マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

50歳ってどんな年だったか記録してみる

昔々、「人生50年」と言われている時代もありましたが、とうとう今月それも過ぎて51歳になってしまいました。

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※お祝いメッセをいただいた皆さま、ありがとうございます!

とはいえ、きっと年金支給開始も70歳くらいになりそうな状況では、50歳はまだまだ通過点(だって、あと20年は一線で働かなければいけないし)ではありますが、節目っぽい年齢でもあったので、どんな年だったかメモしておこうと思います。

 

W受験(W合格)

まさに今、この状況の親御さんも多いかと思いますが、去年50歳になったタイミングが小島家もW受験の佳境! 我が家は息子と娘がちょうど6歳差なので、大学受験と中学受験が重なるタイミングでした。W受験とはいえ、勉強を教えてあげられるようなサポートもあまりできず("私文"の自分は国立理系志望の息子に教えられるものがほとんどありませんでした!)、もっぱら塾の送り迎えとか娘の試験会場への付き添い、家での勉強の邪魔をしない方向のサポートが主体。また、受験生にとって最大の脅威の一つであるインフルを家に持ちこまないように細心の注意を払い、12月―2月の間は仕事の移動は極力電車やバスを使わず、専らバイク移動で通してました。

※今年はコロナウイルス対策が注目ですが、昨年同様バイク移動が一番安全だと思われるので、今もバイク移動比率を高めるようトライ中です。

で、W受験の結果は、息子も娘も共に第一志望に無事合格! 学力、偏差値だけが学校の価値ではないですが、そのモノサシで測ると小島家史上最強の大学生と中学生の誕生。これに関しては、スゴイ!というしかなかったですね。子供たちに対して素直に尊敬の念を持てたのが50歳最大の経験だったかも。

もちろん、受験生2人を無事に完走させた家内にも大感謝!です。

書籍出版

これまでになかった経験、ということでは著書の出版があったことも大きかったです。それも2冊も!

いや、書籍の出版に関してははるか昔に共同執筆で電子政府がらみの書籍出版(インターネット電子申請:2002年)をしたことはあるのですが、このときは執筆者も多かったですし、そもそも所属していたコンソーシアムからの持ち込み企画(書籍化のコストを各社で負担した覚えが)だったわけで。

それと比較すると、出版社、編集等、先方からのオファーでの著書が世に出るというのは有難いお話です。

一冊目は、ここ数年で大きく認知が上がった(と思っている)コミュニティマーケティングについての書籍。ただし、単に「コミュニティマーケティングとは?」という解説本ではなく、私の大学時代のマーケゼミでの恩師の教えや、これまでの会社でのマーケ経験などが、どう「コミュニティ」に帰着したのかや、後半は、パラレルキャリアとコミュニティの相関についても書いているので、読み物的にも面白いのではないかとおもっています。まぁ、その分難産だったわけですが。

 良ければレビューもいただけると嬉しいです。

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(2/10 PM追記)ちなみに本の帯に顔写真が載っていると、ソーシャルで本が紹介されたときにFacebookから「あなたが写ってる可能性のある写真があります」とお知らせがきたり、いろんなイベントやミートアップで「あの本の人ですよね」と声を掛けられることが多くなり、どんな人が本を読んだり買ったりしていただいているのかが、ネットでもリアルでもわかりやすいのでおススメです。これから書籍を出す人はぜひ。

 

もう一冊は、これも最近注目度の高いDevRelに関する書籍。こちらは、戸倉 彩さん、中津川 篤司さんとの共著で、DevRelに必要とされる3C:Code、Contents、Community について解説と事例紹介をしています。私の担当はもちろんCommunity。

次は何歳で著書の発行タイミングがあるかわかりませんが、カスタマーサクセスや働き方文脈でアウトプットしてみたいですね。 

パラ10達成

2017年=48歳からスタートしたパラレルキャリアですが、比較的長めにサポートをする企業と、短期(基本6か月)でサポートをする企業のポートフォリオで構成しています。ちなみに、2020年2月現在の長期サポート企業はコチラ(AWS以降の各社)に。

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ここ最近の自己紹介スライドから

この6社と短期サポートの会社を併せると10社となる期間がこのところ続いてまして、自分で勝手にパラ10と呼んでました。バイク乗りの人はなじみのあるエンジン形式の呼び方(並列に4気筒のエンジンであればパラ4というわけですね)に合わせて、10社並列の状況を表したコトバというわけです。このパラレルキャリアを初めて3年になるわけですが、同時にかかわれる会社の数と、マネージャー時代に同時に1:1できる人の数が近しいことに気が付きました。自分の経験からいうと、10人超えると難しくなる感があったので、おそらくパラ10がきちんとパフォーマンスを出すうえでは上限としたほうがよさそうな感覚を得ています。このパラ10の枠内で、どんな組織、チームと一緒に走っていくのか、そこの見極めをしっかりしながら進めていこうと思います。

ワーケーション増加

パラレルキャリアでは、仕事先が「先進的」なこともあり、いわゆるテレワーク(リモートワーク)は日常的にできているのですが、せっかく時間の自由度が高いので、それを生かして昨年以上に「ワーケーション」にトライしました。

※ワーケーション:https://style.nikkei.com/article/DGXZZO50727690Y9A001C1000000/

style.nikkei.com

 

前述のとおり、2月が終わる頃までは、受験対応モードで出張さえも抑えてたわけですが、5月には、道後温泉でのDevRel書籍用の「執筆逗留」を含む13日間を、高知、松山、北陸、東海をバイクで移動しながらのワーケーション。

 

 7月は沖縄で政府主導の「テレワークデイズ」に合わせて#武闘派CIO な方々と1週間ほどのワーケーション

 

その翌週にはタイ(バンコク)にて

9月は、アメリカ・ベイエリアでのCMX Summmit と Stripe Sessions の週をまたいだカンファレンス参加をつないでの海外ワーケーション。

stilldayone.hatenablog.jp

togetter.com

10月に日本を襲ったメガ台風:台風19号の時期には、バイク移動で3,500kmを超える行程でのワーケーションを敢行! 台風進路をちょうど避けたコース取りでしたが、それでも影響を被るほど(秋田→島根移動中に挫折して、富山でピットイン)の勢力で、事前の力を思い知った次第。

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移動距離と各地で主催したミートアップのツイート総数

 

先月(2020年1月)は北海道で鶴居村で極寒キャンプ(マイナス13度!)を起点として、釧路、稚内、帯広、札幌とめぐる10日間ほどのワーケーションを。

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極寒キャンプのベース基地!

ここでは念願の(さすがに冬の北海道はバイク移動できず)、冬の花咲線に乗ることもできましたよ!

 

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冬の花咲線の車窓からはこんな風景が

北海道はどうしても札幌エリア偏重になりがちですが、道東はかなり魅力的ですね。今年のオリンピック時期にも、道東を絡めたワーケーションを計画中です。

 

なんだかんだで、50歳の1/3の日数は家にいなかった模様です。このペースは51歳も継続する予定ですよ。 

自動運転カー導入

ウソです(笑)。息子が運転できるようになった、というお話。

ついにクルマの免許をとれる年齢に息子がなったので、免許取得後(AT限定ではなく、今時珍しいマニュアル免許!)に彼用のクルマ(もちろん中古車)を導入することになり、これで50歳にして念願のクルマ2台体制になりました。せっかくのマニュアル免許なので、MT仕様のスポーツカーあたりに乗ってくれるとオトーサン的にはかなり嬉しい状況なのですが、なかなか思う通りには行かず。。。 AT(とはいえDCTというイケテル仕様)のワゴンに落ち着いてます。

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自宅前で2ショット

 2台体制になって気が付いたことは、車が2台あること以上に、免許を持っている同居家族が一人増えたことの圧倒的な自由度!ですね。家族で食事に行っても、息子の運転で帰ってこられるので、安心して呑めるという。。。 

ちなみに、昨日彼に「自動運転カーみたい」って言ったら、嫌な顔してましたが(笑)。

 

ざっと振り返ってみましたが、10年前には想像もしていなかった人生になってるなと思います。W受験自体は想定内でしたが、その経験や結果は想定外。これだから人生何歳になってもワクワクがありますね。10年後、60歳がどんな状況になっているかが楽しみです。

番外:50歳でダメダメだったこと、TOP5。

もちろん、こりゃダメだなーと思うことも多かったです。TOP5はこんな感じ。

  • 50肩:秋口におかしくなってから長期化してます。40代の時の痛みとは違いずいぶん長引くタイプで、いまだ治療継続中。51歳のうちに、完全復活したいところ、です。
  • 体重:上昇傾向が止まらず。。。
  • 老眼:一気に進行した感が。もはやノートPCやスマホは近眼用メガネをかけたままでは操作できないほどに。。
  • MTB今年は復活、と思ったものの結局1回しか行けてません。今年こそ!
  • ブログ:ペースが激減(49歳:33本 → 50歳:4本)。以前は毎月書いていた「パラキャリ月報」を書かなかったのが最大の敗因。

とりいそぎ、運動量を増やしつつ、ハズキルーペあたりの導入を考えてみます。で、ブログアウトプットもこの一本からペースを回復させる所存です!

