マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

地方でのコミュニティイベントの創り方 --つながりの起点になる「人」とその土地ならではの「Good Excuse」を探そう

5月18日(金)~20日(日)にかけて、様々な分野でコミュニティをリードする人たちが高知に集結する「コミュニティリーダーズサミット in 高知」のキックオフとなる会合(前夜祭、本篇、大人の遠足)が開催されました。参加者の熱量も高く、期間中のツイート総数は1,100を超える数になり、トレンド入りも。

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※撮影:集合写真家 武市 真拓 さん( http://fb.me/masahiro.takechi/ )

写真からも参加者の方の熱量が伝わってきますね。

東京から遠く離れた高知で、どうやってこの場が生まれたのか、これからどこに向かっていくのかについて、整理しておこうと思います。

「人」がコンテンツとなる場づくり

今回のコミュニティリーダーズサミット in 高知(以下、CLS高知)を開催するに至った経緯や概要については、こちらが詳しく書いたのですが、

stilldayone.hatenablog.jp

まとめると、このミートアップを起点に、高知県内と県外の人の継続的な交流につながる、具体的なアクションを生み出していく事をゴールに設定していました。言い換えると、様々なコミュニティ活動を生み出す母体となるコミュニティの立ち上げとも言えますね。

そのためには、この人とつながりたい!と思わせる魅力的な人たち=ロールモデル(リーダー)と、その人たちに会いたい、これをきっかけに行動したいと思う人たち=フォロワーが適切な比率で出会う場が必要だと考えました。

ちなみにフォロワーの存在がロールモデル(リーダー)を作り出す上でいかに重要かとという話は、こちらのTEDの動画を見るとよくわかります。

www.ted.com

今回、慎重にセレクションした上で登壇いただいたパネリスト、スピーカーの方々は以下の通り県外勢が多いですが、総勢18名(+進行の私)に。それぞれが自分のコミュニティをリードしていたり、コミュニティに大きな貢献をしているコントリビューターの方々です。

※並びは登壇順

ちなみに、今回の登壇者の方々はそれぞれご自身のハッシュタグ#九州バカ #武闘派CIO #ちいクラ #MakikomiTiger #おうちのみうちゃん 等々)を持っている方が多いのも特徴的でした。自分のハッシュタグがあるって、ラベルマーケティング的にも正しいアプローチだと思います。

告知はターゲットリスト+登壇者ネットワーク中心で

これだけ発信力のあるコミュニティリーダーが集まっているので、告知は私のほうで用意したターゲットリスト(登壇者と同じく自分のコミュニティを持っているような人たち)と、登壇者の方のコミュニティ経由での告知に絞り込む形にして(県内向けに、一部Facebook広告は実施しましたが)集客をしました。告知の画像もこんな感じで登壇者押しな感じに。

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なぜかというと、あまり不特定多数に告知してしまうと、フォロワーではなく、ワナビーズ(アウトプットをあまりせず、インプットだけ求めるタイプ)な来場者が多くなってしまう危険性があるからです。これは、私が主宰しているCMC_Meetup (コミュニティマーケティングについて考えるコミュニティ)でもよくお伝えするのですが、セミナーで来場者を集めるのが目的ならワナビーズな人を集客ターゲットにしても良いのですが、コミュニティの立ち上げの時期の場合はNGです。なぜなら、まだ少数なロールモデルな人の熱量をワナビーズが過剰に「消費」し、場合によっては「消火」してしまうことが多いからです。

一方、熱量の高いロールモデルに適切なフォロワーを混ぜると、更に熱量が増大することが多いです。ちょうど焚火の種火に枯れ木をくべる感じで、お互いが燃えて火が大きくなるのと似ています(ワナビーズは生木をくべるような感じで、最終的には火が消えてしまいます)。なので、コミュニティ立ち上げ時期には、ロールモデルとフォロワーを適切に集めることが重要になるわけです。CMC_Meetup では、この集団をコミュニティ構築に必須な「ファーストピン」と呼んでいます。

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「初ガツオ」がGood Excuseに

 上記のように「人」がコンテンツになることで、県外から適切な来場者を呼ぶ流れは作れるのですが、もう一つ重要なのが、なぜ「今」のタイミングで「高知」に行くのか? という意味付けです。参加した後は、高知のコミュニティリーダーとつながり、高知へのエンゲージメントが高まることは想定できるのですが、そもそもその前に「高知に行く」ことを納得してもらう理由(Good Excuse)がないと、コスト的にも時間的にも遠いところにある高知に来てもらうのは難しいですね。以下の交通費変形地図でも高知がかなり不利な位置にあることがわかります。

http://66.media.tumblr.com/b03837ad5e195ac326ad9c2d7829f025/tumblr_ocuxrpSBIQ1vcrykzo1_r1_1280.jpg

