マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

ふたりボッチのCMX Summit 2019 参戦記 (または、CMX Summit 2020 参加のススメ)

2019年9月5日、6日と米国・Redwood Cityで開催された、おそらく世界でも最大規模のコミュニティマネージャー、コミュニティマーケター向けのカンファレンス・ CMX Summit にはじめて参加してきました。いろいろと得られたものがあったので、記憶が新しいうちにブログでアウトプット!

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より「コミュニティマーケティング」志向になったCMX Summit

CMX Summit は、最初に2014年にコミュニティマネージャーやコミュニティに携わるプロフェッショナルを対象に開催されたイベントで、そこから継続的に開催されています。これらの経緯は、ソーシャルカンパニー代表の市川さんが書かれたこちらの記事がわかりやすいかと思います。

gendai.ismedia.jp

このように、当初はコミュニティマネージメントに携わる「実務者同士」の会合の要素が強かったようです。企業系のコミュニティだけでなく、趣味や地域コミュニティ等の話も多かったようですが、今回初めて参加して感じたのは、(話に聞いていたよりも)企業マーケティングの一環としてコミュニティとどう向き合うか、というコミュニティマーケティングの視点をもったスピーカー、参加者が多く集まっている印象を受けました。

つまり私にとってはドンピシャなセッションが多数あったわけです。いわゆるコミュニティマネジメントのTIPS的なセッション以外にどんなトピックがあったかというと

  • コミュニティの価値をビジネス的にどう評価するか?
  • エンタープライズ企業がコミュニティとどう向き合うか?
  • VCはコミュニティを(持つスタートアップを)どう評価しているか?
  • オンラインとオフライン、どちらを重視すべきか?
  • コミュニティのリブランド(再生)をどう行うか?
  • コミュニティの海外展開の方法は?

等など、おそらく日本の皆さんにも興味ある話題が盛りだくさん。

こうしたセッションが30分枠で、3つの会場で次々に開催されるので、1日に受講するセッション数はかなりなものになります。私も2日で約30セッションを受講

 

 

豪華な講師陣

そして、そのセッションの講師陣も豪華(という表現が適切かはともかく)な布陣。ざっと日本でも有名な企業名とタイトルを並べただけでも

  • Presdent at Attlacian (Jay Simons)
  • CEO at Gainsight (Nick Mehta)
  • CMO at Mozilla (Jascha Kaykas-Wolff)
  • CMO at Electric Arts (Chris Bruzzo)
  • VP of Social Enterprise at Lyft (Veronica Juarez)
  • VP of Community at Salesforce (Erica Kuhl)
  • Head of AR/VR experience at Facebook (Rachel Franklin)
  • Head of Community at Dropbox (Laureline Boin)
  • Head of Community at Netlify (Perry Eising)
  • Developer Marketing Manager at Slack (Elizabeth Kinsey)
  • Customer Marketing Manager at Marketo (Kelsey Bourque)
  • Customer Success Manager at Asana (Terri Lomax)
  • Community Engagement Manager at Zendesk (Nicole Saunders)

... と、これ以上書ききれないほどのスピーカー。ちなみに、タイトル(役職)も日本であまりないものが沢山あって興味深いですね。そして、会場でのスピーカーとのこの距離の近さ。

写真は、カスタマーサクセスの大型イベント Pulse の主催であるGainsightのCEO。Pulseのような大型カンファレンスだと、もはやこの距離は難しいでしょうが、CMX Summit ならまだいける!(笑)

日本からの参加者2名!

 さて、そんな内容盛りだくさん、スピーカーが豪華で距離も近い、とコミュニティマーケティング周りの人にはオトク感満載のイベントですが、今回は(何度も数えてみましたが)日本からの参加者は、元NewsPicksの小野さんと私のふたりボッチだった模様。

たった二日間参加するだけで、これだけ知見を得られる場もなかなか無いと思いますので、コミュニティマーケティングを実践中の方は、来年ぜひ参加したほうがいいと思います。より多くの会社や組織からのサポートを得るために、上司やステークホルダーと一緒に来るのも良いかと思いますね。ちなみに来年はもう日程も場所も決まっていて、2020年9月9日~10日で、今年と同じRedwood City での開催となります。取り急ぎ、今からSave the Dateを! もう行くと決めた人は、今なら(2019年9月22日まで)Super Early Birdで半額以下のチケット代ですよ。

events.cmxhub.com

参加を通じて感じたこと:Top 5

1:サブスクの成長にコミュニティが不可欠に

Saleforce, Atlassian, Slack, Marleto, Lyft... とサブスクリプションビジネスの教科書に出てくるような名だたる企業がその成長戦略にコミュニティを据えているところからも、ここはその関係性がハッキリしてきているといえるでしょう。