 

 

3年目のシマシマ団、3つのProgress

このブログはJP_Stripes Advent Calendar 2019 の1日目のブログです。 

adventar.org

平成→令和へと時代の変わり目となった2019年、オンライン決済サービス Stripeのユーザーコミュニティ:JP_Stripes もその活動を大きく広げた1年だったといえるでしょう。毎年恒例になりつつありますが、アドベントカレンダー用のブログで、この1年の活動を振り返ってみたいと思います。

下記の画像は、各開催地の「ご当地ロゴ」一覧。こうしてロゴを並べてみるとずいぶんコミュニティが成長してきたなと感じますね。

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JP_Stripes とは?

オンライン決済プラットフォームの米国企業・Stripeの日本におけるユーザーコミュニティとして2017年3月22日に最初のミートアップを開催。以来、全国の各都市に開催エリアを拡大しながら、活動を続けています。活動内容や、メンバー間の情報共有などは、こちらのFacebookグループにぜひご参加ください。

www.facebook.com

既存ユーザーの方だけが参加する、いわゆる「ユーザー会」とは異なり、サービスに興味がある人や利用検討中の人も参加も多いので、参加のハードルは低めです。その一方で、スピーカーは実際に利用しているユーザーの方が殆どなので、実際の運用方法や、課題に対する対処方法が聞けるのが良いところだと思います。

例えば、前回の東京開催では、ちょうど消費増税の実施直後ということもあり、Stripeを導入している各サービスで、どのような対応を行ったかを共有する実践的な内容でした。

togetter.comなので、キャッシュレス、サブスクリプションSaaS等に興味がある方も、お気軽に参加いただければと思います。

ちなみに、Stripeは今年の大型調達でその企業価値が更に高まり、いわゆる「ユニコーン企業」を超えるデカコーン企業」として、その存在感を増しています。

forbesjapan.com

Progress1:開催都市の拡大

コミュニティの拡大には、開催エリアの拡大は欠かせないものになります。今年も、各地のコミュニティリーダーの方々のサポートのおかげでエリア拡大を実現。

4月17日にキックオフがあった熊本からはじまり、仙台、島根、会津と続き、昨日11月30日がキックオフだったさいたままで、新たに6か所でJP_Stripesの開催がスタートしました。(来年2月には新たに金沢での開催も決まっています)

 これにより、開催エリアは年初の12から18に、今年開催されたミートアップも昨日のさいたまで24回を数え、通算開催ミートアップ数も67回までに伸びています。

画像

12月には、宮崎でも開催予定なので、最終的には2019年末までに通算開催数は68回になる予定です。

12月以降のJP_Stripes の開催スケジュールはコチラをチェック!

eventregist.com 

Progress2:初の全国イベント JP_Stripes Connect 2019 開催!

開催エリアを拡大するだけでなく、逆に全国のコミュニティメンバーが一か所に集まる全国イベント:JP_Stripes Connect 2019 を初めて開催できた年になりました。

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キッカケは、2018年の秋ごろに、コミュニティメンバーの方からの「やってみよう!」という自発的な声からはじまり、会場や講師手配、ウェブサイトのデザインやイベントバナー、当日のオペレーションに至るまでコミュニティ主体で実施することが出来たのは、コミュニティにとって大きな前進だったと言えます。

声を上げてくれたメンバーに関西エリアの方々を多かったこともあり、開催場所は大阪で実施。ちょうどコミュニティ発足2周年と重なる3月23日に、約100名の方に参加いただき、セッションも3トラック構成で計27セッション、スピーカーはLTも含め30名近くになり多くのアウトプットがありました。当日は800を超えるツイートも。

こちらのツイートまとめからも、当日の熱気を感じていただけると思います。

togetter.com

常日頃、コミュニティマーケティングの文脈で、「自走するコミュニティ」が理想形の一つという事を言っているのですが、JP_Stripes もそのカタチに更に近づいたと感じています!

この全国イベントは、今回で終わりではなく、毎年開催する方向ですすめています。2020年は、4月18日(土)に東京で開催すべくメンバー間で準備中です。まずは、4月18日をSave the Date!

Progress3:FBグループ登録1,000名越え → ご当地ロゴ入り記念Tシャツ作成

開催地の拡大や、全国イベントの開催、日々のコンテンツアウトプットの結果、コミュニティ発足3年目にして、Facebookグループのメンバーが1,000名を超えました。これを記念して、開催各地の「ご当地ロゴ」を作成して、これを使ったTシャツを作成しています。デザインはバックプリントでこんな感じ。

このTシャツは

にもれなく差し上げようと思っていますので、欲しい方はミートアップやアドベントカレンダーにぜひご参加を。 サイズは S / M / L / XL を取り揃えています!

 

番外編:Go_SaaS への取り組み

こちらは番外編として。Stripeでは、ID as a Service を提供するAuth0、DevOps環境を実現するCI/CDサービスを提供するCircleCIを共同で、日本でのSaaSサブスクリプションビジネスの立ち上げを支援するGo_SaaS 三種の神器プログラムをこの6月に発表しました。

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3社共同の記者会見に内容やプログラムの情報はこちらの記事やサイトでご覧いただけます。

www.itmedia.co.jp

tech.nikkeibp.co.jp

enterprisezine.jpプログラムの適用を考えているISV、SaaS事業者の方向けのオンボーディングセミナーも2か月に1回のペースで開催中。次回開催は12月17日です。

go-saas.connpass.com

そして、このプログラムを使ったサービスも続々とローンチ中。先日も、新たに利用開始をした事例についてプレスリリースで紹介しています。

www.newsweekjapan.jp

で、このプログラムのポイントの一つが、3つのサービス(Auth0 / CircleCI / Stripe)全部にコミュニティが存在しており、日々多くの運用情報を得られるということ。こうした利用者の実践的な情報生成なくして、クラウド時代のサービス活用は難しいと思っています。現在は、各コミュニティの活動は個別に行われていますが、今後は各サービスの連動事例やデモなどで、スピーカーやコミュニティ間の交流も進むといいなと思っています。2020年は、こうしたインターコミュニティな活動が一つの目玉になるかもしれませんね。

Auth0、CircleCIのコミュニティについては、こちらをご参照ください。

というわけで、来年4年目のJP_Stripes の活動にも期待大です。キャッシュレス、サブスクリプションSaaS、越境EC等にご興味ある方で、まだ参加したことが無い方は2020年はぜひご参加を! 全国のミートアップ会場でお待ちしています!

 

 

 

 

 

ふたりボッチのCMX Summit 2019 参戦記 (または、CMX Summit 2020 参加のススメ)

2019年9月5日、6日と米国・Redwood Cityで開催された、おそらく世界でも最大規模のコミュニティマネージャー、コミュニティマーケター向けのカンファレンス・ CMX Summit にはじめて参加してきました。いろいろと得られたものがあったので、記憶が新しいうちにブログでアウトプット!

