としてのRevOpsチームの立ち上げ

この書籍の出版に前後するタイミングで、私自身がRevOpsチームの立ち上げをリードする、というリアルな体験をしています。6月にCROを拝命したヌーラボで、ビジネスの解像度をより高めるために、MOpsやBizOpsとか、チームごとにOpsチームを持つのではなく、全社で一貫した収益管理やボトルネックの可視化、カイゼン提案や業務の効率化、自動化を行うチームとして、それまで複数部門でOpsや販売管理業務に従事していたメンバーに集まってもらい、新たに「RevOps部」を新設しました。

ちなみに、ヌーラボにおけるCRO管轄の組織構造はこんなイメージです。

この件だけで、ブログ数本書けそうですが(笑)、今日お伝えしたいのはCROがRevOpsな組織に求める視点、です。

 

正直、どのツールを使う、とか、どのようなデータ統合をすべきか、はHowの部分であって、経営視点でRevOpsチームに求めるゴール=Objectiveは、収益管理における鳥の目、虫の目、魚の目、を如何に与えてくれるか、です。

鳥の目、虫の目、魚の目は、Google先生のAI要約によると、、、、

つまり、予定通りに収益が向上しているか、ボトルネックがどこにあるかを素早く把握できるか?(鳥の目)問題点を細部にわたってドリルダウンできるか?(虫の目)、そして計画との乖離の兆しや、どの施策が効果を上げているかを素早く測定できるか?(魚の目)、が重要で、それがわかるデータやインサイトの提供が求めたい役割、という事になります。

そう、決済はできてあたりまえ。で、さらにその効率を上げたりボトルネックを発見、対応したり、関連プロセスを自動化(人手をかけずに実行可能に)したりする部分をより求めるわけです。

RevOpsに貢献するStripeの価値

では、ここからRevOpsの視点で、Stripeがどのような価値を持っているか、5つのポイントに整理してみます。

①UX改善 × 決済成功率=コンバージョンの向上

決済はできてあたりまえ、とは言いつつ、その収益向上に寄与するには利用者の顧客体験と、決済成功率の向上は重要です。
Stripeでは、用途に合わせた決済手段の提供のほか、機械学習やNetwork Tokes を使って決済成功率の向上を支援します。

 

 

②業務運用負荷の低減 × 打てる施策の増加 = 生産性の向上

決済機能の実装や売上把握にかかる工数だけでなく、未払い顧客などへの対応などの各種プロセス自動化や、割引、クーポン運用もダッシュボードから簡単に行えるので、業務運用付加が低減するとともに、打てる施策が多い(しかもグローバルSaaSの恩恵で、多くの顧客からのフィードバックが次々と実装されていく)ので、バックオフィスの人員を大幅に増やすことなく、ビジネスの成長に対応できます

③プライシングの変更やアップデートに、素早く柔軟に対応

SaaSビジネスをやっていて、一度も価格やライセンス形態の変更を考えたことがない企業はないんじゃないかと思います。が、ビジネスサイドでこうした変更をしたくても、システムの対応が追い付かずタイムリーにできないことも多いわけで、このあたりが柔軟に設計、修正できるのは、収益向上に責任を持つ者としては大きな武器になりますね。


また、顧客サイドでのプラン変更にも、顧客向けのポータル画面が用意できるので、セルフサービスでの対応も簡単に。このあたりも自作する開発・運用共にかなりの手間になるので、ありがたい機能と言えます。

 

ダッシュボード&SQLで、鳥の目、虫の目、魚の目を実装

これはRevOps文脈において、かなり要(かなめ)の部分ですね。各種Opsチームが組織されるのも、データやトレンドの可視化=ダッシュボード作成が大きな目的の一つだったりするわけですが、Stripeには標準でLTV把握    やコーホート分析できるレベルでのダッシュボードが提供されています。

これが実質無料(Stripeの利用料は、基本は決済金額に手数料をかけるモデルなので、ダッシュボードそのものへの値付はされていない)で使えるのは、特にサービス立ち上げ初期の収益管理者にとっては強みになりますね。

これでKPI等のトラッキングをすることで、鳥の目、魚の目を得ることができますし、各種情報をドリルダウンすることで、虫の目も得やすくなります。


さらに、Stripeの中に格納されている決済周りの情報をSQLで抽出することも可能。標準のダッシュボードだけでは得られない分析やインサイトが必要な時は、このSigmaというサービスが強力な味方に。カスタマイズした会計データの作成や、データ中sつをスケジュールして、レポート作成業務の自動化までやってのけます。まさにRevOpsのための機能。



⑤銀行振込、コンビニ決済等、非クレカ決済にも対応 = データ統合の手間を省略

ダッシュボードが強力でも、そこに決済情報の大半が集まっていないと威力半減となるわけですが、B2Bでよくみられる銀行振込、ECでは欠かせないコンビニ決済等、日本独自の決済習慣にも対応しているので、別々の決済インフラの情報を再統合する手間が省けます。これは、バッチでデータ統合してから集計してレポートしていた人からすると、とてもバリューがわかりやすいかと。

ちなみに、銀行振込は、顧客ごとにバーチャルな口座番号を割り当てるので、入金後の消込作業なども圧倒的に楽になるので、オペレーション的なメリットも大ですね。

また、クレカ決済のバリエーションで、Apple Pay、Google Payにももちろん対応しているので、スマホ等からのEC利用でよくあるユースケースもStripeだけでカバーできます。

 

管理するインフラが少ない=データ統合の工数削減、は自明の理なので、複数決済手段を持っているサービス事業者の方こそ導入や移行の検討価値があるかと。

自作 .vs サービス利用:ロードマップとリソースの確認を

もちろん、どんなシーンでもStripeを使った方がゴールへの近道となるとは限りません。自社ビジネスの収益最大化に向けて、手元のリソースやロードマップをよく確認して、コスパ、タイパよく進めるのが肝要だと思います。

一つ言えるのは、自社リソースを将来にわたって「車輪の再発明」に投入し続けるのは得策ではない、という事。既にStripeのようなサービスで提供されている=今後もグローバルレベルのフィードバックループと開発力で、サービスレベルがアップデートされると予想できるものに、自社リソースをかけ続けるかどうか、まさに経営レベルでの判断が問われるところですね。

昨年、既存の自作決済基盤からStripeへの移行を決めた kubell (旧Chatwork)さんのディシジョンメイキングも、RevOpsの実装を考える皆さんの参考になるかと。

Stripe へ移行した成果はすでに見え始めていると、春日氏は語ります。「2023 年 7 月に価格改定を行ったのですが、これまでだと実装に半年程度かかっていた工数が、Stripe を利用することで約 1 カ月の期間で完了できました。決済周りの管理は可能な限り Stripe に任せる構成にすることで、エンジニアのリソースをサービス向上に集中させることが可能になります。より良いサービスをユーザーに提供できる環境が整ってきたと感じています」

利用者の増加に伴うリスク管理にも、春日氏は目を向けています。
「サービスのスケールに伴い、決済リスクも増大します。今後は、豊富なデータ量による機械学習で不正を防止する Radar の導入を検討しています。日本の 99% を占めるのは、中小企業です。その DX 推進を支えるコミュニケーションのインフラとして、誰もが簡単に使えてシームレスな決済基盤を Stripe と一緒に実現していきたいと考えています」

 

導入社社数
43.1 万社以上、登録 ID 数:664 万、DAU:110.8 万 (2023 年 12 月末日時点)

stripe.com

 

それでは、皆さん、よいRevOps導入を!