とはいえ、Slack等では、ベンダー側の取り組みが始まったのはつい最近と、はじめからベンダー主導でできたものは少なく、自然発生的にできたコミュニティとうまく相対してきたというのが正しいかもしれません。今後は、現在のSalesforceやMarketo、Atlasianのようなコミュ二ティ戦略を当初からきちんと設計、運用できることが、サブスクリプションビジネス成長の上で求められてくると考えられます。

スタートアップに投資するVCからしても、コミュニティを持っているかどうかは投資の判断材料の一つになってきているようですし、この流れは確定的だと思います。

 

2:コミュニティの評価が益々重要に

コミュニティが企業戦略に結びつくようになると、当然ながら社内のステークホルダーが多くなりますので、「説明責任」がより広範囲に発生することになり、多くの人を「納得させる」ための指標が益々必要になってくるのは必然とも言えますね。

これを図るうえで、①コミュニティの目的を明確にし、②それに寄与する指標を早めに設定し、③関係者への共有を行う、というのが一つの理想形であるとされていますが、多くの企業、コミュニティで評価軸の設定や計測方法の確立にストラグルしているのが現状のようです。定量的なモノだけでなく、定性的な指標も外せないので、ステークホルダー(特に上層部)からの理解をどう得るかがコミュニティに関わる部門や人にはますます求められるようです。

あと、ここを数値化するツールが沢山出てきているように見えます。まだコレ!という本命サービスを見つけられていないですが、ここ数年でマーケティングオートメーション(MA)が盛り上がったように、コミュニティマネジメントや価値測定をするツールやサービスの市場が大きくなる予感がしますね。

 

3:オフライン - オンラインのハイブリッドモデルを推奨

東京一極集中の日本と異なり、米国ではカバーすべき都市、地域が点在しているので、オンラインでのコミュニティマネジメントは当然重要なのですが、オンライン一辺倒では難しく、オフラインの場でどのようにエンゲージメントを高めて、コミュニティリーダーのいう事を傾聴し、モチベートしていくかが重要であることを、多くのスピーカーが指摘していました。その一方で、スケールやオフラインの体験をより「強化」するオンラインの場は不可欠としうことで、オフライン - オンラインのハイブリッド運用がベストプラクティス的な感じですね。

尚、オンラインコミュニティをどのツールで構築するかは、まだベストな方法が無いようで(比較的Facebookグループが多いようですが、これがベストというわけでもなさそう)、ここでも新たなサービスやビジネスが伸びる余地があるかも、です。

 

4:スケールのためには「自走化」がカギ

 ここが多くの企業が期待しているところですね。自走化によって、カスタマーサクセスや、チャーンレートの低減、新機能の浸透などを従来のマーケティング手法よりはるかに低コストで、効果的に行えることは前述した「成功したコミュニティモデル」を持つサブスク企業のトップや責任者がこぞって話していたところです。

逆にいうと、いかに既存のコミュニティを自走化できるか、がコミュニティマーケティングの成功のカギとなるということで、そのためにコミュニティに参加している人たちにどう接すべきか、リーダーをどう選ぶか、どう彼らから信頼を得るか(またはいかに信頼するか)について多くのセッションで語られていました。

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アンバサダー制度やアワードの設定等も具体的なノウハウとして紹介されていました。また、この自走化の文脈でもオフラインの重要性がクローズアップされていましたね。アノニマス化されたオンラインでの対応では難しく、「個々」の参加者と向き合える場としてオフラインが効果的、という事でしょう。

 

5:このイベントは急成長しそう!

 最後に行っておきたいのがコレ。CMX Summit が急速に大きくなりそうに感じた背景は

  • SaaS/サブスク系の成長会社からのスピーカー多数(成長企業での実践が増加)
  • 現場のコミュマネ向けの会合から企業のマーケター向けにはっきり方針転換
  • メトリックスの取り方、どのツールを使うか、など企業向け情報が豊富

あたりですね。つまり、企業のお金で出張参加できる人が増えそう(今は自費参加者が多いのでは?)で、更にその人たちをターゲットにしたスポンサーが増える、というスパイラルが生まれそう。

 

その他、両日のメモ代わりのツイートはこちらをご参照ください。

Day1 参戦メモ

togetter.com

Day2 参戦メモ

togetter.com

リキャップもやります!

ブログでは伝えきれない部分もあるので、報告会的な場も持ちます! 今回一緒に参加した小野さんのご協力を得て、CMX Summit 2019 のカンタンなリキャップセッションを10月24日開催の CMC_Meetup tokyo Vol.14 で行う予定です。ご興味あるかたは、こちらにもぜひご参加を。

eventregist.com

CMX Summit のTシャツも何枚か入手してきたので、当日プレゼントしますよ!