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より「コミュニティマーケティング」志向になったCMX Summit

CMX Summit は、最初に2014年にコミュニティマネージャーやコミュニティに携わるプロフェッショナルを対象に開催されたイベントで、そこから継続的に開催されています。これらの経緯は、ソーシャルカンパニー代表の市川さんが書かれたこちらの記事がわかりやすいかと思います。

gendai.ismedia.jp

このように、当初はコミュニティマネージメントに携わる「実務者同士」の会合の要素が強かったようです。企業系のコミュニティだけでなく、趣味や地域コミュニティ等の話も多かったようですが、今回初めて参加して感じたのは、(話に聞いていたよりも)企業マーケティングの一環としてコミュニティとどう向き合うか、というコミュニティマーケティングの視点をもったスピーカー、参加者が多く集まっている印象を受けました。

つまり私にとってはドンピシャなセッションが多数あったわけです。いわゆるコミュニティマネジメントのTIPS的なセッション以外にどんなトピックがあったかというと

  • コミュニティの価値をビジネス的にどう評価するか?
  • エンタープライズ企業がコミュニティとどう向き合うか?
  • VCはコミュニティを(持つスタートアップを)どう評価しているか?
  • オンラインとオフライン、どちらを重視すべきか?
  • コミュニティのリブランド(再生)をどう行うか?
  • コミュニティの海外展開の方法は?

等など、おそらく日本の皆さんにも興味ある話題が盛りだくさん。

こうしたセッションが30分枠で、3つの会場で次々に開催されるので、1日に受講するセッション数はかなりなものになります。私も2日で約30セッションを受講

 

 

豪華な講師陣

そして、そのセッションの講師陣も豪華(という表現が適切かはともかく)な布陣。ざっと日本でも有名な企業名とタイトルを並べただけでも

  • Presdent at Attlacian (Jay Simons)
  • CEO at Gainsight (Nick Mehta)
  • CMO at Mozilla (Jascha Kaykas-Wolff)
  • CMO at Electric Arts (Chris Bruzzo)
  • VP of Social Enterprise at Lyft (Veronica Juarez)
  • VP of Community at Salesforce (Erica Kuhl)
  • Head of AR/VR experience at Facebook (Rachel Franklin)
  • Head of Community at Dropbox (Laureline Boin)
  • Head of Community at Netlify (Perry Eising)
  • Developer Marketing Manager at Slack (Elizabeth Kinsey)
  • Customer Marketing Manager at Marketo (Kelsey Bourque)
  • Customer Success Manager at Asana (Terri Lomax)
  • Community Engagement Manager at Zendesk (Nicole Saunders)

... と、これ以上書ききれないほどのスピーカー。ちなみに、タイトル(役職)も日本であまりないものが沢山あって興味深いですね。そして、会場でのスピーカーとのこの距離の近さ。

写真は、カスタマーサクセスの大型イベント Pulse の主催であるGainsightのCEO。Pulseのような大型カンファレンスだと、もはやこの距離は難しいでしょうが、CMX Summit ならまだいける!(笑)

日本からの参加者2名!

 さて、そんな内容盛りだくさん、スピーカーが豪華で距離も近い、とコミュニティマーケティング周りの人にはオトク感満載のイベントですが、今回は(何度も数えてみましたが)日本からの参加者は、元NewsPicksの小野さんと私のふたりボッチだった模様。

たった二日間参加するだけで、これだけ知見を得られる場もなかなか無いと思いますので、コミュニティマーケティングを実践中の方は、来年ぜひ参加したほうがいいと思います。より多くの会社や組織からのサポートを得るために、上司やステークホルダーと一緒に来るのも良いかと思いますね。ちなみに来年はもう日程も場所も決まっていて、2020年9月9日~10日で、今年と同じRedwood City での開催となります。取り急ぎ、今からSave the Dateを! もう行くと決めた人は、今なら(2019年9月22日まで)Super Early Birdで半額以下のチケット代ですよ。

events.cmxhub.com

参加を通じて感じたこと:Top 5

1:サブスクの成長にコミュニティが不可欠に

Saleforce, Atlassian, Slack, Marleto, Lyft... とサブスクリプションビジネスの教科書に出てくるような名だたる企業がその成長戦略にコミュニティを据えているところからも、ここはその関係性がハッキリしてきているといえるでしょう。

とはいえ、Slack等では、ベンダー側の取り組みが始まったのはつい最近と、はじめからベンダー主導でできたものは少なく、自然発生的にできたコミュニティとうまく相対してきたというのが正しいかもしれません。今後は、現在のSalesforceやMarketo、Atlasianのようなコミュ二ティ戦略を当初からきちんと設計、運用できることが、サブスクリプションビジネス成長の上で求められてくると考えられます。

スタートアップに投資するVCからしても、コミュニティを持っているかどうかは投資の判断材料の一つになってきているようですし、この流れは確定的だと思います。

 

2:コミュニティの評価が益々重要に

コミュニティが企業戦略に結びつくようになると、当然ながら社内のステークホルダーが多くなりますので、「説明責任」がより広範囲に発生することになり、多くの人を「納得させる」ための指標が益々必要になってくるのは必然とも言えますね。

これを図るうえで、①コミュニティの目的を明確にし、②それに寄与する指標を早めに設定し、③関係者への共有を行う、というのが一つの理想形であるとされていますが、多くの企業、コミュニティで評価軸の設定や計測方法の確立にストラグルしているのが現状のようです。定量的なモノだけでなく、定性的な指標も外せないので、ステークホルダー(特に上層部)からの理解をどう得るかがコミュニティに関わる部門や人にはますます求められるようです。

あと、ここを数値化するツールが沢山出てきているように見えます。まだコレ!という本命サービスを見つけられていないですが、ここ数年でマーケティングオートメーション(MA)が盛り上がったように、コミュニティマネジメントや価値測定をするツールやサービスの市場が大きくなる予感がしますね。

 

3:オフライン - オンラインのハイブリッドモデルを推奨

東京一極集中の日本と異なり、米国ではカバーすべき都市、地域が点在しているので、オンラインでのコミュニティマネジメントは当然重要なのですが、オンライン一辺倒では難しく、オフラインの場でどのようにエンゲージメントを高めて、コミュニティリーダーのいう事を傾聴し、モチベートしていくかが重要であることを、多くのスピーカーが指摘していました。その一方で、スケールやオフラインの体験をより「強化」するオンラインの場は不可欠としうことで、オフライン - オンラインのハイブリッド運用がベストプラクティス的な感じですね。

尚、オンラインコミュニティをどのツールで構築するかは、まだベストな方法が無いようで(比較的Facebookグループが多いようですが、これがベストというわけでもなさそう)、ここでも新たなサービスやビジネスが伸びる余地があるかも、です。

 

4:スケールのためには「自走化」がカギ

 ここが多くの企業が期待しているところですね。自走化によって、カスタマーサクセスや、チャーンレートの低減、新機能の浸透などを従来のマーケティング手法よりはるかに低コストで、効果的に行えることは前述した「成功したコミュニティモデル」を持つサブスク企業のトップや責任者がこぞって話していたところです。

逆にいうと、いかに既存のコミュニティを自走化できるか、がコミュニティマーケティングの成功のカギとなるということで、そのためにコミュニティに参加している人たちにどう接すべきか、リーダーをどう選ぶか、どう彼らから信頼を得るか(またはいかに信頼するか)について多くのセッションで語られていました。

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アンバサダー制度やアワードの設定等も具体的なノウハウとして紹介されていました。また、この自走化の文脈でもオフラインの重要性がクローズアップされていましたね。アノニマス化されたオンラインでの対応では難しく、「個々」の参加者と向き合える場としてオフラインが効果的、という事でしょう。

 

5:このイベントは急成長しそう!

 最後に行っておきたいのがコレ。CMX Summit が急速に大きくなりそうに感じた背景は

  • SaaS/サブスク系の成長会社からのスピーカー多数(成長企業での実践が増加)
  • 現場のコミュマネ向けの会合から企業のマーケター向けにはっきり方針転換
  • メトリックスの取り方、どのツールを使うか、など企業向け情報が豊富

あたりですね。つまり、企業のお金で出張参加できる人が増えそう(今は自費参加者が多いのでは?)で、更にその人たちをターゲットにしたスポンサーが増える、というスパイラルが生まれそう。

 

その他、両日のメモ代わりのツイートはこちらをご参照ください。

Day1 参戦メモ

togetter.com

Day2 参戦メモ

togetter.com

リキャップもやります!

