マーケティング、エバンジェリズム、ときどき旅。

ホントに自分がなりたいのはマーケターかエバンジェリストか、はたまた旅人なのかを徒然に書いていくブログです。

2,466 Days and Still Day 1

2,466 Days

 2,466。この数字がAWSのマーケター、時にはエバンジェリスト的なロールで日本でのクラウド普及に賭けた日数です。すでにご存じの方もいるかと思いますが、2016年8月末日をもってAWSの外に出ることにしましたので、今日現在は久々に人生の夏休みを満喫中です。AWSに長くいたからだと思いますが、アスキーさんで卒業記事を書いてもらったりしてます。これで知った人も多いかもですね。

ascii.jp

 

思えば、AWSビジネスに関する日本での1号社員という、何にもないけど、何でもできる(かも)的な環境は、自分には合っていたと思います。結果的に、6年9か月を過ごしたわけですが、昼夜土日問わず没頭していた時期が長かったので、体感的にはもっと長い気がしますね。ちなみに入社してから真っ先にした仕事(大人の事情で結構時間がかかった)は、AWSロゴと日本語社名を使った名刺フォーマットの作成、でした。

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入社早々の2009年12月に、AWSの日本での活動についてPublickeyにも取り上げてもらいました。このあたりは、コミュニティ立ち上げを行う上でも、結構助かったのをよく覚えてます。

www.publickey1.jp

 

Publickeyの新野さんには、辞めますメッセージを出した後すぐに、6年9か月の活動を振り返っていただくようなコメントもFacebookでいただき感謝しています。ちょっと持ち上げすぎではとも感じましたが(笑)、そう思ってくれる方ががいらっしゃるのは、日本のクラウド創世期にかかわったものとしてはうれしい限りです。

www.facebook.com

 

What I did?

新野さんが書いていただいているようなコミュニティにかかわる部分以外にも、AWSではいろいろと経験させていただきました。備忘録代わりに書いておくと。。。

  • イベントマーケティングまずはAWS Summit Tokyoですかね。世界中で同じ名前、基本同じフォーマットで開催されるイベントって、どこの外資もあるプロジェクトですが、その規模が日本(東京)の方が本社での開催よりも大きくなるっていうのはなかなかない経験かと。チームとパートナー、登壇者の皆さんに支えられて、AWS Summit Tokyoは3年連続で世界一の来場者を実現。今年は13,000名を超える来場者にお越しいただくまでになりました。また、毎年ラスベガスで開催されるAWS re:Inventへの日本からの参加をサポートする re:Inventツアーも2012年の初回から実施。初年度が80名くらいの参加だったものが、昨年は400名近い方が参加するツアーに成長しました。こうした日本から海外のカンファレンスに参加するツアーもよくあるフォーマットではありますが、100名を超える参加者のツアーは他では聞いたことがないので、ここでもクラウドを使う企業、ベンダーの層の厚さ、幅広さを実感した次第です。個人的にはツアコン的なスキルがかなり上昇したと思ってます(笑)今年のツアーはあと少しで申し込み締め切りのようなので、ご興味ある方はお早めに。
  • プロダクトマーケティング数えきれない製品ローンチに関わりましたが、最大のローンチプロジェクトは間違いなく2011年の東京リージョンのローンチですね。