実際に、最近はやっている「制県レベル」(どの都道府県に行ったことがあるか、でレベル測定測定するもの)での皆さんの投稿を見ても、高知「だけ」は行ったことがない、という人が多数いることからも、かなり強いGood Excuseが必要です。

下はマーケ業界でも「旅人」として有名なオイシックスの西井さんの投稿。日本国内外をこれだけ旅している方でも、きれいに高知県「だけ」が白地図です。

www.facebook.com

そこで、その地域でしか体験できない「͡コト」やその時でないといけない「旬な要件」がGood Excuseとして必要です。今回の高知訪問のGood Excuseにプッシュしたのが、「初ガツオ」を「高知のひろめ市場」で、「コミュニティリーダーの人たち」と楽しむ、というたてつけです。というわけで、企画されたのがこの前夜祭。

eventregist.com

ひろめ市場のやいろ亭前の席を30数席確保(この難易度は高知の人にしかわからないかもしれませんね)するという努力の甲斐もあり、前夜祭もSold Out!そして、登壇者同士の熱量も予想以上に高まり、2次会、3次会に流れていった人が多数。この熱量を見て、翌日のミートアップ成功をほぼ確信するに至ってました。

オフラインの場が生み出す「熱量」

先の前夜祭でもそうですが、同じ場を同じコンテキストで共有することが熱量を高めるうえですごく重要な舞台装置になります。で、この熱量がコミュニティが動き出すエネルギーにも直結するわけです。

この熱量を適切に高める上では、登壇者と聴講者という2軸ではなく、それぞれがピラーな関係で結びつくことが必要です。そのためには質問タイムや、ネットワーキングが欠かせなくなります。今回もセッションの後は極力質問を受けるようにしつつ、セッションが終わるごとに登壇者と参加者が交流できるネットワーキングタイムを設定していました。

あとは、皆がその場その場で感じていること、考えていることを「形に残す」作業も有効です。いろんなやり方があるかと思いますが、私はハッシュタグ付きで、ツイートを促すのが現時点では最も効果的だと思っています。今回も、ツイートがツイートを呼ぶ形で1.100を超える「熱量」が記録されたので、その効果を再確認した次第です。

togetter.com

アウトプットが次のアウトプットを呼ぶ連鎖

ミートアップのあと、できるだけ早く参加者のアウトプットが出てくるのが、流れをつくるうえで重要となります。今回もCLS高知の最中に「ブログを書くまでがミートアップ」と何度もお伝えしてアウトプットを促したり、CLS高知後もブログやメディアの記事が出るたびに登壇者同士のFcebookグループや、外向けのFacebookページで告知していったのが有効だったと思います。皆がブログ等のアウトプットをしているのを見て、「自分もアウトプットしよう」と思うようになるわけですね。

<メディア記事>

ascii.jp

www.itmedia.co.jp

 <参加企業の公式ブログ>

info.eventregist.com

www.bigbeat.co.jp

www.bigbeat.co.jp

<参加者ブログ>

medium.com

www.kissandcry.me

blog.mamohacy.com

note.mu

makikomitiger.com

次は戻りガツオの時期に

冒頭でも書いた通り、このミートアップはコミュニティ活動による人材交流をか発にするのが目的です。なので、このイベント単体で終わったしまっては意味が半減してしまいます。具体的には、このコミュニティリーダーズサミットで出会ったコミュニティリーダー同士が個々につながりあうことでコミュティを軸としたつながりがどんどん増えていく形を促していきます。たとえば、今回紹介された県外で成功しているコミュニティイベントのフォーマット(#ちいクラ や #北海道の楽しい100人 など)を、高知でも実践してみたり、高知のコミュニティ活動に県外スピーカーや参加者にもっと来てもらうためのお声がけを増やしたり、(ここが一番大事なのですが)高知県の人が、県外のコミュニティイベントに参加したり、登壇したりする、といった活動です。ちょうど下の図のような流れですね。

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もちろん、これはCLS高知の主催側である高知県庁の方々の理解と協力なしには成功は難しいわけですが、担当の方々が熱心に取り組んでいただいていて有難いです。県庁とコミュニティの協働モデルとしても、今後フォーマット化していけるといいなと。

今回始まった流れを更に拡大、加速させることを目的に、秋ごろにCLS高知・リターンズをやりたいと思っています。今回は「戻り鰹」がGood Excuseの一つですね。CLS高知・リターンズには、キックオフに参加した人たちのみならず、その人たちがその後にコミュニティ軸で知り合った人たちを「引き連れて」戻ってくる場ですね。開催日程としては10月後半の土曜日が有力です。日程は正式に決まり次第ご連絡しますが、戻りガツオを堪能したい人は今のうちにSave the Dateを!

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