ブログでは伝えきれない部分もあるので、報告会的な場も持ちます! 今回一緒に参加した小野さんのご協力を得て、CMX Summit 2019 のカンタンなリキャップセッションを10月24日開催の CMC_Meetup tokyo Vol.14 で行う予定です。ご興味あるかたは、こちらにもぜひご参加を。

eventregist.com

CMX Summit のTシャツも何枚か入手してきたので、当日プレゼントしますよ!

 

 

How to explain Community Marketing in English -- 海外上司にコミュニティマーケティングを説明する際のポイント

CMC_Meetup の拡がりや、コミュニティマーケティング本の発売もあってか、最近は「コミュニティマーケティング」とサーチすると、日本語の情報が沢山出てくるようになりました。

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2年ぐらい前は、Logmiなどの私の登壇記事やインタビュー記事くらいしかヒットしなかったものが、これをキーワードに広告やSEOを実施しているサイトも多くみられるので、ビジネス的にもホットになって来ているのかなと感じますね。

上司への説明が難関の一つ

これもひとえに実践者が多くなっている(=ニーズが増えている)証拠かな、と思うのですが、実践する人は社内への説明やステークホルダーからの同意を得るところで、躓くことも多くなってきているようです。

中でも難しいのが外資系企業で、上司が海外(アメリカとかシンガポール)にいる場合。日本でもまだ知られ始めたばかりのコミュニティマーケティングを、海の向こうの上司に説明するのはなかなか至難の技。ということで、そんな状況にある人が少しでも説明しやすくなるように、コミュニティマーケティングに関する英語のリソースのインデックスと、説明のコツ的なものをまとめてみます。

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英語のリソース

昨年のBigbeat Live 2018での登壇内容の記事や、DevRel Cinference Tokyo 2019 での登壇内容動画等が、英語圏の人に説明するときには役に立つかもしれません。

<Bigbeat Live の英語ブログ>

このように、第三者が記事化したもののほうが、Confidenceを得やすい感じがありますね。

bigbeatinc.com

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<DevRel Conference 2018 での登壇内容動画 & 資料>

で、上司やステークホルダーの関心を引くことが出来れば、こちらの英語プレゼン動画と資料に目を通していただくのが良いかと。

www.youtube.com

www.slideshare.net

 

<Auth0 英語ブログでのインタビュー記事>

Auth0で、マーケティングの支援を開始するときに受けたインタビュー内容。Auth0もいまや「ユニコーン企業」なわけですが、そのAuth0が日本市場開拓において、「コミュニティマーケティングを重視している」というファクトは、海外のメンバーに説明するときにも信頼を得るよい材料になるはずです。

"Community Marketing expert Hideki Ojima shares why he chose to help Auth0 expand in Japan, his 3 principles for community growth, and more!"

auth0.com

 

海外上司への説明のコツ

AWSが日本で実施、Stripe、Auth0などのユニコーン企業も日本で実践中というファクトを紹介

理論よりもファクト。クラウドサービスを展開するIT系企業が日本でのビジネスを考えるとき、AWSの成功ストーリーは参考にしたい内容の一つです。で、そのAWSの日本市場での躍進を支えたものの一つがJAWS-UGというコミュニティであることをまずは理解してもらうことが重要になるでしょう。

下記のサイトは日本語表記かつ数値的なものが伝わりづらいと思うので、こちらの数字を伝えるといいかと。

2018年のJAWS-UG活動数値:

  • 支部数:50+
  • 勉強会の年間開催数:250+
  • 勉強会への年間延べ参加者数:12,000+

jaws-ug.jp

このような規模が伝われば、コミュニティに対する見方が変わる可能性は十分あります。

また、ユニコーン企業であるStripe、Auth0も、日本でコミュニティマーケティングを実践しているというファクトも説得力を持つと思います。

www.facebook.com

 

②コミュニティがマーケティングファネルのどこに効くかを説明する

コミュニティマーケティングで一番NGなのは、刈り取り系のセミナーやキャンペーンと同じ指標でKPI設定や評価がされること、です。

コミュニティマーケティングが効くのは、使い始めた人へのチャーン対策やアップセル等のLTVを向上させる部分、及びこれから利用検討する人たちが「これは自分に関係ある」と感じてもらう部分(=Demand Generation) であり、その先のステップとしてセミナーやキャンペーンを用意させて連動させたり、カスタマーサクセスでうまくオンボーディングしたお客様が、コミュニティでアウトプットする(=スピーカーになる)などの活動も併せて実施する必要があることは伝える必要がありそうです。

もっと端的にいうと、コミュニティだけをやるわけでは無い。コミュニティマーケティングと組み合わせることで、フィールドマーケティングで重要なMQLやSQLの生成、更には、カスタマーサクセスの施策がより効果的に行えるという説明が重要かと。

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こちらのブログは英語ではないですが、コミュニティマーケティングとそのほかのマーケティング施策の混同にどういうものがあるかをまとめています。上司やステークホルダーと合意が取れない状況になったときに、この10のパターンのどれかに該当していないか、参考にしてもらうといいと思います。

stilldayone.hatenablog.jp

 

③ Tedの動画を見せる

これは、日本進出を検討中の何人ものCxOに見せた結果、コミュニティマーケティングへの理解度や重要度の認識がかなり上がることが実証されています(注:あくまでも個人調べ、です)。ポイントは初めに踊っている人がリーダー、それを真似て踊りだす人がフォロワーという関係を、コミュニティでも再現すると説明することですね。

というわけで、この動画は必ず見せることをおススメします。で、こういうムーブメントを日本のマーケットで作りたくないかを問いかけるのが鉄板(自分の観測範囲では、必ずYesと言う)です。

この動画、まだ見たことが無い方はぜひ見ていただきたいです。

www.ted.com

 

いかがでしょう? コミュニティマーケティングは、海外の上司や同僚が知らないから、彼らを説得するのが大変だから、というだけであきらめるにはあまりにも勿体ないアプローチです。このブログの内容が皆さんが一歩踏み出すときの参考になれば嬉しいです。

火星(M・A・R・S)時代への不可避な流れを確信する -- Amazon re:MARS 2019 参戦記

Amazonが開催する初のAIカンファレンス」的な触れ込みで、Amazon re:MARS の開催を知ったのが、確かこのCNETのニュース。ということで1月頃ですね。

japan.cnet.com

この手の大型カンファレンスは、初回に「持ち札」を最も惜しみなく出してくるのと、コンセプトに忠実な内容(次年度以降は、拡大させなければいけないので、ピュア度より拡がりが重視されがち)になる傾向があるのは、長年裏方をやってきていたので確信がありました。つまり、AI市場に携わっている自分としては、「参加して間違いないカンファレンス」だと思い、3月のプレレジストレーション開始後に速攻で申し込みました。セッション内容はまだ詳しく出ていませんでしたが、JB(Jeff Bezos) の登壇があるというのも個人的には大きな動機。もしかしたら、このイベント名にひっかけて、JBが所有するBlue Origin での火星プロジェクトなんかも発表あるかも、いうことで期待値は高まる一方です。

カンファレンス名「MARS」の意味は?

