マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

「不可避な流れ」を取り込むAWS -- re:Invent 2017参戦記

今年のre:Invent 2017に初めて「Attendee」として参加してきました。昨年参加をスキップしたので、2年ぶりの参加となりましたが、その規模と内容がかなり進化していたので、所感をまとめてみます。

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今年は会場もSANDS EXPOだけに収まらずARIAやMGMにも拡張され、参加者が43,000人、日本からの参加者も1,000名を超える(聞いた話だと1,400名にもなるらしい)規模に大きく拡大していました。ただ、単に規模を拡大しているだけでなく、その発表内容も更に厚み(というか凄み)を増していたというのが正直な感想です。

AR/VR、IoT、そしてAIでエコシステムの中心を狙いに

AWSGoogleが提供する「クラウド」が生み出したエコシステムが、現在のビッグデータやモバイルのエコシステムを形成し、更にその先にVR/AR/MR、IoT、AIのエコシステムができる流れを生み出している、というのはここ最近私がいろんなところで、以下のスライドで「不可避な流れ」として紹介している話ですが、

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この文脈では、あくまでAWSはそのVR/AR/MR、IoT、AIのエコシステムのベースとなるクラウド環境を提供しているイメージでした。ビッグデータ。モバイルのエコシステムの時に、Fire Phoneが”失敗”となっているので、その思いが強かったように思います。今回はAndy Jassy CEOのキーノートに先んじて、VR/AR作成のためのサービス、Amazon Sumarianを発表したのを皮切りに、

aws.amazon.com

キーノートの中ではIoT、AIまわりの新サービスを続々と発表。特にDeepLensやSageMakerを見て思ったのは、AWS自身がIoTやAIのエコシステムの中心=プラットフォーマーになろうとしている動きです。これについては多くのメディアも誌面を割いて取り上げています。

www.businessinsider.jp

jp.techcrunch.com

AWSを既存の「カテゴリー」で理解してはいけない

周りの参加者に聞いても、DeepLeansのようなハード込みのサービス提供はインパクトが強いようでしたが、それは「AWSクラウドベンダーで、ハードウェア提供はメインではない」という周りの勝手なカテゴリー付けの枠に収まらない発表だったからだと思います。でも5年以上前に、世の中がクラウドベンダーをIaaS/PaaS/SaaSベンダーに「カテゴライズ」したがっていた時から、AWSはそうした外から見た枠に自身を押し込めることなく、顧客の求める(ちょっと先の)サービスを提供し続けてきた会社です。今や、AWSを「IaaSベンダー」と表現する人は業界にはいないと思います(まだ言っている人がいれば、ちょっと現状認知ができていないと思わます)。そもそもAWS(というかAmazon自体)を「既存のカテゴリー」で理解しようとすると、本質が見えなくなります。何がこれからの主流となる用途なのか、それを誰よりも早く見極め、そこにサービスを投入し、素早いフィードバックループでサービスの改善と拡充を図る -- 結果としてその分野のプラットフォームの位置を得る、というのがAmazonのDNAなわけです。7年AWSにいて、そうしたDNAはよくわかっていたつもりでしたが、今回は改めてその徹底ぶりを目の当たりにした感じです。

インターフェースとしての音声の重要性

既に、こうした動きは皆さんAmazon Echo/Alexaをめぐる最近の動きで体験したばかりだと思います。一般には「スマートスピーカー」という商品として認知されているAmazon Alexaですが、これこそが今後人間が「サービス消費」するうえで重要となる音声インターフェースのプラットフォームを取りに行っている(そして世界で一番大きなエコシステムを形成しつつある)動きであることは、今となっては誰もが認めるところだと思います。そしてそのプラットフォームは当然AWSビジネスにも深くかかわってくるわけです。「AlexaはAWSの範疇じゃない」とか分けて考えていると、こうした大きな流れを見逃しがちなので、注意が必要ですね。

www.businessinsider.jp

AWSは市場創造者でもある

というわけで、「AWSがすべてを飲み込む」的に書いてきましたが、逆に言うと新たな市場創造者(時には拡大者)であるとも言えます。今回、AWSが発表してきたVR/AR、IoT、AIAWSが本格参入してきたことで、今後成長間違いなしのマーケットと認知された、と見るべきです。この拡大する市場で、どのようにPlayするかが、今後多くのIT系ベンダー、サービス事業者、IT利用企業にとって重要になるでしょう。

今回のre:InventはABEJAとして参加してきたわけですが、このIoTやAI(特にDeep Learning)市場が拡大するというのは、大きなチャンスとなるものととらえています。来年の2月には、国内のDeep Learning 事例を多く集めたイベントもABEJAとして準備していますので、ご興味ある企業の方はぜひお越しいただければと。

six.abejainc.com

皆で、この「不可避な流れ」を楽しんで行きましょう!

※追伸

re:Invent は運営側でなく、参加者側で行くべきものということを今回身に染みて感じました(笑)。心労もなく、今ままで一番楽しめたre:Inventになりました。運営のAWSの皆さまに感謝です!

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