    aws.typepad.com

    これはホントにUSにPushし続けて、今から考えると変則的ですが1AZ構成で時期を早めて開設しています。もし、いろいろ状況が揃うのを待って。2011年3月の大震災の後のローンチになっていたら、いろいろと歴史が変わっていたようにも思います。やれるときには、早くやっておくことが重要だってことを、すごく体感したローンチでした。またこの時は結局実現しませんでしたが、「プレアナウンスすべし」とかなりしつこく言い続けたので、USでは「ミスター・プレアナウンス」と言われてたと聞いてます。が、最近にAWSがデータセンター開設スケジュールについては、だいぶプレアナウンスするようになったので、自分の主張は正しかったのかな、と思います。その他VPC、Direct Connect、DynamoDB、Lambdaのローンチはよく覚えてますね。
  • ソーシャルマーケティングソーシャルなくして、今のAWSの日本の普及はなかったのでは、と思います。特に初期における #jawsug ハッシュタグでのtwitterを使った情報流通や、Facebookが普及してからのコミュニティ活動の強化に果たした貢献度は計り知れないです。さらに、日本におけるオフィシャルアカウントの開設でも学ぶことが多くありましたね。逆に、ソーシャルをうまく使わずにマーケティングするのはB2B商材でももはや難しいのでは、と思います。
  • デジタルマーケティング前述のソーシャルを含め、Web、E-mailといったデジタルチャネルでのマーケットへの訴求は、これまでのマーケティング施策よりも数値化される事項がたくさんあるので、マーケターとしては面白い分野です。ただ、何をKPIとするかで、次の施策のとりかたがずいぶんと違ってくるので、USサイドやほかのステークホルダーとの調整もすごく勉強になりました。また、当間ですがデジタル系はきちんと動かすためのインフラやツール、プロセスの整備が不可欠で、初期のころはとにかくそこに時間を取られました。2010年ごろにAWSの日本語ページがオープンしていますが、そのころはなんと私がHTMLを書いていたという状況だったのですが、そこからすると素晴らしくインフラは整いましたね。
  • 広告・宣伝:これは初期のころはまったく縁がありませんでしたし、Early Adaptorの獲得には広告・宣伝よりももっとやるべきことがあるので、自分の中でもプライオリティは低かったのですが、近年Majority層にリーチするようになって、マスメディアを使ったリーチ=広告の重要性が分かってきた次第です。TVまではいけなかったですが、主要紙媒体や、交通広告を使った活動がことしからようやくスタートできました。関東の方であれば、こちらの動画を見た人も多いかと。今回は日本に仕組みがなくてできなかったですが、タクシーやオフィスビルのエレベーターのモニターへの時間帯やロケーション別での動画広告ができると面白いなと思っています。
  • パートナーマーケティング2010年に初めて行ったパートナー様向けのQuaterlyの説明会(これは今年までずっと続いてます)、同じく2010年に主要パートナーのキーマンにシアトルに来てもらって参加していただいた会議(ここに参加したパートナーのほとんどが、現在の日本のプレミアパートナー)など、パートナーエコシステムの礎を作ることができたのではと思っています。近年は"Sell Through The Parter"と言って、To パートナーの視点ではなく、To マーケットの視点を強化して、どうやってパートナー様と一緒にマーケットにリーチできるかを支援するようにしてきたつもりです。この活動が、さらに一段階上のレベルでのエコシステムとビジネスの拡大につながると思っています。
  • リードマネジメント:MAの導入を含め、現地でのリードマネジメントの強化をUSに理解してもらい、専任者の等の投入ができるようになったのは自分の中では大きな前進です。どうしても営業とマーケティングの間にはリードに関する考え方の違いや、決めたリードフォローのプロセスがきちんと実行されないなどの問題が起こりがちですが、ここの強化なくしてマーケティングのアウトカムの向上にはつながらないので。数値は言えないですけど、日本のMQL→SQLコンバージョンレートはWWでみてもとても高い数値になっているので、自分がやってきた施策や人員配置が貢献できていると自負しています。
  • スピーカー、エバンジェリストエバジェリスト専任者がいるときは、当然その人がメインのスピーカーになりますし、マーケティング以外のポジションでも対外的なイベントで話せる免許を持っているメンバーが多いので、初期のころを除くとそんなに話をしなくてもいいポジションだったように思いますが、なんだかんだで結構講演機会は多かったですね。間違いなく、前職(アドビ)時代よりは増えていて、年間100件近い年もありました。基本的に、プレゼンをすると考えがまとまったりフィードバックを得られやすかったりするので、プレゼンができるマーケターの方が仕事のキャッチアップは早いというのが持論です。
  • アマゾンの他のチームとの協業: "One Amazon"として、AWS以外のチームのソリューションやサービスを一緒に紹介することで、アマゾンというビジネスへの理解が深まったり、お客さま側でのアイディアが広がったりすることに貢献できたかと。昨今のAmazon Echo & AlexaAmazon Dash Buttonへの関心の高さもこの流れですね。
  • マーケティングチームの立ち上げ:最終的に10名を超えるチーム構成でAWSクラウドの普及、デマンドジェネレーション、ナーチャリングができたのは大きな経験です。一人でやっていた時期と比べると、専任者を置くことによりスケールする幅、深さともずっと大きくなる一方、限られたHCやBudgetをどこに配置するのか、そのApproveをどう取り付けるかがとても重要で。よく「ヒト・モノ・カネ」といいますが、これをどう配置して目標達成するかを考えるのは、クリエイティブな感じがして結構好きでした。

ここに書いてきた ファンクションはすべて専任者や担当チームがいますので、私がいなくても全く問題なく(というよりこれまでに以上に)成長していくはずです。で、私の後任も絶賛採用中なので、我こそは、と思われるマーケターの方はぜひエントリーを。

 

What's Next?

よく聞かれるので、こちらでも書いておきます。AWSでマーケター、エバンジェリスト的なシゴトはずいぶんやってきたので、少し旅人要素を増やしたいなと思っています。しばらくはいろんなところに旅に出るつもりなので、「ここはぜひ行ったほうがいい」的な場所や体験があれば、ぜひ教えて下さい。

とりあえず、旅人第一弾はあこがれの北海道バイクツーリング、からです。大洗からフェリーに乗って、、という定番なやつですが、バイクが25年前の旧車なので道中がちょっと不安ではありますが。。。。

 再始動は年明けくらいかなーと思っていますが、AWS OBの某旅人のように旅人業が主になってしまうかも(笑)。ITやクラウドという枠を外して、マーケターやエバジェリストとしてどれだけ幅を広げられるかが、これからの5年、10年を考えたうえで大事かな、と思っています。なので、インプットにつながる体験や会合は極力参加するつもりなので、お気軽にお声がけを。

Thank You & Still Day1

AWSでのエキサイティングな体験は一旦終了となりました。本来はお世話になった皆様に個別にご挨拶をすべきところ、ソーシャル上でのご挨拶だけとなり申し訳ありませんでした。こんな連絡方法にも関わらず、国内外、社内外から800を超えるLikeを頂き、本当に多くの方に支えられていたということを実感しています。

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ここでいただいた多くの「元気玉」を糧に、マーケター、エバンジェリスト、旅人としてもまだまだDay1な気持ちで次に進みたいと思います。ありがとうございました!