MARS -- 火星と聞くと、多くの人がこの映画を思い浮かべるかもしれませんが、

www.youtube.com

このカンファレンス名のMARSは、火星を意味するのではなく、これから重要度が増す以下の4つの分野の頭文字から来ています。

  • MMachine Learning (機械学習
  • AAutomation(自動化
  • RRobotics (ロボティクス
  • SSpace(宇宙

AI(Artificial Intelligence)が頭文字に来ないところが、なかなか意味ありげではあります。

キーノートやセッション内容については後述しますが、それぞれが独立した分野というより、この「MARSの組み合わせ」が未来を創るのだ、というビジョンやユースケースフレームワーク等の紹介にあふれた場で、50になった自分でもワクワクする未來感、それもかなり手ごたえのある未来を感じられる場になってました。

会期は6月3日=火曜日の日中のワークショップから始まり、その夜に最初のキーノート、翌水曜日、木曜日は午前がキーノートで、午後にブレイクアウトセッション、最終日の金曜日はブレイクアウトセッション主体の、計4日間のカンファレンスです。あ、この手の大型カンファレンスにつきもののパーティーは、木曜日の夜に設定。場所はラスベガス郊外のサーキットということで、これまたアメリカンな感じで楽しみ。

話題のロボットSPOT登場、そしてAlexaと話すアイアンマン

もともと、月曜日入りして、時差ボケ調整しつつ、火曜日からの日程に臨む予定でしたが、マーケ支援で関わっている3サービス(Auth0 / CircleCI / Stripe)の記者会見を月曜日に東京で行うことになり、火曜日発に変更。ラスベガスの空港に火曜日15:00くらいについて、18:30~のキーノートに参加するという、ダイレクトコネクトな日程で参加することに。

 NRT → PDX → SLC → LAS と2回の乗り継ぎを経て、空港からホテルチェックイン、そしてカンファレンスでレジストレーションをすると、もう初日のキーノート開始の時間。ある意味、無駄のない移動だったとも言えます。

 

初日は比較的Roboticsに振った内容で、その中でもBoston Dynamics CEOの登壇内容が様々なロボットの進化の過程と、今後の流れを俯瞰して教えてくれてかなり理解が深まりました。そして、壇上にはリアルにSPOTという最新の自律型4足歩行の多目的ロボットが登場。ニュース等でなんどか見たことがありましたが、実物を見るとその動きの精巧さに驚きます(セッション後はなんと会場を少し「散歩」している姿も見られました)

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ステージの模様は、こちらのYouTubeでもサマリーが見られますので、ぜひ。SPOTがステージ上で動く姿も見られます。

www.youtube.com

そしてセッション最後には、ロボットといえば(?)この人、アイアンマン役でお馴染みのロバート・ダウニーJrが登場。アイアンマンといえば、AIのジャービス(J.A.R.V.I.S)がいつもの相方ですが、このキーノートでは、Alexaとの会話で話が進行。それも(MARSといえば、の)マット・デイモンが来れなかったので、その代役扱いされるというコミカルなもの。この近さで、ロバート・ダウニーJrのステージが見れるだけでもかなりオトクなのに、Roboticsに関する話題と、最後にはビデオで出てくるマット・デイモンとの掛け合いつき。初日から、ちょっと豪華すぎるんじゃないの? という構成です。

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MLがすべての基盤に

この初日のキーノートでも触れていたのですが、このre:MARS のキーノートを通じて繰り返し言われていたのは、MLがすべての基盤(foundation)になる、というメッセージです。で、AIはMLの上のレイヤーという概念。

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※写真はDay3のキーノートでの、Amazon CTO, ワーナー先生のスライド。

AI関連のカンファレンスやセミナーでも、(自分がこれまで見た限りでは)MLとAIがきちんと分けられずに使われているシーンが多かったように思いますが、このレイヤー図はしっくりきます。MLはあくまでもモデルを作るための手法であり、必要に応じてその上に "Intelligent" な仕組みを実装したものがAIである、という考え方ですね。

シアトルで会ったアマゾンの人(本社勤務)に聞いた話ですが、社内のオールハンズでAIについて質問があった際に、「AIとMLは分けて考えるべき」とJBが即答したらしいので、re:MARS のために用意したスライド、というよりこの数年のアマゾンの社内での共通の理解がre:MARS の機会に外に出てきた、と考えたほうがいいでしょう。

AIについて語るときに、MLやDL(Deep Learning)などのモデル構築手法とIntelligenceがごっちゃになっていることが多いので、自分もこのレイヤーを使って説明するようにしたいなと思った次第です。

AIはヒューマンインテリジェンスではない

これは、Day2のキーノートで登壇したMITのスピーカーが言っていた言葉。AI ≠ Human Intelligenceというのは、考えてみれば当たり前のことかもしれないのですが、腹落ちした表現でした。日本語で「人工知能」というと、どうしても人間的なふるまい(感情面も)をするものというイメージが付きまといますが、MLやDLで得られたモデルを使って、目的やコンテキストに応じてIntelligent なふるまいをするアプリやロボットを指すと理解すれば、別に人間を模していないことは確かです。

MITのスピーカーの後に出てきたiRobot のCEOが、AI搭載のロボットは、Autonomous(自律型) --> Responsive(応答型) --> Collaborative(協調型) -->System(システム型)の順にCapability (可用性)が上がると説明していましたが、確かにその通りで、人間になろうとしているわけでは無いわけです。AI搭載のRoboticsは、まさにこのステップでより複雑な処理をIntelligentに行えるようになるでしょう。

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データ量だけではなく、シミュレーションがモノを言う時代に

よりIntelligetになるためには、MLやDLでの「学習の量と質」が重要なわけですが、今回のre:MARSでは、この学習量と質を「データ量」×「シミュレーション量」で実現するものだ、というのが既に常識になっているように思いました。

ニュースにもなったアマゾンの独創的(6ローター+垂直離着陸+ほぼ水平飛行)な新型ドローンですが、これも実際のデータだけでなく、無数のシミュレーション作業を経て、実用化に向かっていることが紹介されていました。

このドローンについては、こちらの記事が参考になるかと。

japanese.engadget.com

AmazonでのML/DLの実用例である、Amazon GoやAmazon Robotics、Logisticsでも、こうしたシミュレーターが有効活用されている話が(惜しげもなく)公開されていました。これからはシミュレーター無しでは、勝負できない時代になりそうです。

RoboticsとMLの融合は不可避

今回は、冒頭で紹介したBoston Dynamics をはじめ、多数のロボットをまじかで見たり体験できる場としても、価値あるカンファレンスだったと思います。

こちらの記事に詳しく紹介されていますが、多種多様なロボットが会場に展示。

robotstart.info

どのロボットも、動きの制御にはMLやDLを使っており、もはや工場のラインにある単目的な産業用ロボットとは違う成長軌道にあるのがわかります。前述のシミュレーションの活用もあいまって、その進化スピードは速くなる一方なので、来年どのレベルまで上がっているか楽しみです。

 そして、ML/DL+Roboticsをより身近に体感できるDeepRacerも会場に「サーキット」が用意されて、ほぼ一日中タイムアタックが行われていました。どうも「ガチ勢」は、セッションにはほとんど出ずに、こちらのDeepRacer League に参加していた模様。

 

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 尚、DeepRacer League は日本からも参加できますね。DL+Roboticsの学習をはじめたい方にはうってつけだと思います。詳しくは、コチラのアマゾンのサイトからご確認ください。

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aws.amazon.com

生JB登場

最終日のキーノートのトリは、JBへのインタビューセッション。 自社イベントでも、JBがこうした場に出るのは、初回のre:Invent 2012 以来ではないかと思います。私としては、これまでのキーノートでのカバレッジが少なかったスペース分野の話題を期待していたのですが、少しBlue Origin と月の話が出た以外は、あまり深堀されませんでした。自分としては、先日JBが発表したスペースコロニーの話とかも出るかなと期待していたのですが、それも残念ながら語られずじまい。

japan.cnet.com

会場にはさすがにスペースコロニーの模型などはありませんでしたが、Blue Originの実物大モデルの展示がありました。私は時間がなくて中に入れなかった(予約制)のですが、こちらに動画も上がっていますので、ご参考までに。

www.youtube.com


そんな中でも、彼が今後注目すべき分野としてバイオテクノロジーを上げていたのは初耳でしたし、興味深かったですね。バイオテクノロジーも、ML/DLの恩恵を受けることはロボットやスペース同様間違いないところなので。

その他には、アマゾンのリーダーシッププリンシプルについての話や、10年後も変わらないことにフォーカスすべし、といった、いつも彼が話しているトピックが殆どだったので、ちょっと既視感多めではありましたが、多くの参加者によっては、生JBは初めてだったのではと思うので、良かったのではないかと。

エンドユーザーこそ、re:MARSに行くべき!

re:MARS に関しては、来年も開催されるかはまだアナウンスされていません。Amazon Go、Robotics、Rogistic等、これまで外向けに語られることが少なかった内容が、キーノートでVPクラスが続々登壇するだけでなく、ブレイクアウトセッションでも詳細に紹介されていて、今あるネタは出し切った気もする(その意味では、今回は相当オトクなカンファレンスだったと思います)のですが、次回もやるとなれば、今年を上回るネタは揃えてくるでしょうし、規模ももっと拡大するはずなので、展示エリアも含め更に大きくなると想像します。

今年感じた、スピーカーとの距離の近さや、ランチやパーティーでの快適度合い(re:Invent に比べると圧倒的に空いていた)は多少損なわれるかもしれませんが、アマゾンの製品アピールではなく、MARSなユースケースがこれだけ見られるイベントもそうそうないと思いますので、間違いなくおススメできると思います。MLやロボット関連の利用が、PoCレベルではなく、成長の原動力として既に実装されているという現実を多くの人が感じることが出来るはず。

そして、日本から参加する人はITベンダーの方より、むしろ実業をやっているエンドユーザーの方々(製造、小売り、ロジスティックス等)に参加いただきたいです。世界はどんどん先に進んでいる今、実業の方がITベンダーからの提案を待っていては、太刀打ちできないのは明確。自分の目で見て、考えて、行動できるようになるためにも、ぜひ実業の方の参加比率が高まることを期待しています。

今年参加した人たちとのネットワークも、このFacebookグループ(公開グループ設定)で見られますので、どんな人が参加していたか、皆がどんなアウトプットをしているかを見ていただけると、より臨場感が湧くと思います。

写真は、日本からの参加者有志によるネットワーキングディナーでの記念撮影。来年はもっと多くのMARSな人とネットワーキングできればと思います。

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サブスクリプションを正しく実装するために (または、「なんちゃってクラウド」再び、にならないために)

ここ最近、「サブスクリプション」について見聞きすることが増えてきました。こちらのDIAMOND onlineの記事では「フリー」「シェア」といった、近年浸透してきた言葉と同じくらいポピュラーになるとして、プッシュ中の模様。

トヨタ自動車からラーメン屋まで――。あらゆる業界で継続課金制の「サブスクリプション」が急拡大しています。本連載では「フリー」「シェア」などに続く新たなビジネスモデルとして注目を集めるサブスクリプションの最前線に迫ります。

diamond.jp

また、その名も「サブスクリプション」という名の本が、IT業界の人を中心に多く読まれています。私も読みましたが、これはおススメ。いわゆるIT系のビジネスだけでなく、ありとあらゆる産業を巻き込んで、サブスクリプションが拡大する理由を、わかりやすく説明しています。

ここまで拡がってくると、自分的には10年ほど前から日本で「クラウド」という言葉が拡がるのと並行して起こった(まだ進行中?)現象が思い出されます。そう、「なんちゃってクラウド」な流れ

「なんちゃってクラウド」で起こったこと

クラウドがなぜ生まれ、普及したのか。そして、クラウドで成功している(導入側の)ビジネスが何を得たのかを考えれば、

  • ビジネス開始(システム構築)までのスピード向上
  • ビジネス開始(システム構築)後の継続的な改善
  • キャッシュフローの改善

等の実現にあったことは、ほぼ異論のない事だと思います。 別に、「仮想化」とか「分散処理」とか「所有権」が目的では無くて、結果的に上記が達成されることに本質的な価値があるわけです。

ところが、この10年間で私が見てきた中では、

  • データセンターが社外にある
  • 仮想化技術を使っている
  • 製品・サービス名に「クラウド」と名前がついている!

といったカタチを重視(ベンダーだけでなくも導入側も!)して、先に挙げた本質的な価値に向かい合わなかった事例も多く見られました。

カタチだけまねても、本質が変わらないと、こういうギモンも出てくるわけで。。。

 

本質的な価値を目指さなければ、得られるメリットも少ないのは自明ですね。この本質を求めず、カタチや説明のしやすさだけでクラウド提案・導入をしてしまう状態が、いわゆる「なんちゃってクラウドです。

ちなみに、「なんちゃってクラウド」が日本で通用した背景としては、ベンダー以上に導入顧客側の罪が重い気がしています。顧客が望まなければ、このようなことにはならないので。。。現状を変えたくない、というある種の共犯関係が作りだしたものと言えるでしょう。そして、これで結果的に回り道してしまった日本のビジネスや企業も随分あったと思います。

サブスクリプションの本質とは

IT業界でパラレルキャリアをやっていると、多くのITビジネスと関係ができるわけですが、その多くが(提供側として)サブスクリプションビジネスを志向していることがわかります。しかし、そこで見聞きするサブスクリプションが、カタチだけのことも多かったりします。

つまり、

  • 一括払いでなく、継続払い
  • 所有権ではなく、利用権
  • 製品・サービス名に XXXXX as a Service とついている(XaaS)!

というカタチだけサブスクリプション風なものも少なくないということです。が、前職のAWSで7年にわたりサブスクリプションを見てきた(そして、あれほど強固なライセンスビジネスを確立していた古巣のアドビが、いかにサブスクリプションに切り替えてきたかを見聞きした)立場からすると、サブスクリプションビジネスは、従来のモデルとかなり異なる部分、あえていうとシビアな部分が多く、カタチだけ取り入れると大やけど、ということにもなりかねません。

例えば、ソフトウェアライセンスビジネスからサブスクリプションに移行すると、一見同じソフトをクラウドから提供すればいいだけに見えますが、本来一括で得られたレベニューが数年間にわたって入金が先送りされるわけでファイナンス上のリスクになります。そして、ライセンスビジネスと違い、顧客はいつでも利用を止める(契約を打ち切る)ことができる、というチャーンのリスクにも直面します。

更に、受託ビジネスからサブスクリプションに移行する場合は、もっとジャンプが高くなります。これまで、特定顧客に「検収」をもらえればよかったビジネスから、市場全体から「検収」をもらえないとビジネスが続かなくなるようなもので、仕様策定や製品開発体制そのものを変えないと、技術力があっても対応できません。

つまり、せっかくのこの新しい波をカタチだけで取り込んでも、「なんちゃってクラウド」再び、という状況になってしまうわけです。これだと提供側も導入側もまたまた回り道をしてしまうことに。端的に言うと、欧米や中国、アジア諸国に今度こそ大きくおいていかれる可能性が高いと考えられます。

一方で、サブスクリプションの本質を理解し、ビジネスが軌道にのれば、毎期ゼロから売り上げを積み上げるプレッシャーから解放され、成長するごとにキャッシュフローも利益率も良くなります。ビジネスの見通しも立ちやすいので、採用計画や投資計画も立てやすくなります。

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では、そのサブスクリプションビジネスの成否を分けるものは何か?ずばり、それは「顧客と向き合うこと」に他なりません。

 顧客と向き合うことの大切さ

サブスクリプション」の著者・ティエン・ツォが創業したZuoraや、私がエバンジェリストを務めているStripe等を使えば、サブスクリプション課金の仕組みは簡単に導入できるようになっていますし(というか、こうしたプラットフォームを使わないとプライシング変更や解約時の返金処理等に工数がかかりすぎる)、AWSMicrosoft AzureGCPといったメガクラウドを使えば、SaaSスマホアプリ等のサブスクリプションビジネスを日本のみならず世界中に瞬時に展開することも、技術的には可能です。

とはいえ、継続課金形態さえできていればOKというわけではないのは、古くから「サブスクリプション」的ビジネスを確立してきた新聞ビジネスの昨今の状況をみると明らかですし、クラウドで世界を目指すサブスクリプション課金モデルのサービスも、ユーザー獲得のみならずチャーン対策に、その多くがストラグルしています。

一方、顧客サイドから見ると、後述するサブスクリプションの良さを一度体験すると、買い切りモデルにはなかなか戻らない傾向にあります。IT関連の数字ですが、日本でもSaaSとパッケージビジネスの比率の遷移は下記の通りで、パッケージビジネスはシュリンク傾向にあり、サブスクリプションへの取り組みは不可避な流れと言えるでしょう。

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出展:ボクシルマガジン https://boxil.jp/mag/a5170/

boxil.jp


では、顧客から見たサブスクリプションの良さとは何か?

それは、

  • 製品・サービス導入までのスピードが早い
  • 製品・サービス導入、運用コストがキャッシュフロー的に良い(いつでもやめられるメリットを含む)
  • 製品・サービスが「継続的に」改善される(改善が体感できないとNG)

に集約されます。特に大事なのが最後の継続的な改善です。

組織体制、企業文化の見直しが不可欠

これを実際にやり切るためには、今まで主流だった売り切り文化、製品思考から脱却し、「継続的な顧客との対話」と、それを社内にフィードバックし、製品やサービスに反映させるフィードバックループを組織に実装することが不可欠です。SaaS等で、いち早くサブスクリプションビジネスが浸透し始めているITベンダーに「カスタマーサクセス」と呼ばれる部門や役職が登場してきているのも、まさにこれに対応するための流れと言えます。これができなければ、顧客から継続的に選ばれることができないので、サブスクリプションビジネスが持つベンダー側のメリットは大きく損なわれることになります。

また、顧客と向き合い、自社製品やサービスのファンを増やす仕組みとしての「コミュニティ」の役割もますます増えていくでしょう。

サブスクリプションビジネスの拡がりと呼応するように、マーケティングのスタイルも、狩猟型から育成型に変わることで、新規獲得とLTVの増大を両立させる方向に向かっています。この辺りは、以前のブログでも深堀したので、ご興味ある方はこちらを読んでいただくとわかりやすいかと。

stilldayone.hatenablog.jp

サブスク人材争奪戦が始まる

これから、サブスクリプションビジネスにマッチした人材(実践できる人、コーチングできる人双方)の争奪戦があらゆる業界で始まりそうです。そういう意味では、早期にクラウドでこの辺りを体験・体感して、実績を出している人たちには、キャリア形成の上でも大きなチャンスになりそうです。 

いずれにせよ、サブスクリプションビジネスへの潮流が、顧客とのよりよい関係をますます 加速させるのは間違いないところです。いい時代の到来と言えますね!

 

おまけ:個人的サブスク未来予想図

その①:NHK

IT業界以外でいうと、個人的には、NHKが(法律的なことも多いので、簡単ではないですが)今の受信料の仕組みの足枷から解放されて、真のサブスクリプション企業にアップデートされると、ものすごく強くなるのでは、と期待しています!
NHKオンデマンドが、NetflixやCNN等と並んでグローバルにビジネスする時代が来るかも。

www3.nhk.or.jp

その②:Ride Experience Sharing Service 

趣味のオートバイでは、このマイガレ倶楽部がかなりいい感じのサブスクリプションサービスなのですが、返却時間や場所などがもっとフレキシビリティが高くなると利用者も増えそう。

www.ride-write.com

特に、先ごろハーレーから発表された電動バイクLiveWireや、ヤマハのフロント2輪バイク(LMW):NIKENなど、まったく新しいカテゴリーの市場を広げる上では、「まずは体験」できる環境が重要かと思います。いきなり所有するのはちょっと難しくとも、乗りたい人は沢山いるでしょうしね。

www.youtube.com

残念ながら、まだ自分好みなRide Experience が提供されるサービスは出ていないので、取り急ぎNIKENあたりは、旧来の方法でヤマハのお店で試乗してみようと思います。

公私混同スタイルを(一部の人に)おススメする理由

「公私混同」と聞くと、ネガティブなイメージを持つ人も多いかと思いますが、ここでは極めてポジティブな意味合いで使っています。で、タイトルの件はここ最近ずっと思っていたこと。仕事とプライベートの境目がいい意味であいまいな、というか、その人のスタンスというかありようが、どちらの時でも「一貫している」方が、結局仕事もプライベートもパフォーマンスが出て楽しめているのではないか、いやむしろ最強なのではないか、という仮説。で、半年ほど前に、ソーシャルに投稿してみたのですが、けっこう賛同者が多そう(Like:350+ / コメント:35)なことも確認できました。

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この時は、ちょっと気弱に「マーケティング」領域に限った書き方になっていますが、本心としては、勤務時間や生産設備(や販売施設)に直結している業務でなければ、けっこう多くの人が該当すると感じていました。が、「なぜそうなのか?」がきちんとストーリー立てて説明できていなかったので、年始の時間を使って言語化にトライ。

 

  • 注意:ここでいうところの「公私混同な生き方」が全員に向くハナシではないと思いますし、ワーカホリック信仰者というわけでもないです。ましてや人に強要したりするとブラック感も漂いますが、自分の周りでパフォーマンスを出している人たちには、結構このタイプが多いように思いましたので、この考え方が合う方もいるはず! と思いつつ書いてみます。


ワークライフバランスって?

仕事とプライベート、というと「ワークライフバランス」という言葉を連想される方も多いと思います。この言葉が使われるようになってからずいぶん経ちますが、日常会話的にはまだまだ浸透中というステージでしょうか。で、多くの場合は「仕事とプライベートをしっかり分けて、プライベートの時間をきっちり取りましょう」という意味で使われるようです。

jinjibu.jp

定義もいくつかあるようですが、厚生労働省の定義を引用すると、

「仕事活動」と家庭・地域・学習などの「仕事以外の活動」をさまざまに組み合わせ、バランスの取れた働き方を安心・納得して選択していけるようにすること。

となっています。これだと、24時間をいわゆる「仕事時間」と「プライベート時間(仕事以外の活動時間)」で奪い合うことになりますし、どこか「仕事は苦行」的な発想から来ているように感じます。確かに仕事は真剣勝負ですしタフなことも沢山ありますが、ネガティブな要素満載というわけでは無いと思います。元マクドナルドの足立さんも「ワークがそんなに悪なのか?」ということを指摘されています。

agenda-note.com

わかりやすく、仕事以外の苦行(?)を例にとってみましょう。私のまわりはマラソントライアスロン等のハード系のスポーツに取り組んでいる人が多いのですが、これらのスポーツは苦しい局面はありつつも、楽しめている人が多いように思います。
というか、楽しめていなければそもそも続かないですよね?

この違いは、どこからくるのか? と考えるとやはり「自分ゴト化」と「時間の使い方」にあるのではないかと思います。

「自分ゴト」になれば、パフォーマンスも上がる

そんなスポーツでさえも「やらされている」ものは楽しめないですよね? それと同様に、仕事でも「やらされ仕事」の比率が高くなると、苦行感が増すのは間違いありません。

逆に「やりたい仕事」だとどうでしょうか? 「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、どストライク(自分が自信がある、自分が得意なエリア)な仕事の方が自分ゴト化しやすいし、パフォーマンスも上がるに決まってます。それも、自分から売り込むのではなく、向こう(仕事先、上司、その他外部紹介)からやってくるのが理想のカタチでしょう。

海外では仕事の自分ゴト化を、パーソナルロールエンゲージメントやワークエンゲージメントと呼んで、重要視している模様。

learning.umu-japan-blog.com

もちろん、やらされ仕事であっても、きちんとやることは重要だと思います。ただし、与えられたことだけを淡々とこなしていると器用貧乏になってしまう。それより、仕事を任されたときこそ、積極的に期待値コントロールを心がけたほうがいい。仕事を振られたときに「いつまでに、何をやればいいんですか?」とオープンクエッションしてしまうと、自分のコントロール範囲を完全に放棄しすることになりますし、頼りなく見られてしまいがちです。それより、「いついつまでに、これが出来ていればいいんですよね?」と、期待されているであろう結果を、自分から提示してすり合わせるスタイルのほうが、自分がコントロールできる範囲も広いうえに、自分が設定したゴールに向かって進めることになりますので、自分ゴト化しやすい。結果、成果もあげやすいわけです。そして、仕事を投げる側からは「お、わかってるな!」と思われるので、信頼も高まりますね。

このような方法も含めて、自分以外の人から見て、「あの人のストライクゾーンはここだ!」「この人に聞くのが一番信頼できる」と思われるようになるのが理想的だと思います。その状況を作り出すためには、

  1. アウトプット:自分が何ができるか、何が得意かが証明できるアウトプットを増やし続けること
  2. 期待値コントロールこの分野、この仕事なら必ずやってくれそうだというパフォーマンスへの期待値、またはこの人と一緒に仕事をしたい、という信頼感を適切にコントロールできること(盛りすぎるとダメ!)
  3. 推薦者の獲得:自分で売り込むのではなく、「あの人は○○がスゴイ」という評価を伝えてくれる第三者が増え続けること

の3つが揃うことが重要です。では、その3つを最大化する上で効果的なやり方とは何か? その最たるものが「公私混同」だと思うのです。

公私混同は自分ゴト化を進め、チャンスを最大化する

もし仕事とプライベートの時間を完璧に分けてしまったらどうでしょうか? 例えば、現在は直接仕事関係にない人に会うときに、自分がどんな仕事をしているか、どんな実績があるか、どんな仕事をやりたがっているのか、を知ってもらう機会を失うことになります。

1日は24時間以上増えませんし、知り会える人の数にも物理的な限界があります。であれば、これから会う人は仕事とは関係ない、と自分で一方的に線を引く必要は無く、自分がどんな人であるかを知ってもらえた方が、思わぬご縁につながることがあります。友人関係から出会うことになった人でも、意外と近しい業界や分野にいることが多いものです。そのチャンスをみすみす少なくする必要はありません。

一方、仕事的な部分だけで、第三者の信頼を得たり、新たなフォロワーを産み出し続ける(逆にロールモデルを見つける)のも視野の狭い方法と言えます。その人となりに惹かれたり興味を持ってくれた人が、後々仕事で関係を持つことも多々あります。もっと言うと、自分がどういう生き方をしたいのかと、実際に仕事で携わる内容に乖離が少なければ、自ずとこうした公私混同状態になりそうです。でも、これはあくまでも究極の姿であり、そこまで完全一致していなくても公私混同はできると考えています(そうしないと、公私混同できる人はホントに一握りの人になってしまいます)。

そう考えると、仕事の顔とプライベートの顔を使い分けるのは、機会損失のほうが多そうです。もちろん業務中に、ずっと趣味のハナシをする必要もないですし、一緒にスポーツに興じているときに、今抱えている仕事のハナシをする必要もありません(むしろ、ウザがられて逆効果)。

大事なのは、自分がなにができる人間なのか、どんな分野に強いのか、何に興味を持っているのか、について自分からくどくどと説明しなくても、日ごろの言動や実績、他人の評判で伝わっている状態になることです。こうなればチャンスはどんどんと拡がっていきます。

コミュ二ティで公私混同が加速する

公私混同している人は、正式な業務でない(会社から業務時間とみなされない、または交通費などのコスト負担がされない)場でも、興味のある人や話題が集まる場であればその人個人として(自腹で)どんどん参加していきます。それは、その行動が有形無形のカタチで、自分に戻ってくることを確信しているからこそできるわけです。(必ずしも金銭的なROIが良い、という意味あいではないです)

そして、直近の仕事や趣味や政治問題といった「関心軸」を共有する人や団体と次々に繋がっていきます。最近は、こういう関心軸で集まれる場が「コミュニティ」として認知されるようになってきています。まさにコミュニティ時代到来。こうしたコミュニティを通した出会いが更に出会いを呼ぶようになり、外の世界や価値観につながる機会も自然と多くなってきます。こうやって、自分の枠を緩やかに「越境」しながらアウトプットを続けていくことで、自分が得意とするエリア(期待値)も、自分を知ってくれる人(推薦者)も更に広がっていくわけです。

このように、コミュニティを通じて生まれるつながりの連鎖が個人の価値を高める状況がもっと広まっていくでしょう。 #武闘派CIOとして知られるフジテックの友岡さんも「会社の枠に閉じこもらず、コミュニティと接点を持つ方が合理的(意訳)」と説いています。

ascii.jp

 一方で、公私混同&コミュニティ参加を推し進めていくと、これまでの会社で当たり前にあった「就業時間」的なモノが足枷になってきます。おおざっぱに言うと9:00-17:00がワーキングタイムで、業務外と認定されることはそれ以外の時間でやるべし、という考え方です。東京圏の人だと、この方法でもアフター5で参加できる勉強会やコミュニティが沢山あるのでまだ何とかなる気がしたりしますが、地方に目を向けるとアフター5に東京の勉強会に参加して、翌朝は地元の会社に出社するというのは不可能です。つまり現行の労働状況だと地方に住んでいるだけで不利な状況に陥ることは明白です。

東京、大阪、福岡といった地場にコミュニティが多くある都市でも、その地域の人としかつながっていなければ、(外部からの流入は多少ありますが)拡がりはありません。やはり自らホームグラウンドを離れて、外の世界に越境する時間を持つ必要があります。そうなると、移動はアフター5のみとか、移動した日はまるまるビジネスオフというのは合理的な選択ではなくなってくるわけです。

ワーケーションは「就業時間」概念を無くす追い風になるか?

公私混同を、常日頃できる人は、特定の団体に縛られないパラレルキャリアな人や個人事業主、および真の意味での完全裁量労働が認められたひと握りの人だけ、というのが今までの状況でしたが、ここにきて新しい追い風が出てきました。

それが「ワーケーション」という考え方

www.sankei.com

今のままでは、ワーケーションといっても、勤務地が旅先なだけで、就業時間という考え方は残っています。なので、このままでは十分ではないのですが、勤務地や所定のリモートワーク場所(←リモートワーク場所が指定されてること自体不思議ではありますが)から離れやすくなっただけでも大きく前進していると言えるでしょう。これが日中に移動しながらでも、現地のホテルについてから夜仕事をして一定のパフォーマンスを出せば良しというカタチまで進化すれば、いろんな場所に出かけることもハードルが低くなります。つまり固定的な就業時間という呪縛からの解放が理想です。今後の「働き方改革」の流れがどのようになるのか、にも依存しますが、こういう方向に進むと、いわゆる会社勤めの方でも、公私混同がもっとやりやすくなるはず。

公私混同では、時間の色分けは「混色化」し、一つになる

混色(こんしょく)、という言葉をご存じでしょうか? 最近「チコちゃんに叱られる!」でも取り上げていたので、記憶に新しい方もいると思いますが、

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詳細説明:http://rock77.fc2web.com/main/color/color1-6.html

異なる色の面積がどんどん小さくなると、一色に見えてしまう、というアレです。(チコちゃんでは、ホコリが複数の色の繊維でできているのに、遠目には灰色に見える、という話でした)。公私混同していくと、時間配分がどんどん細切れになっていき、はた目から見ると仕事とプライベートの区別がつかない状態になるのではと思います。

これは持ち時間が仕事一色になる、ということではありません。仕事とプライベートを切り替えるのに必要な時間が不要になり、むしろ、プライベート色の強いことに費やす時間を増やすことになると思っています。

前述したマラソントライアスロンに入れ込んでいる人たちを例にとると、通勤時間や仕事の合間、更にはランチタイムにもちょっとしたトレーニングや体にいい食事、飲み物の摂取をして、スポーツに関わる時間を増やしていると思いますが、それと全く同じと考えればわかりやすいと思います。

あまり参考にならないかもですが、下記のような「旅をしながら仕事」というスタイルも、混色化の一つのカタチかも。

stilldayone.hatenablog.jp 

少数派、でもこういうスタイルがあってもいい!

環境的には少しづつ良くなっているとはいえ、まだまだ公私混同を貫くには、雇用形態や評価制度など、いろいろ整備されなければいけないことが多いのも事実。そして、全員に向いているスタイルとも言えないかもしれませんし、そもそも世の中の人全員がこのような公私混同タイプだと、それはそれで大変な気がします。ですが、この公私混同スタイルが向いている人も潜在的に結構いるのでは、と思っています。

そんな公私混同な人が、働き手の2割くらいを超えてくると、日本の「働き方改革」もますます面白くなってきそうです。もし、こうしたスタイルが合っていると感じたら、公私混同を促進する、アウトプット/ 期待値コントロール / 推薦者の獲得、の3つを意識的にやってみてはいかがでしょう?  少なくとも日常がちょっと面白くなることは保証しますよ!